Heads or Tails?第三話『初めの第一歩』

街中

イ「寮だから持って行くモノ用意しとけよ。俺はまだ調査記録するから。」

ア「はい。」

イ「あと、ベンサム…癖強のオッサン以外タメ語でいいぞ。」

ア「わかり…った。(何で言い換えた?)」

アックスはカレンとペンタゴンのもとへ行く。

カ「うまくいったようだね。」

ア「うん。」

カ「無知な君に教えてあげよう。こういう時は感謝するんだよ。」

ア「あーうん。ありがと。」

アックスの頭を撫でる。

カ「よく言えました〜」

ア(俺煽られてる?)


雑貨がそろう服屋前

3人が品物を見る。

ア「なんか用意しとけって言われてさ…」

アックスはうり坊のデカぬいぐるみを抱きしめる。

ア「前からこれ欲しかったんだよな〜モフコロパラダイス〜」

ぺ「(はい〜あだ名ビクティム2号誕生〜)金どーすんだ?使うのか?」

ア「うん。人助ける代わりに情報もらおっかなって。」

カレンが服を見、アックスが隣に行く。ペンタゴンがアックスの抱えているぬいぐるみに話しかける。

ぺ「よろしくな2号。俺は1号だ…なんか喋れやオラ‼︎殴ったろか⁉︎」

カレンがアックスを見る。

カ「何日も同じ服着てるから欲しいな〜」

ア「いくら?…げっ‼︎ごめん…」

カ「え〜」

カレンが上目遣いし、2人が見つめ合う。

ア「…しゃーねぇな〜今日は世話になったしな〜」

カ「やった〜‼︎やっぱり君、優しいね‼︎」

ア(そんな顔されたら断れねぇだろ…)

ぺ「俺サンドバッグとエロ本〜‼︎」

ア「お前はアレで負けたからチャラな。」

ぺ「チッ。覚えてたんかい。(どーせバレねぇから盗んだろっかな…)」

ア「カレンはどの服が欲しいの?」

カ「…君が可愛いと思う服が欲しい。」

ア「え?」

カ「だって見えるのは君だけでしょ?」

ア「え…まあそーだな。(誤解しそうな言い方だな…あと俺にファッションセンス求めんなよ…)ん〜これとか…」

アックスが大きく犬が描かれた服を取ろうとするとカレンが腕を引っ張る。

カ「やっぱり自分で決める。」

ア「あ、うん…(犬嫌い?)」

2人で服を眺める。

カ「うーん…」

ア「…そのパーカーって便利屋のやつだよな?」

カ「え…まあ…」

ア「何で持ってんの?しかも元リーダーの。」

カ「それは…内緒かな。」

ア「そっか…」

カ「これでいいや。」

先程の犬の服も混ざっている。

ア「(犬好きなんかい。)おばさーん‼︎」

白髪のおばさんが出てくる。

女「また黒髪のガキかい。38000チーだから…114000チーだよ。」

ア「3倍は高いって‼︎マジ足りない‼︎」

女「有金全部にまけてやるよ。」

ア「うぃー…」

店から出てくる。

ア「はいこれ。」

カレンに青いイヤリングを渡す。

カ「え?」

ア「目と同じ色で綺麗かったし似合うと思うんだけど…」

カレンは顔を赤らめ、触覚髪を触って照れる。

ア「いらなかった?」

カ「いる‼︎ありがと‼︎」

ア「お、おう。」

ペンタゴンが真顔で見る。

ぺ(新婚かよ。)

ホールが血だらけで走ってくる。

「やっと見つけた…悪ぃな…俺の…家族のために死んでくれ‼︎」

ホールが銃を突きつける。

パンッ‼︎

気づくとアックスの前にイーサンがいる。

ア「イーサン‼︎」

イーサンがホールを地面に押さえつける。

イ「人に銃口向けんじゃねぇよ、クソガキ。」

ホールから大量の水分が流れ出て体が萎む。

ア「(能力者…‼︎…家族のため…)待って‼︎ソイツ見逃してくれ‼︎」

イ「お前を殺そうとしたんだぞ?」

ア「…いつか俺の手で殺すから。」

ホールの体が元に戻り、手を離す。

イ「準備できたか?行くぞ。」

ア「ちょっ、イーサン‼︎」

イーサンの腹から血が出ている。

イ「大丈夫だ。撃たれ慣れてるし失血量ぐらい調節できる。」

ア(撃たれ慣れてる…?失血量調節…?)

