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世界遺産春日山原生林 ~柳生街道・滝坂の道を歩く~
柳生街道とは、奈良市内から柳生の里に続く古道です。
奈良時代・平安時代には山岳仏教の道場となっていたと考えられ、江戸時代には「柳生の剣」を求める武士がこの柳生街道を歩いて柳生の里へ足を運んだといわれます。
奈良市内から近い柳生街道前半部分の石畳の道は、特に「滝坂の道」と呼ばれています。
滝坂の道には山岳仏教信仰の対象となった石仏たちが数多く残されています。
また、私がここを歩いた時期は紅葉の終盤の時期に当たり、大勢の写真愛好者やハイカーで賑わっていました。
※この記事は前回の続きです。前編をお読みでない方は下記のリンクからどうぞ。
■このnoteを書いている人:かまふち管理人"sho"
日本の歴史・文化・自然・世界遺産、国宝、(続)100名城、日本遺産、建築、町並み、旧街道、映画、日本酒、折り畳み自転車などに興味があります。京都/奈良/横浜/鎌倉/江の島などなど…。
※プロフィールは下記リンク先を参照してください。
■円成寺から柳生街道へ
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運慶ゆかりの名刹である円成寺を出た後は奈良市内に戻ります。
ただし、次のバスの到着までおよそ1時間30分もあるため、バスを待たずにハイキングコースを歩くことにしました。
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円成寺を出てバス通りを少し歩くとハイキングコースの入り口の案内看板があります。
ここからハイキングコース(柳生街道・東海自然歩道)に入ります。
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ハイキングコースに入るとすぐに六体の石蔵が並んでいます。
この辺りは円成寺の共同墓地の入り口であり、そこには重要文化財の石塔もあるようですが、この時はそのことを知らずに先に進みました。
■円成寺公式サイト(境内文化財のページ)
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木立の間の道を歩きます。
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時折見かける案内の道標には東海自然歩道の文字が刻まれています。
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途中から舗装路と合流します。舗装路といってもここはバス通りではなく車に出遭うことはありませんでした。
■ともに江戸時代から続く石灯籠と峠の茶屋
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やがて田んぼや畑の見える丁字路に当たります。奈良市内に行くためにはここを右折しますが、左に進んで少しだけ寄り道します。
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10メートルほど進むと江戸時代からあるという石灯籠があります。
下から登って柳生の里に行くためにはここで左に曲がらなければいけません。この灯籠は数百年前からここが柳生の里に行くために曲がらなければいけいない交差点であることを旅人たちに伝えてきたのでしょう。
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畑や田んぼに囲まれた集落の中を歩きます。畑の中に五尺地蔵という石像があるようですが確認することは出来ませんでした。
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集落の中を暫く歩いていると公衆トイレがあります。公衆トイレはこことこの先の首切り地蔵の近くの2か所にあります。
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石切り峠の峠の茶屋です。この峠の茶屋は江戸時代からあるそうで、私が訪れたときはちょうど茶屋の主人らしき人が雨戸をあけているところでした。
営業しているのかと問うと営業しているとのことでした。茶屋の中を覗くと、うどんやそばのメニューが書かれていましたが、立ち寄ることはしないで先に進みます。
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峠の茶屋の先でコースは二つに分かれます。
左に進むと地獄谷石窟仏などの見どころがありますが、崖崩れのため通行止めだったので真っすぐ進むしかありませんでした。
■世界遺産春日山原始林 滝坂の道
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いったん車道(新若草山ドライブウェイ)と合流しますがすぐに左の道に入ります。ここから滝坂の道ということになるのでしょう。
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首切り地蔵は鎌倉時代の作とされる高さおよそ1.8メートルの大きな地蔵像です。
剣豪の荒木又右衛門が試し斬りをしたとの伝承があり首の部分に切れ目がありますが、剣豪でも最後まで切り落とすことはできなかったようです。
この付近は三叉路になっているところでトイレや休憩所もあります。奈良市内から歩いてくる場合はここがひとつの終点としての目標地点になるものと思います。
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滝坂の道は柳生家が将軍家の剣道師範となり大名となった頃に改修工事が行われた名残ではないかと考えられている道です。
この記事の前半に記載したハイキングコース入り口から舗装路まではいかにも人工林らしい植生ですが、滝坂の道に入ると木の種類や大きさ、太さもさまざまであり広葉樹も多くあります。
先ほどまでとは全く異なる植生であり、古くから人の手がほとんど入っていない原始林であることが感じられます。
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この日は紅葉の終盤時期ということもあり辺り一面散紅葉でいっぱいです。
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能登川に架かる小さな橋を渡ります。散紅葉が川面を埋め尽くすほどになっています。
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川沿いの岩に刻まれた3体の摩崖仏があります。東に向いているため朝日が昇ると真っ先に日が当たることから朝日観音と呼ばれています。
中央が弥勒菩薩、左右が地蔵菩薩で、鎌倉時代の文永2年(1265年)の銘が刻まれているそうです。
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深い森と美しいせせらぎに恵まれた道であり、石にはびっしりと苔が生えて緑色に光っているようです。
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道端にある石の表面に、この写真の角度ではわかりませんが、よく見ると横になった大日如来が刻まれています。
本来は崖の上の方にあったものが何かの拍子に転がり落ちてきたのではないかと考えられています。
この付近斜面を少し登ったところには夕日観音があるようですが、今回は立ち寄ることはしませんでした。
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散紅葉の絨毯と化した滝坂の道を下っていきます。
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昔の旅人のための道しるべだったのでしょうか、道端の少し高くなったところに石灯籠がありました。その周りも一面散紅葉で埋め尽くされています。
ここに立って写真撮影をしている間にもはらはらとモミジの葉が散っています。
下記動画はここで撮影した落葉の様子をYouTubeに掲載したものです。20秒程度の動画ですのでよろしければご覧ください。
■滝坂の道を出てならまちへ
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春日山原始林の区域を出ると通常の住宅街となります。道端には春日大社の末社である白乳神社がありました。
この付近から先は前日に春日大社から新薬師寺に行った時と同じ道を歩いてならまちへと足を運びます。
この続きは下記リンクからどうぞ。
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