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イッツアワンダフルワールド カード別評価(第三弾)

はじめに

 Board Game Arena(通称BGA)ではブラウザで数百種類のゲームをプレイすることができるが、その一つにイッツアワンダフルワールド(通称ワンワル)というゲームがある。ワンワルの攻略記事はいくつかあるが、本noteではワンワルに登場するカード単体に焦点を当てて、評価・解説をしていく。なお、本noteはBGA版アリーナモードのルール(2人戦帝国B面拡張なし)に準拠した評価となっている。ちなみに、ワンワルの戦略について知りたい方は、私が以前書いた「BGA版イッツアワンダフルワールドのすゝめ(以下リンク)」を読むことをオススメする。

 本編に入る前に評価の見方について説明をする。本noteでは以下の形式でカードを評価する。

評価の例
  • 建設コスト……建設するのに必要なコスト(カード左上部)

  • 生産……各ラウンドで発生する資源量(カード最下部)

  • 売却……カードを売却した際に得られる資源の色(カード右下部)

  • 建設時ボーナス……カードを建設した瞬間に獲得するもの(カード下部)

  • 点数……ゲーム終了時に得られる勝利点(カード左下部)

  • 枚数……カードの収録枚数(カード右上部)

  • 評価……各ラウンドにおけるピック優先度を示し、10~1点で表される

  • 使いやすさ……カードの使いやすさを示し、5~1点で表される

 本noteではカードの総合評価は行わない。というのも、カードによって序盤に引きたいカード、終盤に使いたいカード、生産を強くするカード、大量得点するカードなど役割が異なるからだ。そのため、総合評価の代わりに各ラウンドでのピック優先度(≒強さ)として評価している。これによって各カードの尺度を合わせて評価できると考えている。

 なお、本noteでは便宜上以下の用語の読み替えを行う。公式のルールブックと合わせて読む場合は注意していただきたい。

  • 建材・建造物→白

  • エネルギー・軍用機→黒

  • 科学・研究→緑

  • 資金・巨大事業→黄

  • 探査・発見→青

  • クリスタリウム→赤

  • 選択→ピック、取る

  • 構築→建設、建てる

  • リサイクル→売却

  • 製造フェイズ→生産フェイズ

  • 不変→固定点(タイムトラベルなど)

 その他、用語として

  • カット(相手が欲しがっているカードを妨害目的で取ること)

  • ルート(生産から最終的な得点までの一連の流れ、道筋)

  • 回る(資源の生産やカードの建設が滞りなく行われること)

  • 参照(生産や得点のために投資家・将軍や建設済みのカードの数を用いること)

などがある。

カード評価(第三弾)

 ワンワルは基本セットで78種類のカードが存在する。それらを1noteで全て列記すると、とんでもない量になってしまうため、何回に分けてカードの評価・解説をしていく。第三弾の本noteでは黒カードを扱っていく。

以下が本noteで評価・解説をするカードの一覧である。

  • 飛行船

  • 巨大掘削機

  • 機甲師団

  • 潜水艦

 今回紹介するカードは低~中コストの黒カードである。かなり似た性能をもつカードだが、それぞれ異なる役割を持つので、本記事を読み終える頃にはその違いを少しでも理解していただけたら幸いである。

飛行船

略称はなし。独名はZEPPERIN(ツェッペリン)なので、
そちらの方が雰囲気に合っている気がする。

 黒カードのトップバッターは飛行船。黒カードの中で最もコストが安く、最も生産量が少ないミニマムなカードである。ちなみに、飛行船に類似したカードとして巨大掘削機や機甲師団があるが、それらとの比較は後ほど行う。

 飛行船の評価だが、1ラウンドの4点に比べて2ラウンドが5点と評価が少し高く、そこからまた落ちていくという、少し変則的な点数をつけている。この評価の理由及び、飛行船の強み・弱みについて解説していく。

 1ラウンドの評価がパッとしないのは、単純に飛行船よりも強いカードがたくさんあるからである。もし原子力発電所が建つなら黒生産が4あるので、空挺研究所や砕氷船、飛行戦隊などの資源を2個以上生産できる黒カードを建てる方が強く、むしろ飛行船だとせっかく生み出した黒生産を十分に使い切れないことの方が多い。ただし、青生産が1でもあると青の最多生産で将軍をもらえるチャンスがあるので、他に建てられる黒カードがないなら建てた方が良いのは確かである。

 では、2ラウンドの評価が少し上がるのはなぜか。これには理由が2つある。

 1つ目の理由は他のカードのついでに建てやすいという点である。例えば、1ラウンドに原子力発電所を建てたプレイヤーが2ラウンドに白2を使って風力発電所を建てたとする。そうなると2ラウンドの黒生産が5になるが、空挺研究所や砕氷船などは建設コストの黒の要求数が3なので、黒生産が2余ってしまう。これを余さず使えるのが飛行船というわけだ。

