“大人の経験の幅が子どもの未来の幅になる”「おもろい大人化計画」三原重央さん
Teal組織や学習する組織、Edcampなど最先端の教育論や組織論を海の向こうまで赴き探求されている三原重央さん。自発的に湧いてくるワクワクした心を持つためには、体験を通じた腹落ちした学びが大切だと説く。そんな三原さんに最先端の教育・組織論を交えつつお話を伺いました。
三原さんプロフィール
出身地:大阪市住吉区
活動地域:関西(主に大阪府)
経歴:帆船あこがれで異年齢の付き合いを、合気道で心身を鍛えてもらい人生が動き出す。アメリカ留学、イエローストーン国立公園就労→小学校講師→青年海外協力隊などを経験。現在の志は、おもろいオトナのセナカを増やすこと。学校の教員としての経験を活かし、学校内外をつなぐために、つながりの場などの情報を伝えている。未来に向けて「自分メディア化」にて発信、対話を通して、場と事と間を繋ぐ人になる生き方・働き方を実践。心身一如、物事の全体性を体現する人になるために日々精進中。
座右の銘:以和爲貴(わをもってとおとしとなす。)
「子どもたちにとっての大人との出会いの環境格差を変えたい」
記者:どんな心のあり方や認識の変化が「おもろい大人化計画」に繋がっていますか?
三原:頭ではなく腹から湧いてくるワクワクで生きられる大人たちを増やしたい
子どもたちにとっての大人との出会いの環境格差を変えたいという思いが繋がっていますね。
私は昔体が小さくいじめられっ子で、ひどい時は池の中に入るように追い込まれた。
そんな自分の変化のきっかけのひとつに帆船あこがれ(現・みらいへ)への参加があるのですが、下は小学4年生から上は80代のお年寄りの方がグループを作って船を運営しないといけないんです。船上という孤立した環境の中で、老若男女を問わず協力せざるを得ませんし、電波も圏外なので自然と交流が生まれやすい。
子どもが自分の気持ち以上にチームのことを大事にして役割を全うしたり、年の離れた大人たちからの半生を聞いて自分もやってみたいと憧れの気持ちを持つ、といったことがありました。
全く新しい人と出会い、体を動かしながら経験を共有できる環境が今の私の原体験になっています。
そこから、どんどんと今いる環境の外へと出て行くようになった。
おもろい大人たちがそれぞれの人生の船旅をし、その船に子どもたちがまずは乗る。船員として携わる中で自分の行き先を見出して、今度は自分が船長になって、新しい船旅を始めていくっていうのが一つの理想の形だと思います。
でもこれが例えば体験したほうがいいよって外から押し付けられたものでは意味がないんです。自分の内側から溢れ出てくるものではないと。
青年海外協力隊でも、日本方式のやり方を現地の人に提案してもやる気になってくれないこともありましたし、私自身の経験をおすすめしても「あなただからできるんでしょ」と言われてしまったり。
そうした経緯も踏まえ、自分自身が自然にやってみようとか、挑戦してみようとか思える環境づくりが大事だと思っています。
記者:他人から押し付けられると中々モチベーションがあがらなかったりやる気がでなかったりしますし、それがこれまでの教育からこれからの教育にも密接に関わっているように感じられますね。
「自分の腹から湧き出るようなワクワクを持つこと」
記者:これからはAIの時代だと言われていますが、AIが活躍する時代に必要とされるニーズとはなんでしょうか?
