![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160010970/rectangle_large_type_2_cf347fae02608d638a9292868a31966d.png?width=1200)
SHO-CASEが作りたい建設業界の未来予想図
前文
この記事は、建設・内装・イベントの現場をDXしている株式会社SHO-CASEの公式noteです。
本記事は建設業界・ディスプレイ業界に携わる方、及び周辺領域に関わるステークホルダー、また業界に就転職を目指す方に向けて、弊社が目指している業界の未来予想図について語った記事となっています。
内容に共感いただける方がいましたら是非いいねボタンとフォローのほど宜しくお願い致します。
SHO-CASEが目指す未来予想図
まず初めに一言でいうとSHO-CASEが目指したい未来図は、「協力会社が儲かる未来」です。
どれほど素晴らしい設計図やデザインがあっても、それを実際に形にする下請けの職人たちがいなければ建物は完成しませんし、空間を創り上げることもできません。
しかし現状では、建設業界の構造上、元請け会社が利益を得やすい仕組みが主流となっており、下請けの企業や職人たちは利益を得にくい状況にあります。このような業界構造が、建設業界全体の労働環境を厳しいものにし、結果として職人の離職や人材不足につながっているのです。
SHO-CASEは、この状況を変えたいと考えていますし、それを元請会社の人にも知ってほしい。さらには発注者の人たちにも知ってもらわないとこの未来は実現しないと考えています。
協力会社や現場で働く職人がその仕事に見合った利益を得られるような業界の未来を作ることが、私たちのミッションです。
この未来図を描けるまでの背景を下記にまとめています。
建設業界の特徴とビジネスモデル
建設業の特徴
建設業が売り上げを上げて利益を生み、会社が持続的継続をするための仕組みは、依頼者からの注文を受けて工事を始める「受注生産方式」が多いです。例えば、マンションの建築では、開発・販売会社が企画・販売を行い、建設会社に施工を依頼します。この場合、建設会社は依頼内容に基づいて建築を進め、受注した工事を行う形態が一般的です。顧客には個人、企業、行政などが含まれ、それぞれの依頼に沿った形で工事が進められています。
建設業の構造とビジネスモデル
(1) 建設業の事業構造
建設業界では、企画・設計、工事計画、施工(管理)といった段階を経て、施工が行われます。ゼネコン(総合建設業者)は、こうした一連の業務をまとめて請け負い、大規模工事ではその中心的な役割を果たします。特に「スーパーゼネコン」と呼ばれる大手5社(大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店)は、豊富な実績と規模を誇り、多くの公共事業や大型プロジェクトを手掛けています。
しかし、実際の工事は一次下請けから二次下請け、さらに細かく分かれた専門業者に再委託され、重層構造の中で進められます。特に大規模案件では下請けの重層化が顕著で、下層に位置する業者ほど、経営環境の厳しさに直面しやすい構造になっています。
(2) 現在の建設業ビジネスモデルとその課題
建設業では、多くが「受注生産方式」を採用し、顧客の依頼に応じて建設工事を受注します。これは顧客が多いほど業績が良くなる一方、顧客や景気の状況に依存しやすいリスクも抱えています。バブル期のように不動産需要が旺盛な時代では受注も安定しましたが、デフレ時代に入ると案件が減少し、工事価格が下がり、経営が厳しくなりました。このような経営モデルでは、業界全体が景気の影響を受けやすく、外的な要因で不安定になりやすいと言えます。
また、顧客の意思決定は高額な契約が伴うため慎重で、意思決定までの時間も長くなりがちです。特に行政や大企業が顧客の場合、関係者が多いため、営業やマーケティング活動が一層難しくなります。
(3) 下請け業者の抱える構造的な課題
