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戦略とは何か?

前回は、自分の頭の中にあるものを言語化し、整理された情報を必要とする方に活用してもらいたいと思い、ブログをはじめるという記事を書きました。
今回のブログから「戦略について」連載していきます。

自分が知る限り「戦略とは何か?」という事を実用的な形で整理されているものは、意外にも多くないと感じています。
実際、新型コロナやアメリカの金利引き上げ等、世の中が大きく変化する中での戦略(正確には戦略体系)の重要性は、戦略を活用して会社や事業をグロースしたり危機から救ったりした経験からのみ実感を得られるものです。

まず戦略体系の話をする前に、戦略とは何かをシンプルにお伝えしていきたいと思います。

「戦略」とは、時間軸を伴った目標に対して、行き着くための手段です。

上記の通り、戦略を語るには、必ず時間軸を伴った目標(を設計する事)が必要であり、現時点の状況を客観的に理解する事が重要です。

要するに戦略だけ語られても全く何も理解できないという事です。
必ず現状(As Is)目標(To Be)手段(戦略)3点セットが必要となります。

世の中では「戦略」と「戦術」の違いが延々と語られてたりしますが、正直ビジネスにおける戦略設計において、あまり気にする必要がないというのが自論です。
要するに時間軸が短くなり、戦略を作る組織単位が小さくなればなるほど「具体的な方針」や「戦術」に近づきますし、時間軸が長く・作成範囲が大きく(例えば企業全体)になれば「戦略」として処理すれば良いだけの事だと思います。

ここで戦略そのものを理解する上で、いくつかの性質を理解する必要があります。

  1. 「目標」に対して「戦略」は複数存在し、その選択は企業のCapabilityに依存する

  2. 「時間軸」が長期で設定されるほど、「戦略」はより多様となり抽象的になる

意外と【1.「目標」に対して「戦略」は複数存在し、その選択は企業のCapabilityに依存する】ことを認識している人が少ないと感じます。
当然、目標に対してベストな解は存在しますが、ベターなものも沢山存在しており、どれを選択すべきかは概ねその企業や組織のCapabilityに大きく依存します。
これは実効性・実行可能性を意識して、多々ある選択肢の中から最適な戦略を選択できるかという事に他なりません。
戦略を創る人格によって、この選択肢を多く設計できるかも変わってきます。
(当然、多くの選択肢から選択できるほど、成功確率は上がります)

【2.「時間軸」が長期で設定されるほど、「戦略」はより多様となり抽象的になる】はあまり説明するまでもないとは思いますが、長期の戦略を「具体的」に記載する事は難しいです。
逆に、具体的すぎる長期戦略は戦略の幅を失い非常に危険です。

戦略を言語化する際に、この抽象度言葉の選び方をどうセンスよく表現するかは非常に重要なポイントです。

この言葉の抽象度を例えばテレビに強みがある家電メーカーに例えてみます。
長期の定性目標を少し極端ですが、以下のように設定したとします。

① 日本一のテレビメーカーになる
② 日本一の家電メーカーになる
③ 日本一のエンターテイメント提供企業になる
④ 日本一の企業になる

①は、もうこの企業は「テレビ」しか作れませんね。
②は、テレビを強みに周辺機器まで自分たちの範囲を広げる事ができます。
③は、テレビを中心にその周辺機器(エンタメ接続できるもの)やコンテンツ領域まで展開する事が可能です。
④は、範囲が広すぎて何をする会社か全くわかりません。
現時点ではテレビメーカーだとしても、言葉の選び方設定の仕方でその会社が目指しているものが明確になります。

現職のChatworkは長期の到達ポイントとして以下を掲げています。
長期視点では「ビジネスチャットの会社ではないですよ」というメッセージですね。

Chatwork社 中期経営計画の一部抜粋

戦略の話も同様です。
人材や組織能力が足りないので、それを担保したいときにどう記載すべきなのかを考慮する事例です。

① 不足人員の採用による組織能力の向上
② 不足している組織Capabilityの特定とその補充による組織能力の向上

①と②だと明確にアプローチの幅が異なります。
①は「採用」という手段に言及していますので、組織は採用だけを実行します。
②は非常に幅があります。
「採用」も一手段ですが、既存人員の「育成」や「ローテーション」で担保もできます。
さらに角度を変えるとオペレーションや仕組みを整えて、新規採用をしなくとも「生産性を上げる」アプローチで、社内DXを推進し、人が関わる仕事を減らしてリソースを調整するという事も可能です。
言葉一つでこれくらいの「選択の幅」が変わる事になります。

この辺りの言葉の抽象度を操るには慣れが必要です。自身も一定の粒度で戦略を言語化できるようになるまでに、数年かかりました・・・。
戦略は「読む」のは比較的簡単ではありますが、「創る」ことは非常に難易度が高いものです。
それでも戦略を自在に操る事ができると、会社の想いやメッセージを社内外に伝えるには非常に有用なものとなります。

まとめ
・戦略は、時間軸を伴った目標に対して、行き着くための手段である
・現状(As Is)・目標(To Be)・手段(戦略)の3点セットで理解する
・企業や組織のCapabilityによって、戦略の選択肢自体が変わる
・目標の抽象度や言葉の選び方次第で、戦略の選択の幅が変わる

次回は、筋の良い戦略を創るには「戦略体系」を理解する事が重要という事を書きたいと思います。

ちなみにベタですが、オススメの書籍も載せておきます。

自己紹介ブログはこちらです。


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