【サービス誕生秘話 vol.02】oViceのクローズドβ完成までの道のりと認知拡大の取り組み
こんにちは。oVice CEOのジョンです。
前回のnoteでは、oViceの開発背景と事業拡大の過程で直面した課題について書きました。
今回は、より深くまで踏み込んで、oViceがサービスとしてどのような変遷をたどり、世界No.2のシェアまで成長したのかを具体的に書こうと思います。
チュニジアのピザ屋で「空間」の概念が生まれる
oViceのもととなるアイディアが生まれた場所は、チュニジア出張に来ていた現CTO・長谷川博和さんと訪れたピザ屋でした。2020年1月、ロックダウンで国境が閉まる直前のことです。
△長谷川さんとの出会いについてはこちらの動画で対談しています
日本在住の長谷川さんは、チュニジアのメンバーとコミュニケーションをとるために毎回出張が必要でした。この大変さを解決するツールを作れないか、という話題がそこで持ち上がったんです。
もちろん、そのとき訪れていたピザ屋はバーチャル空間ではなく、リアルな店舗。長谷川さんが抱える課題について話しながら、思いました。「目の前にいる長谷川さんとの会話はよく聞こえて、遠くにいるお客さんや店員さんの声は声は小さくめに聞こえる」、この空間を再現できないだろうか。これが、oViceの出発点でした。
ただ、この段階では、リアルでの距離感を再現するアイディアをテレワークツールと結びつけることはしていませんでした。二人とも今のような世の中になるとは予想もしていなかったので、実は、マッチングアプリに活用しようと考えていたんです(笑)。
その後、長谷川さんが日本に帰り、チュニジアは本格的にロックダウンされました。在宅で働くことを強いられてからテレワークの課題を体感して、長谷川さんと話したアイディアのことを思い出したんです。
そこから、仕事用コミュニケーションツールとして、oViceの開発がスタートしました。
1週間ごとに新機能を開発し、oViceの原型が完成
oViceのプロトタイプ作りで最初に着手したのは、距離によって「音声ボリュームに変化」をつける機能でした。初めの仕様は、平面上に囲碁の碁盤のようなマス目を作成し、ユーザーはクリックするとマス目に移動できるといったものです。
話し手のいるマス目から、一つずつ離れていくと、段階的に聞こえる声のボリュームが下がっていくようになっていました。
それだけでも結構面白かったのですが、よりリアルなコミュニケーションに近づけるため、ドラック&ドロップでアバターを移動できるように改修。
アバター同士の距離によって、段階的にではなく連続的にボリュームが変化する仕様にしたんです。
距離の概念を実装した後に開発したのは「プライベート空間」でした。リアルなオフィスでいう会議室にあたります。
初めは、会議室のエリアを用意して、ドラック&ドロップで入室した人たちだけで会話が楽しめるようにしました。
しかし、会議室に入るか入らないかの境目あたりで声が混じってしまうことがわかり、「逆に、クリックして入室した方がいいよね」となって。現在の仕様に落ち着いています。
次に開発したのは「オブジェクト」。オブジェクトとは、アバターを近づけたり、接続したりすると、画面共有や顔出しなどのインタラクションが可能になる機能です。顔をみながらする会話へのニーズが、開発のきっかけでした。ユーザーはオブジェクトを自由に設置できます。
ちなみに現在は、画面共有機能なども追加され、コミュニケーションの仕方の幅が広がりました。
さらに特徴的なものといえば「メガホン機能」です。少数で話したい場合は、会議室かオブジェクトで十分。しかし、大人数だとどうでしょう。たとえば、朝の朝礼。全員を1箇所に集めたい時に、一人ひとりに声かけをするのは非常に面倒です。
そこで、リアルなオフィスでいえば館内アナウンスにあたるものを作ろうと開発したのが、この機能です。
