MVVづくりは浸透が9割
会社を運営していくうえで、ミッション・ビジョン・バリューが欠かせません。
いわゆるMVVですね。
経営者にとっては早めに策定しなければならないものですし、会社の舵取りにも関わるので超重要な要素のひとつ。
でも、残念ながらその経営者の熱い想いって、なかなか従業員には伝わらないんですよね……。あんまり意識したことがない従業員や、あんまり浸透していないなって嘆いている経営者も多いのでは?
そこで今回は、MVVのなかでもバリューにフォーカスして、その重要性や僕が具体的に考えていることをお伝えしたいと思います。
そもそもバリューとは具体的な行動指針を意味する
そもそも「バリュー」が何を意味するのか、よくわかっていない人も多いんじゃないかなと思っています。なんとなくはわかっているつもりでも、「説明して」とお願いしたらスラスラしゃべれない…みたいな。
なので、いったんバリューについて簡単に紹介します。
バリューとは「Mission(企業理念)を実現するために、私たち一人一人が大切にすべき価値観や行動指針のこと」を指します。つまり、行動指針ですね。
バリュー(行動指針)が定まっていなければ、会社運営なんてとてもできません。
よく会社運営を船に例えますが、船員(=従業員)がバラバラに、好き勝手動くとまともな航海は不可能です。最悪の場合、目的地に着かず遭難ということも……。
会社運営で「遭難」しないためにも、バリューを策定し、しっかりと従業員の行動を決めなければなりません。だからこそ、僕たち経営者は時間をかけてバリュー(厳密にはMVV)を策定するんです。
ちなみに、僕たちアナテック・ヤナコは、最近MVVを見直しました。その様子を簡単に紹介しているので、興味がある方は「従業員に浸透させるためにワークショップを開催」をご覧ください。
普段使いしやすいバリューが大事
バリューは従業員の行動指針ですが、どんなものでもいいわけではありません。「普段使いできるバリュー」が重要だと僕は考えています。「毎日意識できるバリュー」とも言い換えられます。
企業としては、使命や目標であるミッションやビジョンを達成したいところですが、抽象的すぎて行動に落とし込むのは難しいんですよね。なので、毎日意識できるバリューが大事なんです。
もちろん、MVVは関連性がなくてはなりません。バリューを体現していくと自然にミッション達成につながるのが理想ですね。
ミッション・バリューは浸透させてこそ意味がある
素晴らしいミッション・バリューを策定すると、経営者としてホッとしますよね。
でも、そこで終わっちゃダメなんです。むしろ、そこがスタートライン。策定して公開するだけでは、残念なことにあまり効果がありません。
重要なのは、従業員にしっかりと浸透させることです。「自分の会社は大丈夫」と考えている人もいるかもしれませんが、思ったより効果が出ていないかもしれないので見直してみることをおすすめします。
よくあるのは、
毎日の朝礼で復唱している
目につきやすい場所に大きく掲示している
などですね。
従業員は意味を考えず、ただ音声として発しているだけかもしれません。視界には入っていても、見てはいないかもしれません。
あくまでも「自分ごと」として捉えてもらう必要があるのです。つまり、浸透とは「自分ごととして捉えること」といえますね。
バリューの浸透を仕組み化する
バリューの浸透を進めるためには、仕組み化が重要です。経営者がいくら熱く語ったとしても、なかなか浸透しません。
そこで役に立つのがSUPPモデルです。SUPPモデルは、MVVを組織全体に浸透させるためのプロセスを表したモデルです。
共有(Share)
理解(Understand)
自分ごと(Personalize)
実践(Practice)
それぞれのステップについて簡単に紹介しますね。
1.共有(Share)
まずやるべきことは、策定したバリューの共有です。バリューの発表の機会を設けるなど全従業員に伝えましょう。
共有については、ほとんどの経営者がやっていると思うので特に問題はないと思います。
2.理解(Understand)
続いて、従業員に理解してもらわなくてはなりません。最初に理解してもらうためには、やはり経営者の熱い語りが重要です。
「熱く語るだけではダメ」とお伝えしましたが、「ただ共有するだけ」はもっとよくありません。経営者の思いを知らずに、従業員が積極的になるのは難しいんです。
さらに、場合によっては一方的な発信だけではなく対話の機会を設けたり、ワークショップを開催するのもいいですね。余談ですが、僕たちアナテック・ヤナコもワークショップを開催しました。
3.自分ごと(Personalize)
次に、従業員の「自分ごと化」を促します。正直、ここが一番難しく、時間がかかるためおろそかになりがちです。
「理解」までできている企業は多いのですが、このステップまで進めていないケースが多いように思います。バリューを理解してもらうことで満足し、そこで止まっちゃうんですよね。
ぶっちゃけバリューを理解しただけでは、思いに共感してもらえていないケースが多いです。そこで、バリューをすり込みます。すり込んだ先に共感があるんです。
そして「このバリューは、自分にとって大事なことなんだ。バリューを体現することが、会社において自分のやるべきことなんだ」と思ってもらわなければいけません。
4.実践(Practice)
うまくバリューが自分ごとになれば、あとは実践あるのみです。企画を実践してもらったり、その成果を評価に反映したりして、どんどんバリュー体現を促しましょう。
ちなみに、当社ではまずミッションとバリューを発表し、ワークショップを開催しました。そこで「共有→理解→自分ごと」を回してみたんです。ワークショップはかなり好感触でした!
