『HEADS or TAILS ?』第3話
華山「どーしてお前がここにいる…⁉︎仕事は⁉︎」
静流「あの量ぐらい、ちょちょいのちょいだ。俺は金城さんが思っているほど無能じゃない。」
華山「外のヤツらはどーした⁉︎アイツらはお前より強いはずだ‼︎」
静流「安心しろ。開店まで時間があるから寝てもらった。」
家の外で何人も倒れており、その中には静流にポケットティッシュをもらったヤンキーもいる。その周りで市民がザワザワしている。
華山「お前…」
静流「金城さん、人の家でそういうことされると困る。早く帰ってくれ。」
穂希「ち、違う‼︎全然そういうことじゃないから‼︎」
華山「そーだよな〜。[拳銃を穂希に向ける]家汚されたら困っちゃうよな〜‼︎」
穂希「‼︎」
静流「やっぱりそういうことか。」
穂希「(あ、そういうことってこういうことなの⁉︎変な間違いして恥ずかしいじゃん‼︎)」
静流「[拳銃を出す]ソイツは人に向けるものじゃない。早くしまえ。」
華山「お前もこっち向けてるじゃねぇかよ〜‼︎」
静流「勘違いするな。その拳銃に向けてるんだ。さては金城さん、女子から好意があると勘違いするタイプだな。」
華山「ち、違うわ、ガキ‼︎」
パンッ‼︎[静流に撃つ]
パンッ‼︎[静流がすぐに撃つ]
カンッ‼︎[華山の銃弾と静流の銃弾が当たる]
華山「[驚愕する]じ、銃弾を銃弾で弾き返したのか…?」
静流がいつの間にか華山の前に現れる。
ドカッ‼︎[華山を蹴る]
ドンッ‼︎[華山が壁に当たる]
華山「痛ぇな〜。」
静流「漣、大丈夫か?」
穂希「あ、うん。ありがと。」
静流「ん?[食卓に目を向ける]ご飯もうできてたのか。」
穂希「いや、それは…」
静流が食べ、スプーンを置く。
静流「うん、うまいな。俺シャバシャバよりもこってり派なんだ。確かにもう少し水があってもいいかもしれないが、これも悪くない。」
穂希「え…(嘘は…ついてない…?)」
華山が不意打ちに左手で殴ろうとするが、静流が右手で受け止める。
華山「お前、今まで本気じゃなかったのか〜?」
静流「人の命がかかってんだ。遊びと一緒にするな。」
華山が静流から離れる。
華山「人の命〜?お前が穂希を助ける義理はないよな〜。」
静流「いや…」
静流がポケットからタバコを取り出し、床に落として右足で踏み潰す。
静流「俺は漣を守る仕事がある。」
穂希「‼︎岩龍…[少し笑う]」
華山「守る〜?匿わないんじゃなかったのか〜?」
静流「漣を死なせなければいい。それだけだ。」
華山「ふ〜ん。意味わかんねぇけど、まぁいいや〜。」
穂希「[立ち上がる]岩龍、やっぱり人殺したことなかったんだね。」
静流「…まあな。金城さんだろ?殺してたの。」
穂希「え?なんで知ってんの?」
静流「あたりまえだ。殺しの依頼が来るのに、それを誰かがやるとすれば、依頼内容を知ってる金城さんしかいないだろ。」
穂希「そっか…」
華山が何度も静流に立ち向かうが、静流は難なく避け、殴り返す。
華山「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…いや〜予想外だな〜。お前がここまでやるとはな〜。[上の服を脱ぐ]」
静流「‼︎[驚愕する]」
華山の左肩に刺青がある。
華山「ここまで本気になったのはお前で2人目だぜ〜。」
静流「…その1人目は負けたが、2人目は負けるつもりはない。」
華山「お前、1人目を知って…‼︎あ〜そーいうことか〜。その右目の傷、お前があのガキなのか〜‼︎なんか運命感じるな〜‼︎」
回想
2話目回想の続き
パンッ‼︎[華山が静流に向かって発砲する]
静流の右目こめかみスレスレを銃弾が通り、血が流れる。
静流「[恐怖で汗を流す]はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。[銃弾が当たったところを両手で抑えてうずくまる]ぐっ‼︎」
