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富山市(郊外)のオススメ名建築5選【建築巡礼02】

前回は富山市の中心市街地でオススメの建築物を紹介しました。
今度は郊外の建築物から5選です。
(写真は5選以外から、隈研吾さん設計のクレオンです。)


1)旧馬場家住宅/明治初期<岩瀬地区>

KOBO Brew pub(旧:馬場家米蔵)内観 文化財の中を地ビールの醸造所+パブに改装

富山市から富山湾へと繋がる旧JR富山港線が廃線となり、路面電車化されました。ここに投入されたポートラムは七色の車体があり、富山の北部の町に利便性と彩りをもたらしました。
この終点、岩瀬浜駅のある岩瀬地区は北前船で栄えた港町であり、馬場家は「岩瀬五大家」の筆頭です。
長さ30mもあり、途中に天窓のあるトオリニワや広間など文化財としての見どころも多いのですが、米蔵には地ビールも楽しめます。ああ、なんて贅沢・・・。
ちなみにこの岩瀬地区、銘酒「満寿泉」の蔵元、舛田酒造のお膝元であり、まちづくりの意識も高く、徐々に街並みが良くなってきている印象。
地ビールや日本酒などがお好きな方にはなかなかに魅力的な(危険な?)街になってきていると思います。可能ならば富山駅から電車で訪ねてみてください。

2)SCOP TOYAMA (富山県創業支援センター+創業・移住促進住宅)/(改修)仲建築設計スタジオ/(改修)2022年

創業支援センター外観 EVや歩廊等が増築されているが、それだけではないのです

他の4つと異なり、そこまでの郊外ではないのですが、中心市街地から徒歩で移動することは難しいので、郊外にてランクイン。
富山駅から岩瀬地区へと向かう途中にある、富山県職員住宅のリノベーションです。
3棟あり、真ん中の1棟が創業支援センター、両脇の2棟が創業・定住促進住宅となっています。
高度成長期に大量供給された、俗にいう「団地」を再生させる手法が思いつく限り投入された、そんな建築です。改修の現場は大変だったろうなあ💦
新しさの中にあるどことなく懐かしい雰囲気がとてもとても好印象です。
チャレンジショップ等も多く設けられており、この建築がうまく機能するようなら、きっと富山全体が活気づくでしょうね。関係者の皆様、頑張ってください!

3)富山県水墨美術館/創建築事務所/1998年<五福地区>

中庭よりの外観 大きな大きな瓦屋根と表側の日本庭園、中庭側の芝生の対比が印象的
おまけ:上の写真の桜が花見の時期には一本だけライトアップ。まさに水墨の世界・・・

富山市の市街地より神通川を隔てて西側に、富山大学のある五福地区があり、そこにこの美術館があります。
全体が分かりやすい空間構成となっており、アプローチとなる正面の日本庭園と大きな瓦屋根で水墨の世界を意識させ、廊下から見える広い芝生が建物全体に落ち着きを与えています。
美術館の規模はさほど大きくはないですが、非常に上質な作品鑑賞空間を実現させていると思います。
数寄屋建築の第一人者であった中村外二棟梁が最晩年に手掛けた茶室もあり、訪れるだけの価値はあり、です。
ここからさらに西へ行くと、いくつかの古い建物を移築した富山市民族民芸村があり、その中に篁牛人記念美術館(菊竹清訓建築設計事務所設計/1989年)があります。建築もさることながら渇筆という、また違った水墨画を楽しむことができます。

4)富山市福沢地区コミュニティセンター/戸尾任宏・建築研究所アーキヴィジョン/2001年<大山地区>

廊下 トップライトからの光と、利用者の動線が重なり、ギャラリーとして機能する

現在の富山市は平成17年に7市町村が合併して誕生しました。その中で一番山間地にある大山町に建てられたコミュニティセンターの一つです。
山から川に向けて焼杉の壁を複数立ち上げて、単純でありながら非常にメリハリがついた空間を構成しています。
この色や形により、自然と人工の境界を利用する地域の方が抵抗なき程度に感じることができるようにデザインされていると感じました。
この後に、大庄地区コミュニティセンター(2007年)、小見地区コミュニティセンター(2006年)が同じくアーキヴィジョンの設計で建てられました。明快な空間構成は同様ですが、それぞれの違いが面白いです。
また、夏にはこの建築などを中心にして「LIVING ART IN TOYAMA」が開催されています。手作りとアートを中心においた面白いイベントですが、もしかするとこの時に隣にVEGA(小泉誠設計/2008年)も見せてもらえるかもしれません。

5)リバーリトリート雅楽倶ANNEX/内藤廣建築設計事務所/2005<大沢野地区>

ロビー 川への眺望と重さを共存させたいとの意向から生まれた、内装と構造を掛け合わせた空間

このロビーが非常に象徴的な建築ですが、ほかにもこれでもかというくらいにデザインとアートが組み込まれたホテルです。私なんかはデザインの濃度が高すぎてちょっと疲れてしまうくらいに濃い、濃い・・・。
旧館の茶室も内藤先生の設計。見せてもらったのはもう20年も前ですが、え?これが茶室?と思った記憶が濃厚に残ってます。
日付や時間の限定はありますが、温泉やレストランだけでも利用ができるので、一度体感してみてください。
近くには大沢野ウェルネスリゾート ウィンディ(ワークステーション設計/1997年)もありますよ。

いかがでしたでしょうか。富山市郊外のオススメを5つご紹介しました。
前回、10選として多すぎたなあ、読みにくかったかなあ、と思って5つに絞りました。
オススメはこの他にもたくさんありますが、それはまたの機会に!

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