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芸西村の旅 備忘録
芸西村の自然に触れ、時間を忘れて過ごす
高知へ飛ぶ前の10日間ほど、体調を崩していた。
なかなか良くならず、行く直前まで悩んでたほどだ。
完全復活してないくらいの状況だったけれど、自然の中で自然のものを食べ、仕事にも時間にも追われずに過ごしていたら、すっかり元気になっていた。
何にも支配されないと、身体が軽くなることを知る。それはそれはとても心地よい感覚。息をしているだけで気持ちよかった。
梅採りやびわ採りや畑作業をして、野菜や果実の本来の姿を知った。
つられて、普段、都会のスーパーで手に取る食材の背景に考えを巡らせる。
傷がなく、虫が喰う跡もないものが『綺麗で、価値のあるもの』とされる都会の市場。
だけど、ほんとうに「おいしい」とは、それではないのだと、わたしの記憶には上書きされる。
こどもが嫌いな野菜のトップ入りしてるであろうピーマンは、苦味が原因と思われるが、採れたてのピーマンに苦味は存在しない。むしろ甘く、優しい味がして、生のままかぶりつくのをおすすめしたい。
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ほんの数十分前まで土に触れていたアオムシだらけのキャベツも、持つとチクリと小さな痛みを感じる新鮮なきゅうりも、採っても採っても無くなることを知らない梅とびわも、今回の旅で、わたしの身体を元気にしてくれた存在たち。
不思議と感謝の気持ちが溢れる。
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高知の海に優しくしてもらう
足を水につけると冷たくて身体が縮まるのがわかる。
丸石の海岸に寝転ぶと、石から伝わる太陽のぬくもりと、低気圧で強まった波の満ち引きが、背中から直に感じられてホッとした。
人間も自然の一部だということを、わたしは感じていたいのかもしれない。
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その土地に住むひとたちの文化に触れる
梅とびわの収穫から発送までを手伝わせてもらった。びわは収穫しながら何個も食べた。野生のサルみたいに食べた。皮や種は、ゴミ箱ではなくその辺にペッと吐き出すし、熟れているものは見分けられるようになった。
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それから、鰹の藁焼き体験をした。それを、たたきにして食べさせてもらった。庭先で藁に火をつけて、専用の焼き網で炙る。いまは藁がなかなか手に入らないことを教わる。
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炙ったあとは、すぐにキッチンへと運ばれて、普段スーパーで買うものの2〜3倍の厚さに切って塩を振り、手で叩き込む。その上から柚子100%の果汁を惜しげもなくバシャバシャとかけて、さらに叩く。
ゆえに、『鰹のタタキ』と呼ばれるようになったらしい。
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まだあたたかいうちに キッチンでつまむのが1番おいしいのよ、と家主の佳代さんに教わる。
獲れたての鰹を新鮮なうちに、その土地で、しかもできたて。
さらに言うと、盛り付けられてもいない、食卓に出す前のつまみ食いは、ちょっとした背徳感に似た気持ちが上乗せされて、忘れられない味となった。
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この鰹を仕入れた魚屋さんも素敵なところだった。
寺尾鮮魚店。
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店内は、地元の常連客で賑わっていて、何より魚がきれいで安い。
観光客向けのそれではなく、見やすく並べられた綺麗な模様の魚たちに見入ってしまう。
お土産にも買って帰りたいから、最終日にもまた来ようということになり、なんと今回の旅で2度も訪れた場所。
お店のおじちゃんに、大阪に持って帰ることを伝えると、「店頭に並べてるのは、重さ測ったりするのに触っちゅうき、裏にある新鮮なやつのほうがええかもな。」と、わざわざ出してきてくれた。
方言がなんとも言えず、かっこいい。
しかも、冷気ができるだけ長く保つように、発泡スチロールに入れてくれたり、飛行機で持って帰りやすいように、テープで巻いて、紐を結んでくれたり、それぞれの魚の種類に合わせて食べ方を教えてくれたり。
大阪に持って帰ってもおいしく食べられる最大限の知恵と工夫を尽くしてくださった。
これはわたしたちへの優しさと、魚への愛だ。
わたしも飲食店で働いているので、とても勉強になった。
これがフードロスとどういうふうに結びつくかは、これから学んでいきたい。
