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南砺市のオススメ名建築5選【建築巡礼11】

久しぶりに富山の建築巡礼です。
南砺市ってご存じですか?
平成の大合併で実に8つの町村、昔からの市街地を持つ福光町、福野町、城端町、木彫の井波町、椿の井口村、合掌造りで有名な五箇三村(利賀村、平村、上平村)が合併してできた市です。
だからこその多様さを持った市であり、かつ、地理的条件からも都市化が進んでおらず昔ながらの純朴さを失っていない市でもあります。
今回はそんな南砺市の名建築をお送りします。
(写真は東洋紡績井波工場工場棟・塵突です。のこぎり屋根は一昔前の工場や倉庫に多く見られましたが、それがしっかり残されているだけでなく、塵突のデザインも非常に秀逸です。)


1)菅沼伝統的建造物群保存地区/旧上平村

高台より 

合掌造りは家の中で養蚕を行い、下階の囲炉裏の熱が上がっていく上階が「お蚕様」の住まいとなっています。さらに超のつく豪雪地帯のため、雪を落とす目的もあり、この屋根形状。これがそのまま使用されつつ残されているというのは素晴らしいことと思っています。
合掌造りで一般公開している建物は複数あり、世界遺産でもある合掌造りの集落は、この他にも相倉(南砺市)と白川郷(岐阜県白川村)があります。でも私はこの菅沼の集落が一番好きです。コンパクトで、それがために観光地化が進んでいません。観光地の街歩きが好きな方にはこちらではなく、白川郷をオススメします💦
冬もたいそう風情があるようですが・・・雪深い地域のため、実は行ったことがありません💦

2)瑞泉寺/旧井波町

本堂/松井角平恒弘、井波大工等/1885年

井波と言えば木彫。そしてその象徴的な建物がこの瑞泉寺です。
富山県での寺院として、高岡市の瑞龍寺と勝興寺、それとこの瑞泉寺は見学必須と思います。
瑞泉寺は1390年に建立され、浄土真宗の一大拠点として大きな勢力をもっていましたが、度重なる兵火や火災にあい、その都度井波の職人の総力を持って再建されてきました。
井波職人の存在あってこそと考えるなら、周辺の街並みと併せて見てもらうのが正しい見方かもしれません。
重要文化財に指定されているのは山門1棟なのはちょっと寂しいですが…💦

3)利賀芸術公園/磯崎新アトリエ他/旧利賀村

新利賀山房/磯崎新アトリエ/1994年
合掌造りを移築して劇場空間としたものです。

お亡くなりになった磯崎先生が積極的に関与していた公園(利賀山房、野外劇場、スタジオ、新利賀山房が先生の設計)です。
昔ながらのデザインコードと、ポストモダンのデザインコードが不思議にマッチしています。
劇団SCOTの本拠地で、夏には演劇祭が開かれています。仕事も絡んで昼間にはよく行きましたが、夜、しかも演劇祭の時にはもっと幻想的に見えるんだろうなあ。

4)ギャラリー樫亭/雅環境造形/旧福野町

庭より

旧福野町は、東京及び大阪の中央郵便局を設計した吉田鉄郎の出身地であり、吉田鉄郎の設計した建物も残っていますが・・・ものを見たことがないので批評のしようがない💦
もしかすると見学の機会を得たら、差し替えてしまうかもしれませんが、同じ旧福野町からこの建物を紹介します。
旧福野町長のお宅を改修し、その一部をギャラリーとしてイベントスペースとして利用されています。実際に住んでいらっしゃるとのことで常時見学できるわけではないです。
一日中ぼーっとしていたい空間。庭とあわせてご覧いただきたいです。

5)BED AND CRAFT /コラレアルチザンジャパン/旧井波町

BnCラウンジ/コラレアルチザンジャパン/2016年

空き家を改修してホテルの一室とし、それをまちの中に点在させるという最近地方都市で流行り(?)の分散型ホテルです。富山ではここがかなり早い部類ではないか、と。
井波のような歴史もあり、特徴も明確な古い町を活性化させる際には、空き家を改修して客室とし、食事はあの店、アクティビティはあの店と、街全体をホテルと考えるのは正解と思います。
そう考えれば、良し悪しを論ずるには、宿泊するだけでなく、周辺の街並みとも連動したアクティビティも併せて体感すべきなんでしょうね。
残念ながら私は建物の一部を見学させてもらっただけです…どなたか体感なさった方、ご感想をお聞かせください💦

いかがでしたでしょうか。
南砺市のオススメ建築5選でした。
多分、なかなか独特の選択となったのではないかと思います💦
南砺市は古い建物も多く残っており、それをうまく保存活用させようという動きも見えます。城端町や福光町の建築を載せるべきだったかなあと思いもしますが…5選じゃ足らなかったかな?💦

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