ナオコーラ

エッセイを読んだ。山崎ナオコーラという名前の響きは大好きで、このエッセイを読むまで、売れない作家(ご本人の自称)だなんて知らず、むしろ本をあまり読まない私でも昔から名前を存じ上げている、有名な作家だと思っていた。
図書館に自分の本が置かれていない、とか、同世代の作家の収入が上がる一方自分の収入は下がるばかり、とか、売れなくなったのはどうやら本当らしいという描写がたくさん登場するのだが、あまり暗い響きもなく、売れなくても好きな物書きをして食べていけていることへの喜びやなんとかなる日々の暮らし、子どもへの深い愛情といった印象のほうが強く、楽しく一読することができた。
レビューに目を通すと賛否両論あり、筆者の自己肯定感の低さが気になる、とか、フェミニズムの先をいってるアピールが強い、とか、男性に媚びている、とかの意見も目立つ(ネガティブな意見を書き起こすのはしんどい)のだが、自己肯定感のあたりはコミカルに感じたし、男性に対しての記述はまあそういう人もいるのかな、くらいにしか思わなかった。総じて、子どもを育てるのに向いている人が書いた本という印象だ。

25歳の私は、結婚相手はおろか、交際相手もいないし、自分のことで思い悩むフェーズにいることもあり、結婚も、子育ても、遠い話に感じる。自分のことですらままならないのに、我が子を生むこと、育てることなんてできやしない、という気持ちでいっぱいいっぱいだ。それでも、子ども(特に赤ちゃん)のことは大好きで、子どもを育てることで成長するという感覚もなんとなくわかるし、そういう経験をしてみたいなという気持ちが湧くこともある。
この本では、子育てを楽しみつつも、子供が生まれる前と変わらず絶えない仕事の悩み、キャリアの悩み、人生の悩み、人間関係の悩み、社会への感情というのが赤裸々に綴られており、まだ子育てを自分ごとと捉えられない自分と共通する部分もあり、とても良かった。

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