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寺尾鮮魚店は、連なった隣の区画で仕出し屋さんをしていて、数えきれない種類のお惣菜を売っている。これも、安くてどれもすごくおいしい。
近くの小学校の先生たちが昼休みに買いに来ていたり、近所に住んでいるであろうヘルメットのおじいちゃんが、ポリ袋に入った天ぷらをぶら下げて、キコキコ鳴る自転車で帰って行ったり。
そんな日常のワンシーンをみた。
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わたしたちは、県民おすすめのクロスリミという、魚のすり身の天ぷらをポリ袋に入れてもらって、車の中でつまみ食いした。これも、佳代さん激推しの食べ方だ。
佳代さんは、日常の小さな背徳感にココロを踊らせている、とてもファンキーでキュートなひとだ。
佳代さんのことを書こう。
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読みにくくて、すき。
上杉親子
先ほどから登場している、佳代さん。
だいじなことなのでもう1度書くが、佳代さんはとてもファンキーでキュートな82歳。
はじめましてなのに、初めて会った感じがしない、というそれは、佳代さんの何がそうさせているのか。
佳代さんは、お酒と人がだいすき。だから、お酒を飲みながら、みんなで晩酌していると「楽しいねぇ ~!♡」と、何度も言っていて可愛かった🫰🏼
ワインは赤も白も飲みたいし、朝早くから畑に畝を作り、夕方は野菜の世話をする。
鳥の声を聴きながら朝ごはんを食べるのが好き。
庭には自生したフキや大葉やミントの葉、春なのに咲くコスモス、無農薬なのに枝いっぱいに身をつける梅とびわが溢れていて、家の中には、庭で摘んだお花を飾る。
心を鷲掴みにされたわたしたちには、「高知にいっぱいお金落として帰ってね ~♡」と何度も言う。
佳代さんの魅力をあげだしたら、ほんとうにキリがない。
また、会いたくなる人だ。
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キッチンから出てきた佳代さん。
横着するのもお手のもの。
今回高知に行くことになったきっかけをくれた、よこちゃんという女性がいる。
親子共々お世話になっていて、今回の旅では、時間と身体が許す限りの高知の魅力を、惜しみなくわたしたちに触れさせてくれた。
よこちゃんは、高知に拠点を置き、毎月10日ほど全国各地にお仕事をしに行っている。
そんな素敵なよこちゃんのお母さまが、佳代さんというわけだ。
よこちゃんは高知の魅力を知り尽くしていて、一緒に過ごしていると、わたしまで物知りになった気持ちになる。
虫刺されにラベンダーのアロマオイルを塗ってくれるし、びわ採りに気合いを入れていると、腰に蚊取り線香を装着してくれる。
たまに起こる佳代さんとの小競り合いも、上杉家の日常の在るがままを曝け出してくれてる感じがして、微笑ましかった。
梅やびわ、秋のシーズンには柿。
上杉家の庭に成る実りを、自分の仲間たちにおすそ分けして、それがまた違うカタチになって上杉家に戻ってきたりなんかして。
その中にはわたしたちみたいに芸西村がだいすきになる人もいたりして。
膨大な、豊かさの循環を実現している人だなぁと思う。
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旅を終えて、いま思うこと
いま、社会問題・課題になっている、過疎化や伝統文化の後継者不足。食糧不足やフードロスなんかも。
おおげさかもしれないけど、
いままで自分には関係ないと思っていたことが、実は身近にある、ということに気付かされるきっかけが散りばめられていたように思う。
たとえば、これだけ魅力に触れられたなら、この村に移住したいと思う人や、藁焼きの伝統を守りたいと思う人、そこまで大きな考えにはならずとも、身体が喜ぶものを食卓に取り入れようとか、日常で時間に追われない余白を意識し始める人もいるかもしれない。
この4日間「便利」は、特に必要がなくて、便利でとにかくコスパが良いもので溢れたこの世界が、影で犠牲にしているものは何かとか。
何が正しいで、間違ってるとかじゃなく。
答えはないけど、わたしたち世代が向き合わなければいけないことを考えるきっかけになったように思う。
おおげさかもしれないけど。
それがきっかけで、やりたいことや夢が見つかったりする若者もいるんじゃないかとか。思ったり。
次の高知への旅では、同世代の若者たちも連れていってみたい。
どんなことを感じて、どんな気持ちを共有できるのだろうな!!!
また、必ずいく‼️
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わたしが今回
訪れたのはこちら↓
寺尾鮮魚店↓
寝転んだ丸石の海岸、琴ヶ浜↓
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