ロイノチノイ

近そうで遠い存在。

初めて見た時から不思議な感じだった。
冷たそうだけど、纏う空気は優しい。
たぶんしっかりしてるんだけど、ガラスみたいに脆く儚い。

『人を惹きつけてやまない人』

彼が最期まで尊敬していた人。
彼の人生を延ばしてくれた人。
感謝してもしきれない人。

その人の歌に彼も私も救われた。

その人の顔を知ったのは、彼がこの世を去った後。
アルバムの写真で初めてその人を知った。

たぶん皆がかっこいいと言うのは隣の人。
誰が見てもかっこいいと思う顔だから。

でも私は“その人”に目を惹かれた。
目を惹かれたというか、驚いたというか。

その人はこの世を去った彼に似ていた。

綺麗な二重。水分を多く含んだ瞳。
どこかを見てる憂いを帯びた表情。
そんなところは大人っぽいのに、笑うと子どもみたいに無邪気なところ。

その人と彼の姿が重なって見えた気がした。
その時、初めて涙が出たんだ。

彼はもうこの世に居なくて。
彼に似たその人は、彼の尊敬していた人で。
こんなに似ているのに、別人で。
彼にもその人にも、会えないんだ。

そんな事実が一気に押し寄せてきた。
当たり前のことなのに、涙が止まらなかった。

彼は私の1番近くにいた人。
その人は近くにいた人に似ている人。

近そうで遠い存在。

彼が亡くなったことに向き合えない私は、その人の姿を見ることが出来ない。
彼を重ねてしまうのが怖いから。

でも声だけは聴けるから。

その人の曲を聴いて生きていこう。
彼の死と向き合えるまで。
そしていつか向き合えたら、その人の姿を見てみたい。
悲しい気持ちを持たずに彼に似てるって言える日が来たら。

近そうで遠い存在だけど、貴方を知れて良かった。

Luca

皆さんが日々幸せを感じることが出来ますように

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