【宅建試験を通して学ぶ】土地区画整理法(2)

いくつか各論をまとめておきます。

保留地

第九十六条 第三条第一項から第三項までの規定により施行する土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、又は規準、規約若しくは定款で定める目的のため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる

区画整理とは従前の土地をキレイに並べ替えることでした。そうすると普通は従前より新たな土地の方が面積は少なくなります。ですので、最後に誰の所有にもならない(=換地されない)土地が残ります。これが保留地です。区画整理事業にはそれなりのお金がかかるので、この保留地を売却して資金を得ようという発想です。したがって、当たり前ですが、取得者は施行者になります。

清算金

第九十四条 換地又は換地について権利(処分の制限を含み、所有権及び地役権を含まない。以下この条において同じ。)の目的となるべき宅地若しくはその部分を定め、又は定めない場合において、不均衡が生ずると認められるときは、従前の宅地又はその宅地について存する権利の目的である宅地若しくはその部分及び換地若しくは換地について定める権利の目的となるべき宅地若しくはその部分又は第八十九条の四若しくは第九十一条第三項の規定により共有となるべきものとして定める土地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等を総合的に考慮して、金銭により清算するものとし、換地計画においてその額を定めなければならない。

要は従前の宅地と新たな土地との間に不均衡が生ずる場合にそのギャップをお金で埋めて解決しようというのが清算金です。

建築行為の制限

当たり前の話ではありますが、換地を始めようとしているときに住民に勝手なことをされては計画が潤滑に進みません。そこで、計画に支障が出る様な建築については、一定の制限がかかります。

第七十六条 次に掲げる公告があつた日後、第百三条第四項の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあつては国土交通大臣の、その他の者が施行する土地区画整理事業にあつては都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 個人施行者が施行する土地区画整理事業にあつては、その施行についての認可の公告又は施行地区の変更を含む事業計画の変更(以下この項において「事業計画の変更」という。)についての認可の公告
二 組合が施行する土地区画整理事業にあつては、第二十一条第三項の公告又は事業計画の変更についての認可の公告
三 区画整理会社が施行する土地区画整理事業にあつては、その施行についての認可の公告又は事業計画の変更についての認可の公告
四 市町村、都道府県又は国土交通大臣が第三条第四項又は第五項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、事業計画の決定の公告又は事業計画の変更の公告
五 機構等が第三条の二又は第三条の三の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、施行規程及び事業計画の認可の公告又は事業計画の変更の認可の公告
2 都道府県知事等は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、その許可をしようとするときは、施行者の意見を聴かなければならない。

計画進行の妨げになりそうなものはおよそ事前許可の対象になります。建築・造成・堆積=物を置くこと、等です。そういう許可があった場合には、計画進行の影響を考えないといけないので、2項で「施行者の意見を聴かなければならない」となっています。

択一問題から

問1: 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業にあたっては、事業の完成による解散についての認可の公告の日までは、建築物の新築について知事の許可が必要。

答:「×」。建築行為制限は、計画の邪魔になるかどうかがポイントですから、「換地処分の公告の日まで」が正解。組合がいつ解散しようが建築行為とは関係ありませんね。

問2:土地区画整理事業の施行地区内においては、土地区画整理法第76条の規定により、一定の建築行為について、国土交通大臣または知事の許可を必要とする規制がなされるが、仮換地における建築行為については、当該規制の対象外である。

答:「×」。将来的に自分の土地だから良いじゃないかという設問ですが、換地処分が終わっていなければあくまで「仮」の状態ですから、計画の邪魔になる様な建築行為は制限しないといけません。

問3:階数が2以下で、かつ、地階を有しない木造建築物の改築については、知事は必ず建築行為の許可をしなければならない。

答:「×」。こんなのを必ず認めていたら、換地計画は進みません。常識的にも「×」

問4:土地区画整理法による建築行為等の規制に違反して建築された建築物等については、施行者は事業の施行のために必要となったときは、いつでも移転または除却できる。

答:「×」。マニアックな問題ですが、これが出来る様になると施行者と住民の間でケンカになるのも想像が付くので×なのは理解し易いと思います。違法建築はつまり無許可建築のことですから、移転や除却が出来るのは許可権者である国や知事です。

問5:都道府県知事は、建築行為等の許可をしようとするときに、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。

答:「×」。土地区画整理審議会とは、公が施行者である時の調整機関でした。意見を聴くのは換地計画等に関してですが、一方で、建築行為の許可規制は、公・民間の別に関係のない規定です。建築行為制限は、換地計画の進行の邪魔になるかならないか、がポイントですから、聴く相手は整理審議会ではなく、施行者自身です。

問6:建築行為等の制限に違反して都道府県知事の許可を受けずに建築物を新築した者から当該建築物を購入した者は、都道府県知事から当該建築物の除却を命じられることがある。

答:「〇」。そのままです。許可権者である「都道府県知事から」ですね。


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