あの頃に見た希望は、振り返った今もまだ
郷愁に締め付けられて死んでしまいたかった。
好きな曲がある。たぶん、このnoteを読んでいる人は、誰も知らないであろう曲。とあるゲームの挿入歌だった。大学時代、病んでいるかのように、大学にもいかず、外にでもないで、ゲームばかりしている時期があった。たぶん病んでいたのだと思う。そのころに聞いた中のひとつだった。
一般の曲ではなくて、ゲームという遊びに付随した曲であることが、少し恥ずかしくて、公開し辛い。歌に貴賤はないけれど、そういいながら、貴賤を決めている自分が疎ましい。
それは青春を想い、友情を育み、恋を歌う、そして強くなろうとする歌だった。一人の少女の、思いの丈。仲間との絆。その大切な時間を歌う。かけがえのないものは手に入れていた、そのことに気づかせてくれたものへの感謝と、愛おしさ。軽やかに駆け抜ける青春と、未来へ立ち向かうための歌。そして、圧倒的に、突き抜けるような透明感。
18年近く前の歌に、ここまで愛着を持つとは思っていなかった。いまだにプレイリストの中でもお気に入りに入り続けている。何かが特別だった。
以前にも書いたけれど、時に音楽は、思い出を手渡してくる。それはだれかと聞いたものかもしれないし、その音楽を聴いていた時期にあったことかもしれない。イメージとして残っているからか、かなり鮮烈に、良い色も悪い色ものせて引っ張り出してくる。懐メロが好まれるのは、きっとそういうことなのだろう。だけれど私にしては珍しいことに、この歌には、そういう思い出はなにもついてこなかった。
ただ、郷愁が、落ちてきた。
特別な出来事もなかったし、誰かとの思い出もなかった。苦しかった時期の救いだったということはあるかもしれないけれど、輝かくような時間ではなかったのは確かだった。純粋に、曲として好きなだけかもしれない。だけれど、あの頃を懐かしむ気持ちだけは、沸き起こってくる。
それほどに自分にとって救われた時間だったんじゃないかと思う。当時はもうどうしようもなくて、無駄の中の無駄な時間の使い方だったと思っていたけれど、今になってみれば、あれは、必要な時間だったんだなと、この感情が教えてくれた。
すっぽりと私を覆った郷愁は、やわらかで優しくて、恋しくて、そして胸を締め付けるように切なくする。息が、詰まりそうだった。それは決して嫌な意味ではなくて、手を伸ばしても届かない、望んでも戻らない、過ぎ去ってしまったその時間を惜しむあまりに、苦しくなる。もし叶うなら、この懐かしさの中に、溺れていたかった。
聴いたのがあの頃だったからこそ、こうして想うのかもしれない。もし今聴いていたとしても、これほどまで、のめりこむことはなかったんじゃないかと思う。ただ、そのゲームがそれほど面白かったというだけかもしれないけれど。
今日の記事のことは、ツイッターにも書いています。良ければどうぞ、ご覧ください。
何の曲か知りたい方はこっそりお教えしますので、お気軽にどうぞ。
文筆乱れてお目汚し。失礼致しました。
本城 雫
いつも見ていてくださって、ありがとうございます。 役に立つようなものは何もありませんが、自分の言葉が、響いてくれたらいいなと、これからも書いていきます。 生きていけるかな。