三原:自分の腹から湧き出るようなワクワクなんじゃないかな。知識や暗記教育は AI に任せたらええんちゃうかなと思います。知識を覚える暗記は絶対AIに勝てませんし、それをやるのではなく自分の腹から湧き出るようなワクワクを持つことができる教育が必要だと思います。
暗記教育に代表されるような今までの教育にたいして、押し付けだから悪いという意見もみられます。しかし、今までのやり方を否定するのではなく、その当時で求められてものなのでそれが必然で良かったわけです。時代が変化してきたから求められてるものが違うんだということも、自分で気づいてもらわないと結局意味がないように変わってきた。
AIに関しては敵対せずに共存していくこと。
便利を目指すのがイノベーションで、不便を便利にすることで逆になくしているもの。AI と敵対せずに便利な面は便利で使って、つながり合える社会基盤をつくるためにどのようにAIを活用するかを見出すことが必要だと思います。
記者:腹から湧き出るワクワクで生きていくことがこれからの時代のニーズであり、時代を創っていく子どもたちのためにもそうした生き方の大人たちを増やしていく。三原さんらしいエッセンスがありますね。
「大人たちの幅が必要だから大人が幅を広げていくことで時代は美しくなる」
記者:最後に、これからどんな美しい時代を作っていきたいと思っていらっしゃるのかをお聞かせいただければと思います。
三原:人同士が繋がるデザインのあるまちづくりですね。必然的にちょっと人が助け合うとか触れ合う仕組み。そうしたデザインによって成り立つコンパクトシティになっていけばいいと思います。
今なんか喧嘩したらあかんとか自分の意見を主張したらあかんとか言われますけどそうじゃなくて、一方的な押し付けはあかんけど自分の意見を主張しあってお互いに腹落ちするぐらいまで話すのは大事なんじゃないかと。
単純な情報共有とかはAI に任せて、自分が本当に求めてるものをちゃんとお互い話をする時間を作るために活動したらいいんじゃないか。
記者:腹から繋がれるようなイメージなんですかね、お互いが話し合うことによって互いの腹を出しあうような。
三原:例えばTeal組織で言われるところの生命体論をわたしなりに考えると、腕が曲がるのは脳からの指令で動いてますよね。でも心臓とか腸とか胃とかは誰に指令されなくても生命維持のために自然と仕事をはたしてる。
地域社会とか祭りとかまさにそうで、誰に言われるでもなく自分がやりたいからやってるわけで。なんでそんな世話役してるんですかと聞いても「わたしが好きだからやりたいからやってるんや」と。
それがいろんな形でお互い活かしあえたらそれが仕事になって最高やみたいな。
Teal組織を引き合いに出しましたが、この理論も自分たちの組織のために常にいいもの探求してきた中で、たまたまそうなりましたといったただの事例でありTealの本なんかも事例集にすぎない。
Teal組織という成功事例を参考に自分たちの組織を発展させるのと同じように、いろんな大人の成功事例を参考にしてその中で子どもたちが自分のワクワクを求めていくことが大事なんです。
さっき話した、おもろい大人の船にまずは乗ってみて学び、その経験を踏まえて今度は船長になって船旅に出る。いろんなプロトタイプとして守を学び、その中で自分なりを考え探求していく破、そして自分流を見出すのが離。自分なりの守破離を見つけて船を出してまた次の世代の子どもたちが乗ってくる。それが美しい時代だと思う。
おもろい大人と子どもがつながるデザインのあるまちづくりがモデルシティとして必要だと思うし、そのために大人たちの幅が必要だから大人が幅を広げていくことで時代は美しくなるんじゃないか、というのが俺の思うおもろい大人化計画かもしれへんね。
記者:子どもたちに変化を押し付けるのではなく、おもろい大人の背中をみて自然と子どもたちの内側から湧き上がるワクワクをが溢れる社会は美しいですね。
本日は素晴らしい時間をいただきありがとうございました!
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三原さんの詳細情報についてはこちら
Facebook:https://www.facebook.com/shigeo.mihara
おもろい大人化計画HP
おもろい大人の背中を増やす計画応援歌:https://is.gd/3hr7gp
【編集後記】
今回記者を担当した中村です。
子どもたちがワクワクとともに成長していくためにも、大人たちがそれを実践し生き様をみせていくことが大事なんだと感じました。
国内外問わず最先端教育・組織論をキャッチし実践していく三原さんの知識の深さとつながりをつくることへの懇切な思いに共感しました。
今後のご活躍を楽しみにしています。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
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