SCAJ2024に行ってみた
年に一度のスペシャルティコーヒーの祭典、SCAJに行った。初参戦。私は本業はソフトウェアエンジニアなのだが、趣味兼副業でコーヒー豆の焙煎をしており、焙煎豆をカフェに提供する、ちょっとした卸売もしている。今はアマチュアもアマチュア、素人同然でもあるのだが、やわやわ腰を据えていろんな種類の豆を焙煎・提供していきたいなあと思っていた矢先、お世話になっている行きつけの焙煎店の方からSCAJの招待チケットをいただいたので、これはチャンスと思い向かうことにした。
SCAJはロースター・生豆の卸売業者・焙煎機や抽出器具のメーカー・バリスタやなど、コーヒーに関わる方が一堂に会するビッグイベント。
東京ビッグサイトの二つの会場を使って行われ、一つはtoB向け(生豆や焙煎機など)、もう一つはtoC向け(ロースター、カフェなど)になっている。
私は主に生豆卸売と焙煎機・豆包装のブースを回った。招待チケットをくれた焙煎店の方と巡り、業界通例などサポートいただいてありがたかった(当初は見学に来た素人ムーブでいこうと思っていたのだが、ブース巡り一発目から商談に向けたガチ会話が始まったのでこれはいかんなと思いちゃんとした)。社会人になって初めて名刺交換した気がする。
業者の話を聞いていると、個人の焙煎家が増えてきており、生豆卸売も門戸を開いている動きがあるということがわかった。アマチュア焙煎家は、固定客がいない限り基本個人消費か零細取引なので、生豆購入の基本単位である麻袋単位(69kg〜)で買いづらい。しかし、全部の業者ではないものの、1kg〜からでも購入できる業者が多くあり、それだけ個人焙煎の需要の高まりがあるのを感じた(その分単価はもちろん上がるが)。中には100gから購入できるところも。
もう一つのtoC向けの会場では、ロースターが提供する多種多様なコーヒーを味わうことができた。肌感として、全体的にどこいってもゲイシャという印象。合間合間にインフュージョン、アナエロビックといった感じだった。最近のトレンドはあまり変わっていないようだ。沢山の豆を購入することができた。家で飲み比べするのが楽しい。
一つ勉強になったのは、ロースターも本当に色んな所があるのだなということ。
例えば、数g数千円で提供するような高級志向のロースターも沢山あったのだが、あるメニューには独自ブランドの豆の名前と価格しか書かれていない。文脈を知らなければ意味がわからないし、特徴もわからないのに数g数千円のコーヒー、私は買えないな…と。高級寿司屋でマイナーな魚しかない品書きから値札がない状態で選べと言われているような感じ。購入前に試飲もできないと言われ(後に普通に貰えたので冷やかしと思われたのかも)、強気にやっているなあと思った。
私の職業上、調べてわからないことは聞く、わかっていても理解が浅い領域であれば聞いてみるというスタンスなので、数千円違うAとBの豆について違いを聞いたのだが、産地や製法がいかに他と違うか、シトラスの感じが少し異なり…といった感じで、想像だけで表現と味覚のマッピングができない自分にはよくわからなかった。想像力に乏しい自分に悲しくなった。
まあ、良い悪いではなく、単に私がそういう世界での客ではなかったという話だったのだが。だが知ったのは、通常の豆の何倍もする価格の豆の購入妥当性を想像だけで担保し、購入する層もいるということだ。世界は広い。私の勉強不足だなぁと痛感するのと同時に、私が目指さなくても良い道が一つ決まった気がする。当たり前に、難しくないコーヒーを作りたいなと思った。
一日だけの訪問だったが、めちゃくちゃ楽しかった。アマチュアで適当にやっていたのだが、本格的な取引を前提とした業者との良い緊張感のある会話ができて、一気に経験値が上がった気がする。井の中の蛙だったところにも気づくことができた。とはいえ、今はソフトウェアエンジニアリングがメインなのでやわやわ続けていくのは変わりないのだが、良い出会いもあり、いくつか面白いことができそうだ。
来年はもっと下調べや準備をしてから行ってみたい。
ちなみに、この日はカフェイン摂取量が跳ね上がり、如実に体調が悪くなってしまった。カフェインの摂りすぎにはご注意を。
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