破壊 (通貨の価値)
<<これは2003年に雑誌へ寄稿していたコラムを修正したものです。>>
利益を出すには売れる物を作って売ればよいのです。そのまま一商品のメーカーを続けると商品寿命と共に会社の寿命を迎えます。それを防ぐには商品1という弾み車を回した後は次の弾み車を回す必要があります。止まる弾み車の数より多くの弾み車を回すと企業として永遠の命を手に入れることができます。そのうち弾み車を回す人が現れます。それが子会社の社長だと思います。仕事とは子会社の株を持つことだと思います。才能のある人を見つけ社長として雇い報酬を払えば良いのです。一つの弾み車を回した後、私は自由な時間を持ち新たなテーマに挑戦するのです。それを繰り返していくと本体の会社は持ち株会社になります。持ち株会社が完成したくさんの子会社が実務を行うとグループ間の取引も発生します。そのとき電子マネーを使います。ある程度の市場規模ができた時点で、その電子マネーの通貨単位を独自に決めます。その通貨の価値は金やダイヤ、米などと連動してはいけません。私は通貨の価値は人間が生きていく上で必ず必要なものと一致させなければならないと思います。
日本人が1日働いて得る報酬で日本で1日生活できたとします。その1日分の報酬をB国の通貨に両替しB国で1ヶ月生活できたとします。日本人はB国の人の30倍の能力があるのでしょうか。私はあまり変わらないと思います。通貨の価値の差によってそのような現象が起きているのです。東南アジアの安い労働力を使い安く物を生産し日本や欧米で物を販売する企業がたくさんあります。いわゆる工賃ピンハネ業です。東南アジアの通貨の価値が上がり日本円と並んだとき日本企業はどうするのでしょうか。工賃ピンハネ業を続けるには、今の段階でアフリカの東海岸に目を付けた方が良いと思います。私は工賃ピンハネ業ではなく、知恵や、持って生まれた能力で勝負したいと思います。それが競争力を持った日本らしい企業だと思います。自分にしかできないことを持つのです。
現在、発展途上国の債務と先進国のプラスの資産が共に拡大し債務の拡大が限界に達しています。今後これが急速に縮小していくと日本円や米ドルを持っているからといって安心できなくなります。欧米の論理で植民地化されたり通貨の格差を押しつけられたりした結果現在の通貨の格差があるのだと思います。簡単な例で説明すると、コーヒー豆を作ったら買い取るという事でブルドーザーを買わせたのです。その後「もっと安く作るところがあるからもうコーヒー豆を買わない」と言って、取引を中止するとその国には債務だけが残るのです。ある発展途上国は干ばつで食料が無いのではありません。農地の多くは対外債務返済のための農産物を生産しているのです。私は企業経営者としてコーヒー豆を買う立場だったら同じ事をします。米ドルやユーロの価値を楽しむためには途上国の債務を封じ込めなければなりません。生かさず殺さずが一番良いのです。しかし、私が途上国の大統領だったら対外債務を無視しミサイルを撃たれても畑を耕すでしょう。
今後、国の定義は変わると思います。国民、領土、主権の3つの要素が、通貨と主権に代わるような気がします。そしてその通貨が基軸通貨になれば輪転機と軍隊を持てば生きていけるのではないでしょうか。
ありがとうございます。起業以来、下請けと工賃仕事をせず自分で考えたものを世に出して生きてきました。その経験をノンフィクションとして書いています。