『シビル・ウォー』 感想(ネタバレ) 〜お前はどの種類のアメリカ人だ?〜
予告編を観てから絶対映画館で観る!と思っていた作品。センセーショナルな題材だと思うんですけど、批評性と現実とのリンクを抑えめにして、エンタメ性を加えることでいい塩梅に仕上がってました。
(あらすじ)
予告編はこんな感じ↓
簡単なストーリーまとめ
分裂したアメリカ、もうすぐ倒されるであろう「合衆国」の大統領に最後のインタビューを敢行すべく旅立つ4人のジャーナリスト(うち一人はほぼ素人)というお話。
ロードムービ的なノリですが、行く先々で内戦で疲弊しきったアメリカと壊れた人たちに出会います。そして、インタビューは成功するのか?
印象的なシーンが多い
初っ端から、星条旗を持った人が自爆テロをぶちかます場面にガッツリ心掴まれました。
自爆テロってアメリカ人にとってトラウマ(アメリカ同時多発テロ事件)であるはずだし、国旗を大事にするイメージもあるし、そんな国民が星条旗を持って自爆テロをするまでに追い詰められている。衝撃ですよね。
ほかにも、正体不明の兵士がジャーナリストたちを「お前はどんな種類のアメリカ人だ?」と問うシーン。おそらく人種差別主義者で良からぬことをやっている雰囲気、銃を持ち、怪しいサングラスで表情がいまいち読み取れない。
このシーンだけはゴリゴリに主張を感じられました。短いですが、この映画の芯だと思います。
直球な政治批判映画ではない
あらすじを見ても、直球の政治批判にならないように設定がかなりボカされていて、なぜこんな事態に?ってところがよく分かりません。
けど、そうなってしまった世界を描いているわけだから、変に詳しく説明するのも野暮だし。
そして、ロードムービーなのか、社会批判なのか、ジャーナリズム批判がやりたいのか、戦争映画を撮りたいのか、狙いがあちこちに向いて一つの作品としてみるとやや支離滅裂でした。
ただ、見どころとしては不快な暴力が生々しく迫ってくる不穏な感じが終始漂っていて、そこが最高です。
戦闘シーンがゲームみたい
これは意図されたことなのか不明ですが、戦闘シーンがゲームみたいでした(特に終盤)
生きるか死ぬかの戦場というより、FPSゲームのムービーみたいな感じ。
とくに終盤のホワイトハウスでの戦闘は完全にそれ。急に別の映画になったのかとやや困惑しました。
まとめ
素晴らしい映画ではあったのですが、なんかとっ散らかっていて、どういう映画なのかよくわからなかったという感想。
最後の射殺した大統領と兵士の記念写真風写真が「最後の写真がこれでいいのか?」と大いに疑問。いや、それすらも意図されたものなのかも?
でも、今年見た映画の中でいちばん印象に残ったし、いちばんおもしろかったと言える映画でした。
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