ゼネコンと比べて、下請けの建設会社は固定費が重くのしかかり、工事価格が安くなると経営が苦しくなります。このような構造では、新たな元請との取引や別分野への進出が重要になりますが、事業構造の面からも厳しい経営環境を強いられています。
建設業の厳しい現状と多くの課題
人出不足、そして世代間ギャップと労働時間規制
建設業界では人手不足と高齢化が深刻で、国土交通省によると、1997年に685万人だった就業者数が2023年には483万人に減少しました。加えて、55歳以上が全体の36.6%を占める一方で、29歳以下の割合は11.6%と少なく、若い人材の参入が進みにくい状況です。この背景には、上の世代が残業をいとわない一方、若い世代はプライベートの時間を重視するという世代間の意識の違いあります。
さらに、働き方改革により残業が制限されることで納期遅延が発生し、若手の育成もままならない状況です。このままでは将来の技術力低下が懸念されており、単に勤務時間を制限するだけでは根本的な解決にはならないと指摘されています。
進まないDX
都市部や大手ゼネコンでは、現場管理システムや労務管理のためのSaaSツール(※1)の導入が進む一方、地方の中小建設会社ではDXの取り組みが進んでいません。特に、社内にIT人材が不足していることが、SaaSの導入を妨げる大きな要因となっています。また、地方や中小の建設業界では工事単価が低く、導入コストが高く感じられることから、IT化がどんどん遅れているのが現状です。
しかし、こうした「DXの恩恵を受けにくい企業」こそが日本の建設業界の大部分を占めているのも事実です。今後、建設業界全体で職人や作業員の不足がさらに進む中で、労働生産性を向上させるためのIT活用が進まなければ、業界全体の競争力低下や衰退は避けられません。
※1 SaaSツール…「Software as a Service」の略で、インターネットを通じて利用できるソフトウェアサービスのことを指します。SaaSツールでは、利用者は自社にシステムをインストールする必要がなく、サーバーの管理や保守を提供者側が行うため、利用者はネット環境があればすぐにサービスを利用できる点が特徴です。
協力会社が儲かるためには?
元請担当者の業務改善がカギ
建設業界で協力会社が利益を上げるために、最初に必要なのは元請担当者の業務改善です。建設プロジェクトは「設計 → 見積もり → 発注 → 現場」という流れで進みますが、上流工程の設計や発注が遅れることで、すべての負担が現場に降りかかり、最終的には職人たちが大きな影響を受けてしまいます。このような状況が改善されない限り、いくら現場のDXが進んで紙の電子化が行われたとしても、現場にとって大きな意味を持つことは難しいでしょう。
元請担当者が適正なスケジュールで業務を進め、協力会社へ最適な指示を出し、スムーズに発注を行う体制を整えることが、改善の第一歩です。
協力会社への発注環境の整備が先決
その後に、下請け会社の業務改善や企業イメージの向上といった施策を検討するのも重要です。しかし、元請からの安定的な仕事の供給がなければ、協力会社の売上も上がりません。現状の建設業界では、元請企業への依存関係は根強く残っているため、現場の協力会社が独立して利益を出しにくい構造が続いています。
信頼関係を築くために必要なDXの推進
少子高齢化による人手不足が深刻化するこれからの時代、元請企業はこれまで以上に協力会社との信頼関係を築く必要があります。そのためにも、まずは元請側がDXを進め、協力会社が円滑に働ける環境を整えることが重要です。
まとめ
「協力会社が儲かる未来」を実現するためには、まず元請企業のDXが必要不可欠です。そのために、DXの最初の一歩は「データベースを構築すること」。ただSaaSツールを導入するだけで満足してはいけません。
DXの本質をもう一度考え直しましょう。デジタルトランスフォーメーションとは単に業務のデジタル化を指すのではなく、データを活用して業務の効率化と改善を進め、協力会社も含めた業界全体が利益を上げられる仕組みを作ることにあります。私たちSHO-CASEが提供するサービスでは、まず企業のデータベースを整備することで、元請企業の抱える多様な課題に対応できるアプリを提供しています。