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書いて吐き出す
今の生活に大きな不満があるわけではない。重大なアクシデントがなければ、このままぼんやりと生きていけるだろう。でも心の内にはこれでいいのか?という迷いもある。だが、それを吐露するにはあまりにもつかみどころがない。そんな僕に吐き出したいことなんて特にないと思っていた。
でも最近、思い当たる出来事が一つあった。ちょうど二週間前、穴窯(焼き物を薪で焚く窯)に作品を詰めるときのことである。工房のスタッフがそろって生徒さんの作品を優先していたのだが、K先生だけが自分の作品の準備に専念していた。(K先生は僕より年下だが、陶芸歴も長く講師をしているためK先生と呼んでいる)僕はそのK先生の態度につい声を荒らげてしまったのだ。普段、温厚な正田さんという皮をかぶっているので、その場がシーンと静まり返る。「しまった」と思った。今こうして書いていてもあの瞬間が蘇ってきて歯噛みがしたくなる。つい感情的になってしまったことを後悔している。
僕は直情型で感情優位。カーッとなったら周りの迷惑など考えず真っ直ぐ突き進む傾向にある。その性格のせいでずいぶんと失敗もしてきた。でも歳を重ねるとともに感情をコントロールする術を身につけてきたつもりだった。ではなぜ、あの時、怒りの感情を抑えることができなかったのか。もし相手がK先生でなければ、あんな言葉を吐くことはなかっただろう。普段は意識していないが、きっとK先生を自分の下に見ていたのだろう。だから不意に本音が出てしまったのではないか。彼に対して優位に立ちたい。そんな気持ちが深層にはあったのだ。
こうして書いていて気づいたことがある。書くことは自分の意識していない感情を掬い上げてくれる。書いて吐き出すことでデトックスに似たような効果があるような気もする。ふと書くことは内観にも似ているではないかと思った。もっとも内観には興味はあるものの未だに経験したことがないので、偉そうなことは言えないのだが。