紫都之史 Shizunofumi

確固たる知識、スキルもない中、過去多くの方のご支援・ご指導を受け、TV、音楽、お笑い、脚本、小説等、様々な形でクリエィテブに関わり作品を輩出させて頂きました。息苦しさを覚えるこの時代に新たな筆名で世の中を少しでも癒せる、震わせる作品を輩出したいと思い、創作活動を再開致します。

紫都之史 Shizunofumi

確固たる知識、スキルもない中、過去多くの方のご支援・ご指導を受け、TV、音楽、お笑い、脚本、小説等、様々な形でクリエィテブに関わり作品を輩出させて頂きました。息苦しさを覚えるこの時代に新たな筆名で世の中を少しでも癒せる、震わせる作品を輩出したいと思い、創作活動を再開致します。

最近の記事

ボーリング ~ 短編笑説④ ~

「見て、ユキ。この動画泣けない?」 学校から最寄り駅までの帰り道、麻央がスマホを見せてくる。 動画は街中で撮ったであろうものだった。 TikTok で流行っているバラードを BGM に使っている。 それが実にマッチしていた。 男が地べたにしゃがみこみ、ただただ空を見上げて泣きじゃくっている。 それだけの動画だが、再生回数はすでに 100 万回を超えている。 いいねも5万以上ついていた。男がしゃがみ込んでいる場所には見覚えがあった。よく買い物に行くあたりだ。 男は少し

    • ウェディングプランナー ~短編笑説③~

      打ち合わせの日は大安でなくてもよかったのだろうか? そんな古い日本人的なことを考えながら、私は真っ白な洋風の建物の中へと入った。 建物の中は一段と白を強調した非日常的な空間が拡がっている。私はこの建物で間違いないと確信し、ジャケットのポケットから康彦に渡された名刺を取り出した。 名刺にはウェディングプランナー君田 守と書かれている。 私はスタッフらしいスーツ姿の男を呼び止め、君田を呼び出してもらった。 すぐに革靴の音を響かせ、小走りで男が目の前に現れた。 男は一目

      • つり革 ~ 短編笑説② ~

        雲というものはもうこの先何十年と現れることはないだろう、そんな錯覚を抱くほど空は深く澄み渡っていた。 大型ビジョンでは女性アナウンサーが淡々とお昼のニュースを読み上げている。メインのトピックスはアトラクション型最新車両のお披露目試乗会が本日行われるというものだった。実際に JR 新宿駅を出発し、定められた区間をノンストップで走るという。 開発コンセプトが『日本にワクワクを。街にドキドキを』であること、国土交通大臣が来賓として来ることも合わせて伝えられた。 僕はそのお披露

        • コンフレーク ~ 短編笑説① ~

          気持ちのいい朝だった。 ただ朝にしては、お日様はだいぶと高く昇り過ぎている。 もとより小鳥のさえずりなどなく、騒々しいゴミ収集車の登場音が聴こえてくる。要は寝覚めがよかったのだ。 階下から聞き馴染みのある雄叫びがした。 早く起きるようにと迫る母の声だった。 僕はいつも目覚まし代わりにその雄叫びを使っている。 今日はその必要もなく、僕は欠伸をきっかけに階段をゆっくり下りていった。 母はパート前の慌ただしい時間に、僕の遅い朝食を作ってくれる。 それで起きるのが遅いと

          とある漫才のコンテストで披露されたネタを『短編笑説』にしてみた

          ここ数年、大きな盛り上がりを見せるお笑いコンテンストですが、 その中でも一番大きな大会とされる漫才コンテストで披露されたネタ(会話)の本筋を活用した短編小説を作ってみました。 小説化のルールとしては漫才における本筋の台詞、ボケ、ツッコミの言葉(関西弁→標準語変更はOK)のニュアンスを変えずに、その台詞を発する登場人物とはどんなキャラクターだろう?このやり取りがなされる設定とはどういうものだろう?という視点を重視すること、としました。 そのまま読んで頂いても結構ですが、YOU

          とある漫才のコンテストで披露されたネタを『短編笑説』にしてみた