華山「そうか〜お前は知らないのか〜。それじゃあ仕方ない。[拳銃をしまい、帰ろうとする]」
静流「[顔を上げる]待て‼︎」
華山が立ち止まる。
静流「父さんを殺した人間を黙って返すわけないだろ‼︎[立ちあがろうとする]」
華山「やめとけ、ガキ。感情に支配された行動は、いつか痛い目にあうぞ。」
静流「黙れ‼︎」
華山「今じゃダメだ。変なことに巻き込まれるぞ。努力して、努力して、何年後かに会えたら、その時本気で戦ってやる。約束だ。[風のように消える]」
回想終わり
静流「俺も手を抜く理由がなくなったな。漣、下がってろ。手出すなよ。」
華山「[窓を閉める]能力使わせてもらうぜ〜‼︎」
華山から風が吹き、風圧に耐えるために静流はしゃがんで身動きがとれない。部屋のものが静流の方に飛び交い、それに紛れて疾風の如く華山が静流を殴り飛ばす。
静流「ぐっ‼︎」
華山「さっきまでの勢いはどーした‼︎俺に圧倒されてるようじゃ、お前も大したことないな〜‼︎」
静流「油断しただけだ。」
静流が華山に向かって走るが、華山から吹く風のせいで近づけない。
静流「バレない程度にアレを使うしかないな。」
冷蔵庫と静流の間に華山が来るように周りこみ、磁力の力で華山に詰め寄る。
華山「脚力バケモンかよ‼︎」
静流「お遊びは終わりだ。一気に畳み掛けてやる。」
華山は静流のパンチに最初の方はついていったが、途中から速さに負け、殴られ続ける。
ドカッ‼︎
最後に華山の頭を掴んで床に押し倒す。
華山「ぐはっ‼︎」
静流「はぁ、はぁ。[華山にまたがって、右手で華山の頭を抑え、首元に左手で銃の形を作って向ける]チェックメイトだ。」
華山「[血だらけ]はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
静流「最後に1つだけ教えろ。…ELとは何だ?なぜ磁力の能力を探している?」
華山「それは2つじゃないかな〜?はぁ、はぁ…機密事項だが、まあいいや〜。はぁ、はぁ…ELは俺もわからん。何かの略語であるのは確かだがな〜。はぁ、はぁ…磁力を探す理由は知らない方がいい。興味本位で事情を知ったら…今のお前の強さじゃあ、殺されんぞ?」
静流「…自分より他人の心配か?」
華山「話しても話さなくてもどーせ俺はここで死ぬからな〜。聞くか聞かないかは静流ちゃん次第だな〜。」
静流「そうか。」
静流が立ち上がり、家を出ようとする。穂希もついて行く。
華山「[寝転んだまま]おい‼︎どこに行くんだ‼︎俺を殺さなくていいのか⁉︎お前の親父を殺したヤツだぞ⁉︎」
静流「…[立ち止まる]お前を殺したところでどうなる?父さんは帰って来ない。感情だけで人を殺したくない。」
華山「‼︎[笑う]覚えていたのか〜、その言葉。」
静流「それに、俺はこの街のヒーローじゃない。悪者だ。今だって警察が家の前を包囲してる。…[華山の方を振り向く]悪者がヒーローに勝っちゃあ、子供が泣くだろ。」
穂希「[笑いながら肘で静流の腕をつつく]な〜にカッコつけちゃってんの〜?」
静流「気のせいだ。」
穂希「そうかな〜?」
静流が先々進もうとする。
穂希「ねぇちょっと‼︎どこに向かうの?」
静流「[立ち止まる]知りたいことがいろいろある。だから、誰か知ってそうなヤツに会いに行く。」
穂希「ふ〜ん。行くあてはあるの?」
静流「ない。とりあえずここから逃げる。」
穂希「どこに?」
静流「決めてない。」
穂希「何も決めてないじゃん‼︎はぁ〜。それじゃあ私行きつけのカフェ行く?マスターと仲良いし…」
静流「なしだ。」
穂希「マスター結構情報持ってるよ?」
静流「…向かおう。」
穂希「ツンデレ?」
静流「違う。」
2人がドアを開けて出て行く。
華山「[ずっと2人の方を見ていたが、ドアが閉まると天井を向く]あ〜あ。俺の上司もあれぐらい優しかったらな〜…なんて、外で言ったら殺されるな〜。あはは。…楽しみだな、清桜。あの日常が戻ってくるのも、そう遠くないのかもしれないな…」