イーサンに続いて3人も歩いて行く。

ホ「…アックス…ありがと…ごめん…」

ホールが仰向けで泣く。アックスは立ち止まって振り返る。

ア「…家族のために長生きしろよ。」

無客の電車内

アックスは背もたれに寄りかかって座り、横でイーサンが足を組んで座る。向かいでカレンがぬいぐるみを抱いて顔にスリスリさせながら座り、ペンタゴンは寝転がっている。

カ「モフコロ〜」

ア(ずっと見てられるな…)

イ「いつか切符代返せよ。」

ア「うぃー…」

ぺ「俺らは薩摩守だからな。」

カ「ちゃんと座ろうね、ペンタゴン。」

ぺ「誰も見てねぇしいいじゃねぇか…ってかお前地味にその名で呼ぶな‼︎」

カ「別にいいじゃん、ペンタゴン。」

ぺ「お前揶揄ってんだろ‼︎」

イーサンが開いている窓を閉める。

イ「なあガキンチョ。初依頼してもいいか?」

ア「うん‼︎内容は?」

イ「…便利屋のリーダーになること。」

ア「ん?ふぁ⁉︎エースを超えるってこと⁉︎」

イ「そーだ。でも俺が求めているのは強さだけじゃなくて嫌われる覚悟だ。お前はその覚悟を持てるか?持てないならここから突き落としてやる。」

ア「え⁉︎それは酷くない⁉︎」

イ「冗談だ。因みに対価は、3年後の9月17日までにある情報を提供することだ。」

ア(嫌われる覚悟…友達になるの真逆だな…)

アックスの頭をぐしゃぐしゃする。

イ「俺にできるかな?みたいな顔すんな。発想を逆転させろ。お前にしか出来ないから依頼してんだ。」

ア「…わかった。」

アックスの肩を叩く。

イ「さすが元リーダーの息子だ。」

ア「え?俺の父さん知ってるの?」

イ「当たり前だ。で、リーダーになる為にどうするか考えてんのか?」

ア「いや…でも憧れの人の真似をしろってよく言うからイーサンの…」

イ「それはやめろ。」

ア「え?」

イ「自然と似通ってくるのは仕方がない。でも故意にするな…俺を模範解答にするな。下書きにしろ。俺の良い所を下地にしてお前の長所を混ぜろ。じゃねぇと俺すら超えられねぇぞ。」

駅に着き、イーサンが立ち上がる。

イ「行くぞ。」

ア「うぃー…(さっきから思ってたけど…イーサンかっこよすぎじゃね⁉︎めっちゃいい匂いするし‼︎イケメンはみんなこうなのか⁉︎)」


山の中の便利屋アジト

大きな家と時計塔がある。

ア「でけ〜‼︎」

イ「…親の名を絶対に誰にも言うなよ。」

ア「なんで?」

イ「お前のためだ。」

4人が入ろうとすると、それぞれ違う色のパーカーを着た、22歳の茶髪女レミと28歳の茶髪女リサと18歳の茶髪女クレアと18歳の黒髪男トンが出てくる。

レ「イ、イーサン‼︎」

リ「やけに遅かったな。」

イ「色々とあってな。」

ア(何か一杯出てきたな…)

ク「この子誰〜?」

イ「新入りのテットだ。」

ア(テット…)

