【宅建試験を通して学ぶ】住宅支援機構

概要

今は日本各地で金余りが生じてどこの銀行もお金を貸したくて貸したくて仕方が無いのでイメージが付きにくいですが、昔は信用力の低い個人に対して長い期間の資金を融通することは大変リスクが高いと捉えられており、銀行は消極的でした。戦後の復興の中でマイホームを夢見る人たちは沢山いましたが、なかなかお金が借りられない。その中で国がサポートする会社を立ち上げます。住宅金融支援機構の前身である「住宅金融公庫」で、1950年のことでした。
しかし、その後平成の時代に、多くの金融機関が住宅ローンビジネスに参入したため、この必要性はだんだんと薄れていったため、2007年に住宅金融支援機構に名前を変え、原則として直接個人に対して融資することを止め、民間の金融機関をサポートする位置づけにその役割を変えました。今のこの世の中でさえも民間金融機関がリスクを取りにくい様な住宅ローンに特化した、それが住宅金融公庫です。一度、ホームページを見てどのような商品があるのか確認しておくとイメージがし易いと思います。
https://www.jhf.go.jp/loan/index.html

最長35年間という超長期間の固定金利でローンが借りられる「フラット35」や、地震等の災害で住宅が「全壊」「大規模半壊」または「半壊」した時にその「罹災証明書」をエビデンスとして住宅復旧のための建設資金または購入資金が借りられる「災害復興住宅融資」等です。
前者はイメージが湧きづらいかもしれませんが、金利がどの様に変動するか予測するのは大変な中、35年間も同金利の水準を保つ様なことはリスクが高く、銀行は嫌がります。その代わりに住宅金融公庫が35年ローンを貸すということもあり得るのですが、最近はそうはせずあくまで民間金融機関が個人に貸した上でそれを住宅金融公庫に売り(≒譲渡する)リスクを移転するやり方を取ります。住宅金融公庫は民間金融機関から買い上げたそれらの固定ローンを集めてそれを担保とする債券(MBS=資産担保証券、と言います)を発行し投資家に販売します。この一連のフローを「証券化」と言います。

法律を少し見ておきましょう。

独立行政法人住宅金融支援機構法
第四条 独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け等の業務を行うとともに、国民の住生活を取り巻く環境の変化に対応した良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供その他の援助の業務を行うほか、一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付けの業務を行うことにより、住宅の建設等に必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図り、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

あくまで「一般の金融機関…を支援」する目的の会社であることを今一度確認してください。

これだけ押さえれば、このテーマはあとは問題を解きながら慣れるべき分野です。

択一問題から

問1:機構は、災害復興融資、財形住宅融資、子育て世代向け・高齢者世帯向け賃貸住宅融資など、政策上重要で一般の金融機関による貸付を補完するための融資業務を行っている。

答:「〇」。そのままです。「補完するため」ということを忘れない様に。

問2:機構は、民間金融機関が貸し付けた住宅ローンについて、住宅融資保険を引き受けることにより、民間金融機関による住宅資金の供給を支援している。

答:「〇」。「補完するため」の仕事の中には保険も入ります。

問3:機構は民間金融機関により貸付けを受けた住宅ローン債務者の債務不履行により元利金を回収することができなかったことで生じる損害を補填する住宅融資保険を引き受けている。

答:「〇」。同上です。

問4:機構は、あらかじめ貸し付けを受けた者と一定の契約を締結し、その者が死亡した場合に支払われる生命保険金を当該貸し付けに係る債務の弁済に充てる団体信用生命保険を業務として行っている。

答:「〇」。同上です。

問5:機構は、民間金融機関が貸し付けた長期・固定金利の住宅ローンについて、民間保証会社の保証を付すことを条件に、その住宅ローンを担保として発行された債券等の元利払いを保証する証券化事業を行っている。

答:「×」。「民間保証会社の保証を付すことを条件に」したら、全く民間金融機関の補完になっていません。

問6:機構は、災害により、住宅が滅失した場合において、それに代わるべき建築物の建設又は購入に必要な資金の貸し付けを業務として行っている。

答:「〇」。災害復興支援融資ですね。

問7:機構が証券化支援事業(買取型)により譲り受ける貸付債権は、自ら居住する住宅または自ら居住する住宅以外の親族の居住の用に供する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸し付けに係るものでなければならない。

答:「〇」。他人に貸し付ける「投資用マンション」でも機構融資が使えるのか、という問題。全身の住宅公庫の設立意義に立ち返れば投資マンションを含まないのは当たり前。

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