 2つ目の理由は空母や超音波探査といった建設済みの黒カードを参照するカードと相性がいいという点である。1ラウンドから空母や超音波探査を計画エリアに置くのは勇気が要るが、2ラウンドで方針が定まったタイミングで空母や超音波探査がやってくると建設しやすい。その時に安めの黒カードとして飛行船を建てて黒カードの枚数を稼ぐというのは無難に強い手になる。

 3,4ラウンドに評価が再び下がってしまうのは、シンプルに生産量が少ないからである。特に4ラウンドでは建てずとも売却で青1が手に入ってしまうので、黒カードを参照するカードがない限り基本建て損である(建てる場合、黒2を払う必要があるため)。

 総評としては生産量は控えめだが、建設コストが安く使い勝手のいいカードであり、カード別評価第一弾で熱弁した風力発電所と似た扱いになっている。単独で光り輝くほどのパワーはないが、要所でワンポイントで使ってあげることで青の最多生産が取れたりと期待以上の活躍をしてくれるだろう。非力だが侮れない、将棋の歩のようなカード、それが飛行船である。

巨大掘削機・機甲師団

略称はないが、長いのでなにか付けたい。労災が多発していそう
略称は特になし。機甲師団と声に出すと、意外と語感が良いことに気づく。

 次は巨大掘削機と機甲師団の2枚である。これらは建設コストや生産面で非常に似たカードであるので、比較のしやすさも兼ねて2枚まとめて評価・解説をしていく。

 まずは巨大掘削機。実は白と青の生産を両方上げる唯一のカードである。飛行船と比較すると建設コストに白1が追加で要求されるが、白生産が1上がるので3ラウンド白生産前に建てられたら資源の収支はプラスになる。逆に4ラウンドに建てると、白1を余計に支払わないといけない上に売却色も白で融通が利きにくいため、飛行船の下位互換に成り下がってしまう。

 評価は1ラウンドが5点と最も高く、ラウンドが進むにつれて低くなっていく。これは単にこのカードが生産しか得られないため、早いラウンドで建てた方がトータルでもらえる資源が多くなるからという理由である。

 相性がいいカードは風力発電所。巨大掘削機の建設コストが白1黒2なので、初期生産から黒を1増やすだけでよく、以下の3枚のカードでお手軽にコンボが出来上がる。

  • 風力発電所……1枚

  • 巨大掘削機……1枚

  • 白売却カード……1枚

  • 自由枠(青カードなど)……4枚

 カード別評価第一弾で紹介した原子力発電所を用いたコンボの方がもちろん生産力は段違いに高いのだが、こちらの方が成立難易度が圧倒的に低く、ピックの自由枠も4枚あるため、点数カードをキープしたり、2ラウンドに建てたい生産カードを取っておいたりと余裕をもった立ち回りをすることが出来る。

 逆に相性が悪いのが原子力発電所。というのも、1ラウンドの場合原子力発電所を建てるのに白売却を2枚必要とし、さらに巨大掘削機用に白1が必要になるので、売却カードを集めるのが非常に困難な上にそれに見合うリターンではないからである。原子力発電所は黒3を生み出してくれるのが強みなので、巨大掘削機よりも空挺研究所や砕氷船などの建設コストに黒3を要求するカードを建てた方が組み合わせとして良い。このあたりは飛行船に通ずるところがある。

 もし、巨大掘削機と原子力発電所を活かすなら、1ラウンドは原子力発電所を建てずに巨大掘削機を黒売却or風力発電所で完成させ、増えた白生産を活かして原子力発電所に繋げるといったところか。白生産が上げにくい黒青ルートにとって序盤の白資源は非常に貴重なので、巨大掘削機でお手軽に白生産を増やすことによって白売却カードのピックをかなり楽にしてくれる。

 まとめると、巨大掘削機は建設コストが安く白生産を増やすため、原子力発電所が建てられない時やそもそもドラフトにない時の次善の策として優秀である。また、自身が白売却カードなので、必要がなくなったら売ってしまっていいという点で非常に潰しが効くカードである。ちなみに似た性能を持つ機甲師団が7枚あるのに対し、巨大掘削機は地味に4枚しかないため、ルートが被った時は意外と取り合いになる点については注意が必要である。

 続いては機甲師団。巨大掘削機と同じ建設コストを持ち、白生産がない代わりに建設時ボーナスで将軍が1枚付いてくるカードである。飛行船と比較すると、白1を追加で払うことで将軍が1枚付いてくると捉えることもできる。建設時ボーナスで将軍が手に入るカードの中では最も建設コストが安い部類に入るため、4ラウンドに将軍目当てで乱獲されることもしばしば。人によってはボーナスの将軍がメインで青生産はおまけとして見ているという方もいるだろう。

 ラウンド毎の評価は生産が重視される1・2ラウンドは4点とまずまずの点数で、得点が重視される4ラウンドでは5点という結果になっている。1・2ラウンドでは建設コストの白1が重たく感じてしまうこと、将軍参照カードがあまり取れなかった時の事を憂慮して使いやすさは4点にしている。ちなみに、機甲師団は建設コストや生産が巨大掘削機と非常に似ているということから、運用方法に関しては巨大掘削機とほぼ同じと考えてもらってよい。