さらに、実践フェーズとして「バリュー体現レポート」の提出をお願いしています。2週間に1回のスパンで提出してもらっていて、みんながいろいろな体験をしていることがわかり、僕も刺激をもらっています。ただ、レポート内容が形骸化してしまったり、なかには提出しない人もいるので、まだまだ改善は必要な状況です…
ステップの中でもっとも難しいのは、やはり「理解」から「自分ごと」のステップです。
理解を促し浸透させるためには、かなりの期間がかかりますし、僕は1年程度では浸透しないと思っています。
それこそ3年とか5年とかかけて、ようやく浸透するものでしょう。そういう意味ではうちも、まだまだ浸透していないといえます(日々、浸透させるための施策を検討・実践中です!)。
多くの経営者は「共有」をやりきって、それ以降は従業員任せな場合が多いです。「理解」以降のステップは、従業員が主体となるので仕方ないところもありますが、スムーズにできるように仕組み化することが重要です。
僕は、これを浸透の仕組み化と呼んでいます。この浸透の仕組み化を作ることで、バリューを自分ごとにしてもらいます。
繰り返しになりますが、MVVの策定はとても大事だけど、そのあとの浸透こそ本当に大切なんです。そのためにも、粘り強くプロセスをこなしていかなくてはなりません。
アナテック・ヤナコのミッションとバリュー
アナテック・ヤナコのミッションとバリューを紹介しますね。
ミッションは「計測の力で未来に誇れるものづくりを」です。
うちは「計測」で100年以上続いている会社なので、計測の力でより良い未来を作りたいという気持ちがありました。そこでものづくりのメーカーとして、このようなミッションを策定しています。
バリューは、以下の5つを策定しました。
全体最適をあきらめない
常に最高を目指す
至誠を貫く
みんなで会社をつくる
自分を磨き続ける
これが従業員の行動指針ですね。この5つのバリューをもとに、みんなには日々の活動を行ってもらっています。
▼アナテック・ヤナコのMVVを詳しく解説しています!あわせてご覧ください。
従業員に浸透させるためにワークショップを開催
みんなにミッション・バリューを浸透させるための手段として、ワークショップを開催しました。
「自分ごと」として考えてもらうために、ぜひ当事者としての自覚を持ってほしい、そんな思いから開催しました。外部講師をお招きして、全体が一丸となってミッション・バリューに向き合いました。
僕はもちろん、みんなにとっても有意義な場となり、現在の仕事にも活かされています。それが先程も少しお伝えした「バリュー体現レポート」です。
「バリュー浸透の仕組み化」の一環として、バリューの達成度を人事評価に組み込みました。自身の評価につながることもあって、積極的な人が多いです。
まだまだ完全な浸透にはいたっていませんが、じっくりとプロセスを進めていこうと思います!
ミッション・バリューを意識し、一丸となって会社を作り上げたい
会社にとってあるべき姿を実現するためには、全従業員の協力が必要です。そのために欠かせないのがバリューで、僕たち経営陣はバリューを策定するのと同じくらい、浸透させることに力を注がなければなりません。
浸透には時間がかかるので仕組み化して、常日頃からバリューに触れられるような文化が大切です。僕もまだまだ道半ばですが、バリューがしっかり浸透すれば会社としてより価値の高い活動につながると信じています。
そのためにも、焦らずにじっくりと従業員みんなと歩を進めていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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