【ライブの記憶】なぜ都市に音楽は必要なのか? みんなで考える音楽都市のつくり方|Music City Conference Vol.00 2024/09/21
「なぜ都市に音楽は必要なのか? みんなで考える音楽都市のつくり方|Music City Conference Vol.00」に現地参加してきたので、タイムテーブルの流れに沿いながら、感想をざっと簡単に書き残しておきます。
ここ最近参加したイベントの中で、最も刺激的で、最も面白かったです。
まずは、この会に至った経緯などから。
以下辺りで書いてあるように、Sound Diplomacyはもともと黒鳥社でやっていたツアーで話を聴きに行ったこと等もあったそうです。
そして今回黒鳥社から『THIS MUST BE THE PLACE: How Music Make Your City Better』の日本版を出すことになり、そこから齋藤さんに話が行ったりして、今回の話に至ったとのことでした。
なかなか面白い座組だなと思っていたのですが、これで納得できました。
ここで若林さんが今回本を出すにあたって言っていたことが本当にそうだなと思いました。
おそらく現代において本を作ること自体は大したビジネスにはならなくて、それを契機にどういう仕掛けができるのか?という状況なのだと思っています。
なので、本はあくまで最初の一手であり、ある種の会員証的な役割を果たして、緩やかなコミュニティとして、一緒に同じ課題意識を持って考えていける仲間として、その先を進めていきたい
的な話は、かなり納得感がありました。
つまり、"文脈"の時代なんだと思います、何か一つで終わらせるのではなく、それを前後でどう繋げていくか。
次は、『THIS MUST BE THE PLACE: How Music Make Your City Better』を上梓されたシェインさんのプレゼン。
通訳の方(名前を失念してしまいました、、)との息もばっちりかつ、自分の英語レベルでもそれなりに聴き取れるわかりやすいプレゼンで、興味深かったです。
面白かったポイントはいくつもあるのですが、一つあげれば、
いま都市を考えるときに、"音楽"というのが、そもそも考える議題に乗っているのか?いや基本乗っておらず、"音楽"は大体都市が出来上がった後に、後付けでつけられているのが多い。だから、最初から音楽を都市に組み込んで考える必要があるのだ。
的な話が最も印象的でした。
ただそのうえでネックになるのが、"音楽"について我々は全然知らないよね、とりわけ行政の人がどれだけ"音楽"のことを知っているだろうか?ということで、本当にそうだろうと思います。
一応音楽好きと言っている自分でさえ、音楽業界がどういうビジネス構造で動いているのか、いまだによくわかっていないので、行政の人なんか言わずもがなだと思います。
増して、コロナ禍でも色々揉めたように、音楽業界のような場所は、客観的にみたときに、例えば医療や福祉などと比べれば、普通に考えて優先度が落ちるものでしょうから、そういう前提に立ったときに、
ちゃんと、データやエビデンスに沿って、"Music City"というのを考える必要がある
という話は、とても自分には腹落ちする内容でした。
最後のスライドに書いてあった(ざっとメモに起こしただけですが、たぶんあっているはず、、、)、
というのが本当にその通りであって、だからこそその前提に立って何ができるんだっけ?という話なのだと思います。
そして、シェインさんのプレゼンを受けてのディスカッションタイム。
ここで印象的だったのは、「翻訳者」の重要性の話でした。
話としては、齋藤さんより、そもそも風営法やナイトクラブの話をするときに、その枠組みだけでなく、より広げてライフスタイルだったりの話をしたいのだが、どうしてもそういった違う文脈を繋げて違う立場の人と話をするときには、共通言語がなく、言葉が通じないというケースが多くて大変というところで、出てきた話でした。
そこに対して、シェインさんが出したのが、自分は「翻訳者」だと思っているということでした。
基本的に、感情的な議論にしても大体誰も聴いてくれないわけで、相手がわかるような言葉を話さないといけない。ただ、音楽業界ではデータで話すことが少なく、どうしても感情的な話に持っていきがちなので、そうではなく、ちゃんとデータ・エビデンスで、話さないといけないんだ
という内容と理解しています。
この話は、後続でも何度か出てくるわけですが、本当にそうだなと思います。
で、これって、自分が属するITの世界でも全く同じ話があるんですよね。
システムを作るときは、基本的に業務を考える側と、システムを作る側に分かれるわけですが、この間は基本的には、本当に言葉が通じないわけです。
なぜなら、業務においては、大体かなり属組織的な用語や言葉を使っているので、それが具体的に何を意味するのかは、業務に詳しくないシステム側はわからないもしくは誤認すること多々ですし、
逆にシステム側が使うIT用語は、業務側には基本通じるわけがないわけです。たったプログラムを一行変えるというだけでも、リリースまでには1ヶ月かかることがあるという話が、一般的に・直感的に理解できるとは到底思えません。
だから、この間を翻訳することが必要。それが人のスキルの問題なのか、役割の問題なのか、組織設計の問題なのか…etcというのは色々ありますが、
優れたテクノロジー企業というのは、なんらかの形でこの翻訳がスムーズに行われていることは間違いないと思います。
つまり、この「翻訳者」の問題は、音楽業界に限った話でも全然なく、専門性特化が進んできた現代における、かなり普遍的な課題なんじゃないか、と思いながら聴いていたので、かなり印象に残った点でした。
ちなみに、「CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣」という、いわゆるDX的な話について書かれた本は、結構良い本だなと思ったのですが、
ここでは、以下のように書かれていて、まさしく上の話とリンクする部分があるなと思います。
ここで少し趣が変わって、CANTEEN遠山さんと若林さんのパネルディスカッションへ。
CANTEENのことは、最近までほとんど知らず、遠山さんの話を聴いたのも初めてだったんですが、あまりに面白すぎてびっくりしました、、、
こんな方いたんですね、という感じで、今後かなりちゃんとチェックしたいと思いました。
内容については、色々とあって書きづらいのですが、
とにかく具体と抽象、主観と客観のバランスがとても良い方だなと思いました。
自分の事業に関する解像度はもちろんのこと、そこから適度に抽象化した形で、自分の事業としっかり繋げながら、国や音楽業界全体のビジネスについて地に足つけて語れる人って、少なくとも自分はあまり観たことがない気がするんですが、それをしっかりとやっていて、めちゃくちゃ凄い、、、と思いながら聴いていました。
話題は色々あったのですが、ここで話していた客を5年かけて育てたんだという話もしていて、めちゃくちゃ良いなと思いました。
自分の理解としては、一貫して「何か突飛なことに夢を見るのではなく、普通に考えてやったほうがいいこと・やるべきことを、ちゃんと地道にやり続けることの重要性」という話をしていた気がしていて、本当にそうだなと思いました。大体のことはこれな気がするので。
若林さんが出てて、時間が押さないわけがないわけですが、25分押しぐらいで収まったのがすごい気はします。
そんなこともあり、Closing Talkはなしでそのまま終了。
その後の懇親会では、DJ:サブマースが良い感じの音響で音鳴らしてましたし、九段ハウス(山口萬吉邸)の場所の良さもあって、かなり良い雰囲気でした。
自分が何をできるかはよくわかりませんが、これはVol.00なので、ここから面白い方向に発展していったらいいなと思いますし、そこに自分も何らか貢献できればいいなと思う、そんな時間でした。Vol.01も楽しみ!!
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