キャロットマンからビコーペガサスを知りレースに魅かれていく女性の話

私は小さい時からキャロットマンを応援していた。

きっかけは小学生の頃色々なヒーローが集まるイベントがあり親に「ちゃんとお手伝いするからー」とか「勉強するから」って言って連れて行ってもらった。
今でこそプリファイとかあるが当時「戦う(戦闘する)女性」というのを観るなら戦隊モノを観るしかなかった。大人になってから女性が主役のドラマ等は会社の上司などに意見を正当な方法で通していくのも戦いだと知ったがあの頃の自分に「それも戦いである」というのがわかるはずもなく、ただ戦闘で戦い勝つという分かりやすいものを見ていたと思う。

話がそれてしまったが、どうにかこうにか連れて行ってもらったイベントは女子小学生なんてほとんどいなく「兄や弟が好きだから」とある意味無理に連れてこられた子がほとんどのように見えた。目的の戦隊モノのところに行ったのだが案の定混んでいて簡単にショーやアトラクションは見られない状況だった。「いけー」「がんばれー」とか前の方で聞こえるが立ち見の人たちもいるし入れ替え制ではあったが元気同年代の子たちがわーっと行ってしまいいつまで経っても見られないような状況だった「せっかく連れてきてもらったんだから見たい」って思っていたが待つのが嫌だったであろう親から「あっちなら空いてて見られるわよ」と言われた方を見るとキャロットマンショーと書かれた看板があった。確かに空席がそれなりにあり見ている子供は明らかに後ろの方が気になっておりどちらかといえば親の方が見ていたように思える。私は目的の戦隊を見たかったのだがこのままでは最後まで粘っても見られないだろう…そう思って半ば諦めて次の回のショーを見ることにした
私が見ていた戦隊モノとはまるっきり違っていた。今まで見ていたのはこのメンバーはこのタイプに強いがあるタイプに弱い代わりに他のメンバーがそのタイプに強いと協力して戦うか1人だけで強く孤独の戦士という感じだったが、1人だけなのに弱いのだ…部下達にもボコボコにされすぐピンチになる…何とか倒しボスが出てきても最初は善戦するのだがしばらくするとやはりボコボコにされる…でも彼は諦めないのだ倒れても倒れても立ち上がり立ち向かっていく…そんな彼に私はこぶしに握っていた。何度目が立ち上がった時私は今まで出したことないような大声で「がんばれーキャロットマン」と叫んでいた。キャロットマンがその時「私には応援してくれる人がいるその人たちのためにも負けられない!」今でもその言葉はずっと覚えている。今ならあれはファンサービスだったのだというのかわかるが、それでもあの頃…いや今でも私の声で叫びで立ち上がってくれたのだそんな気持ちが起き彼は無事勝利した。そうして私はキャロットマンに夢中になった…ちなみにその後「彼」ではなく「彼女」だと知った…

放映している時間が早すぎたため頼んで録画してもらいそれを観てみた。やはり弱い…他のヒーローだったら難なく倒せるような相手でも簡単にやられる、でも立ち上がる何とか倒しボスに向かってもやられる他のヒーローでもやられる時はあるが弱点をつかれたり不意をつかれたりでやられるがキャロットマンはそういうのがなくても弱いのだ…やはりテレビの前で応援している自分に気がついた

私も大人になりあの時見たがっていた戦闘モノはシリーズが続いているがキャロットマンだけはいまだに変わらないスタンスを保っている。今見るとキャロットマンは「諦めない不屈の闘志」「諦めない力と自分の弱さに向き合うところ」そんな当たり前のことを教えてくれていたのかもしれない。そう考えると子供向けではなく大人向けなのだろうと思う

そんな中キャロットマンの新シリーズがついこの間突然始まった、こういうご時世なのかネットでの公開のようだ数日前に少し広告があったので「あーまたやるんだ、ネットならいつでも見られるしいいな」と思ったが公開時間にはスマホでスタンバイしていた。お約束のやられ方、しかしアクションや演出は懐かしさを残しつつ今風にもなっていた。
小さい頃と同じようにワクワクしながら見続けていたらあるウマ娘が出てきた。私は疑問符が浮かんだ「なぜキャロットマンにウマ娘?」確かに「キャロットマンはウマ娘という競技者がモチーフになっている」という話はどこかで読んだでもなぜ?
大人になり周りが戦隊モノやアニメ等から離れウマ娘…レースとライブを合わせた競技に夢中になっていたが私は今まで興味を持っていなかった、でも関係ないのにわざわざキャロットマンに出てこないだろう、私は気になり出てきていたウマ娘…ビコーペガサスに調べていた。
レース映像の彼女はかなり小柄ながら一所懸命だった。勝てなかったレースでも前を見ていた…どんな順位でも…
どうやら彼女もキャロットマンの大ファンらしいその影響なのだろう諦めない、負けても何度も立ち上がり次のレースに挑む…私はいつの間にか自分と…キャロットマンと重ねてしまっていた…実際のレースを見たいそう思うまでに時間はかからなかった

ビコーペガサスが出るレース場に足を運んだものの人が多すぎる…小さい時のイベントを思い出す…でも私はもう大人だここで諦められない…比較的見えそうな位置が確保できたのでそこに陣取る「なんか飲み物買ってくればよかったな…」と思いつつ大きなモニターを見るとちょうど彼女が映っていたヒーローのようなポーズを取り何かを宣言しているなんて言っているかは観客の声で聞き取れなかったが意気込みは感じられた。映像では感じられない感覚が私を襲ってきた周りからの歓声スタートする前なのにこんなになってるのと思いながらスタートを待つ…そしてスタートした。後ろの方にいる彼女は周りにいる他のウマ娘に埋もれてしまうほど小柄で、不利じゃないのかと思ったが今まで見ていたレースの映像でも彼女は一所懸命だった。勝って欲しい…たとえここで勝てなかったとしても彼女は前を見るだろう…それでも…
「がんばれービコーペガサス!」
私は叫んでいた。周りは1番人気というウマ娘の名を叫んでいるが関係なかった私と同じキャロットマンに影響され成そうとしている彼女を…一方的に私と同じとして見ていたが関係なかった
結果彼女は勝てなかった…でも前を見て1番人気で1着を取った相手に話しかけ笑ってる。もう1人のヒーローを見つけた気がした。それより現地で見るレースはこんなにワクワクするものなのかこんなに迫力があるものなのか…

私はビコーペガサスの次の出走を調べていた…

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