20220415_近年のリビング重合

リビング重合に関するPerspective論文を読みました。
投稿は3部に分けて、最後に近年のリビング重合と今後の展望について記します。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.macromol.7b01440

■Supramolecular Polymerization
超分子重合。π電子相互作用や水素結合によって分子が繋がり、高分子化する重合系です。
結合が弱いので環境によって分解したり高分子化したり変換できる点が面白かったりします。(過去に理研のどなたかの講演を聞いたはず・・・)

■polymerization-induced self-assembly
マクロ開始剤を用いたエマルション重合等で両親媒性のブロックコポリマーを合成すると、重合条件を整えることで自己組織化、会合したようなポリマーの集合体が得られます。このような自訴組織化した両親媒性ブロックコポリマーはドラッグデリバリーだったり、ポリマーに触媒を担持させて会合体の中を反応場とする反応系などに展開できるはず。

■有機合成技術の高分子反応への展開
有機化学で光反応が注目されるなか、重合反応にも光反応が取り入れられつつあります。RAFT重合で光を導入した例もあります。他にも電気化学やメカノケミカルを重合に取り入れる例もあるそうです。

↓あとで読む

https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/py/c7py00407a

反応機構とは別に、フローリアクターを用いて精密重合をする系も開発されているそうです。

■Higher-Order Sequence Control
分子量分布の制御が可能となった今、モノマーの配列の制御に取り組む研究も行われています。モノマー配列が制御されたポリマーはDNAやたんぱく質が代表的であり、生物が日常的に行っている反応を目指しています。
生物が生み出す物質を模倣する点では小胞や細胞膜に相当する両親媒性のポリマー合成の開発は進んでいるそうです。
他にもモノマーの配列を0/1のデータ見立てるコンセプトで研究する方もいて面白いです。

■Continued Exploration of Renewable and Degradable Monomers and Polymers
現在の環境への配慮、マイクロプラスチックの問題等から易分解性のポリラクチド等のポリマーの開発や非石油資源から合成できるポリマーがトレンドになっています。

■感想
リビング重合やその他の新しい重合機構について、コンセプトは知っているものの、まだ具体的な反応機構や適用モノマーの種類等で知識不足だなあと感じました。
まずは基本的な重合形式(エマルション重合、ゲル重合等)から学ぶところから始めたいと思います。

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