ク「よろ〜‼︎」

クレアとアックスが握手する。

ア「よ、よろ〜(たぶん良い奴。)」

ク「白黒カッコいいね〜‼︎」

ア「あ、ありがと…(グイグイ来るな…)」

レミがイーサンの袖を引っ張って耳打ちする。

レ「この子、もしかして秘書?」

イ「違う。そーだとしてもレミに関係あるか?」

レ「あるわよ‼︎だって私ずっとイーサンの秘書になるために1人で…」

イ「ん?何?」

レ「何でもないわよ‼︎それよりアンタ、その傷何⁉︎」

イ「大丈夫だ。」

レ「そ、そう…」

レミの頭をぐしゃぐしゃする。

イ「いつも心配してくれてありがとな。」

レミが顔を赤らめる。

レ「う、うん…」

ク「ねぇイーサン。テット仕事に連れて行っていい〜?」

イ「ん?行きたいのか?」

ア「行きたい‼︎」

イ「…経験も必要だ。楽しんでこいよ。」

ア「うん‼︎」

ト「なぁエクレア。朕いる?」

ク「ううん。いらない。」

ト「よかったお。朕ずっとウンチッチ我慢してたんだお。」

ク「知らんがな。」


街中

白いスポーツカーの運転席にリサ、助手席にゴーグルをしたアックス、その後ろにクレア、その横にレミが座って信号待ちしてる。

ア「この車かっけぇな‼︎」

リ「だろ‼︎ワイの愛車イーグル‼︎他にもハヤブサとホークがあるんだ‼」

ア「おぉ‼︎」

ク「私も入れる話題にしてよ〜」

ア「そーいえば依頼って何なの?」

ク「銀行強盗らしいよ〜こういう依頼久しぶりだよね〜?」

リ「だな。最近はレンカノばっかだし。」

ア(本当に便利屋なんだな。)

アックスがバックミラーを見ると、レミがニコニコして外を見ているが、話に入ってくる。

レ「このメンツで良かったね。」

リ「間違いない。ウンチッチとか完璧とかうるさいからな。」

ク「それな〜‼︎」

アックス以外が盛り上がる。

ア(癖強い奴がおることしかわかんねぇ…)

クレアが後ろから両手でアックスの頬を摘む。

ク「私が話に入れなかった気持ちがわかったかな〜?」

ア「お、おう…(恥ずいからやめろ‼︎)」

目の前を猛スピードで車が通りすぎる。リサがニヤリとする。

リ「み〜つけた。掴まってな‼︎」

ブウゥン‼︎

ク「カーチェイス〜‼︎」

ア「え?今の?」

リ「ワイの目の良さ舐めんなよ。」

赤信号で猛スピードで駆け出す。荒ぶりすぎてリサ以外は車内で無重力状態。

ク「イェーイ‼︎」

ア、レ(酔ってきた…)


強盗車内の男3人

「なぁ。あの車早くね?」

「確かに。」

「まさか…」

後部座席の男が双眼鏡で見る。

「ぅぉおい‼︎ヤバい‼︎ワースト4だ‼︎」

「嘘だろ⁉︎撃て撃て‼︎」


便利屋車内

リ「銃だ‼︎伏せろ‼︎」

パン‼︎パン‼︎バリン‼︎

リ「愛車傷付けんじゃねぇよ‼︎テッちゃん運転変わって‼︎」

ア「え⁉︎俺免許持ってないんだけど⁉︎」

リ「そんなもん誰も持ってないだろ。」

ア「なわけねぇだろ‼︎(ヤベェわこの人‼︎)」

運転席を2人で座る。

ア(体当たってるんですが‼︎)

リサがローラースケートを右足だけ履き、右前髪をピンで上で止め、ドアを開け、右足を出して立つ。

ア「ふぁ⁉︎(さっきからこの人、体幹異次元じゃね⁉︎)」

レ「逃すかよ‼︎」

レミの両目に照準が出る。

ア(能力者?)

リサがニヤリと笑う。

リ「チェックメイトだ。」

パン‼︎

車のキーに当たり、ブレーキしか掛からなくなる。

リ「よし‼︎当たった‼︎イェーイ‼︎」

ク「イェーイ‼︎」

ハイタッチする。

レ「何回乗っても慣れない…」

リ「ほらテッちゃんも‼︎イェーイ‼︎」

ア「イ、イェーイ‼︎(ギャップ萌え可愛ぇ‼︎一瞬で酔い覚めてもーた。俺もレンカノしよっかな?)」

「こっちもお願いします。」

全員助手席を見る。ベスト2が乗っている。リサ以外パニクる。ベスト2がなぜここに⁉︎

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