 ここまでで飛行船、巨大掘削機、機甲師団の3枚を評価・解説したが、少し煩雑になってしまっているので、少し整理をしたいと思う。

各黒生産の手段に対する飛行船、巨大掘削機、機甲師団の比較表。飛行は飛行船を、掘削は巨大掘削機を、機甲は機甲師団をそれぞれ表している。

 上に示したのは黒生産の手段に対するそれぞれのカードのオススメ度合いを表している。各マスの中では左のものほどオススメ度合いが高いという意味合いである。例えば、原子力発電所を1・2ラウンドに建てる時のオススメは1番が飛行船、次に巨大掘削機、最後に機甲師団、という風な具合である。ただし、この表はあくまで目安であって絶対的なものではないので、白売却カードがないなら風力と飛行船を組み合わせたり、そもそも黒生産や黒売却カードがないなら巨大掘削機を売却に充てて白3黒1のカード(研究施設や工業団地など)を建てにいくなど、柔軟な対応をする必要があることは念頭に置いておいてほしい。

潜水艦

略称はなし。黒カードは軍事をモチーフにしているため、ディストピアと評されることが多いワンワル界の中でも労働環境が特に酷い。

 本noteの最後を飾るカードは潜水艦である。白2黒3とやや重めの建設コストを持ち、まずまずの青生産をもたらしてくれる。似たカードである機甲師団と比較すると、白1黒1を追加で払うことで青生産が1増えたとみることが出来る。

 そんな潜水艦だが、評価としては全ラウンドを通して低めの点数に収まっている。これには大きく分けて2つの理由がある。

 1つ目は潜水艦の建設コストの重さにある。黒青ルートをやる上では白2が非常に重く、1ラウンドでの原子力発電所との併用はほぼ不可能。風力発電所で誤魔化すにしても、合計で白資源が4つ必要になってしまう。なおかつ黒3を用意するためには風力発電所だけでは足りないため、売却などに頼らざるを得ない。つまり、1ラウンドで建てるにはコストが重すぎて無理なのだ。

 もちろんボーナスで将軍がついてくるという利点はある。しかし、1ラウンドは青生産を1でも作ることで青の最多生産で将軍を獲得するのが大事なので、潜水艦がそもそも1ラウンドで建てれないなら、他のカードで青生産を上げて最多生産の将軍をもらう動きと比べて、将軍の獲得枚数は変わらないのだ。

 では、黒生産が安定してくる2ラウンド以降ならどうなのかという話になるが、それでも建設コストの重さは変わらない。というのも、白2を潜水艦に使うメリットがないのだ。

 白2があるなら白売却カードを1枚拾ってきて白資源を3つにすることで、研究施設や軍事基地といった緑生産カードを建てて、緑の最多生産を狙ったり、風力発電所を建てて黒生産を上げることで黒の最多生産を相手に渡さないようにしたりと青以外の色の最多生産を狙う動きがたくさんできるのだ。それを押し退けてまで潜水艦を建てて青生産を伸ばすメリットは薄い。

 強いて建てるタイミングがあるとしたら、白カードがない時と1ラウンドにリサイクル工場を建てていて白生産に余裕がある時。いずれにせよ、潜水艦を”建てたい”シチュエーションではなく、潜水艦を”建ててもいい”シチュエーションであることには留意してほしい。

 ここまでは潜水艦の建設コストについて述べた。続いて評価が低い2つ目の理由だが、それは潜水艦によって得られる生産や建設時ボーナスに独自性がないことである。

 青生産を2伸ばすなら、砕氷船でもできる。将軍をもらうだけなら機甲師団の方が建設コストが安い。反対に潜水艦に白1黒1を追加することで、青生産最強カードの空母になる。どの角度から見ても、潜水艦の代わりになるカードがあり、潜水艦独自の強みというものが全くないのである。

 ワンワルはゲーム全体を通して使えるカードは28枚と限られている。そのため、無駄なピックはできるだけ避けて、ピックしたカード1枚1枚に果たしてほしい役割を与えるべきなのだが、その中に他のカードでも代用が効いてしまう潜水艦をわざわざ優先してピックする必要はほぼほぼないのである。

 言い換えれば、どんな時でも一定の働きはしてくれる代わりにコストパフォーマンスが悪いカードである。

 総評としては、白売却として取るならアリだが、青生産カードとしてみるなら最も優先度が低いカードであると言わざるを得ない。他に青生産を2以上増やせるカードがないなら仕方なく建てるしかない、ぐらいに思ってもらって構わない。もし、このカードを好きな方がいらっしゃたら、気分を害してしまったかもしれない。申し訳ない。

おわりに

 今回は黒カード4枚の評価・解説を行った。建設コストや生産が似たカードが多かったが、それぞれの特性や長所を理解していただけたら筆者としては冥利に尽きる。最後に。前回の投稿からかなり間が空いてしまってすみません!書ける時にぼちぼち書いていきますのでよろしくお願いいたします。それでは、次回のnoteでお会いしましょう!

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