「音声ボリュームの変化」、「プライベートな会議室」、「オブジェクト」、「メガホン」の4つは、oViceの原型ともいえる機能たち。それぞれ、1週間に一度のペースで開発し、全てが揃ったのは3ヶ月が経った頃でした
そして、2020年6月にようやくoViceのクローズドβをリリースしたんです。
社会の変化の波に乗り、イベント事をハック
そこからは、oViceの認知拡大に注力しました。振り返れば、計画的にマーケティングをしていたわけではありません。社会の変化の波に乗りながら、その時にハマりそうな面白いアイディアを実践してみる。そんなスタンスを一貫して持っていました。
一つ目の波は2020年9月。
当時はコロナが長期化すると言われ始めていた頃。さまざまなイベントがオンライン開催に切り替わりました。そうした中で、学会での利用に関する問い合わせが急増。
その波を逃がさないように「大学や教育機関への無償(or 割引)提供」を開始し、結果的に多くの方に使っていただくことができました。
次の波が来たのは、2020年12月の忘年会シーズンです。
配達アプリで別々の食事を頼みテレワークツールを使って会話する、いわゆる「Zoom飲み会」がありますよね。経験したことがある方も多いかと思いますが、Zoom飲み会に皆さんが飽きてきた頃でした。
そこで私たちは、レストランと提携して、プロのシェフが作った美味しい食事を自宅に届け、oVice上で同時多発的な会話やゲームが楽しめる「oVice宴会」の前身となるサービスをリリースしたんです。
限定300食で提供してみると、すぐに完売しました。TV番組のように「格付けチェック」が楽しめるなど、コンテンツとしても充実していることや、導入ハードルの低さが利用につながったと思います。
このように、コロナ禍によって現われた波に乗りながら、既存のイベント機会も活用しました。たとえば、バーチャル成人式の開催やオリンピックのパブリックビューイングなどです。
社会のトレンドに合わせた活用方法を自ら企画、開催してきました。
一度でも利用してくれたらoViceの良さを理解してもらえる。そう信じ、多くの方が気軽に触れられる機会を提供していったんです。
私たち自身が、新しい働き方の好事例に
しかし、本来の目的であったテレワークツールとして利用する「オフィス導入」は伸び悩んでいました。その状況が大きく変わったのは、2021年1月の緊急事態宣言。
今までとは比べものにならない、大きな社会変革の波が押し寄せました。各企業が真剣にテレワークの働き方を模索し始めた結果、オフィス導入が加速したんです。
こういうと、パンデミックドリブンで成長してきた会社に見えるかもしれません。もしそうなのであれば、コロナが収束していくにつれて、私たちの成長も減速していくはずです。しかし、oViceの成長率は維持し続けています。
私はその背景に、企業や働く人たちの意識の変化があったと見ています。
パンデミックの発生当初は、oVice導入理由として「テレワークのコミュニケーション不足が問題だ」という短期的でネガティブな声を多く聞きました。
しかし、コロナ禍の長期化が予見されるのに比例し、働き方改革への取り組みも、長期的な目線で注力すべきと考える組織が増加。
新しい働き方に対応していくことが、事業を加速させ、採用を成功させる要因になる。そんなポジティブな理由でoViceを導入する企業が増えてきたんです。
そこで、働き方改革や経営革新の潮流に合わせて、「ビジネスメタバース」の概念の発信に力を入れることにしました。
今後は、私たち自身の働き方が「新しい働き方の好事例」となれるよう、社内でさまざまなトライアンドエラーを繰り返し、得た学びや気づきを積極的に共有していきたいと思います。
「oVice社メンバー流のoViceの使い方・楽しみ方」記事でもフルリモートの働き方でコミュニケーションの円滑にするポイントが伝わると思います。ぜひ合わせて読んでみてください。
🔻採用情報
oViceは一緒に働く仲間を積極的に募集しています。ご応募お待ちしています。
🔻会社紹介資料
(編集協力:oVice 編集部)