天上のバレエ・地上のダンス(47)中学三年の初舞台
おおきな劇場でのバレエ発表会。なにもかも、ひとまかせ。しぶんは踊るだけでした。約40年前の初舞台。
ヘアメイクは本部のお姉さんに
バレエレッスンのヘアスタイル・髪の毛は、お団子(シニヨン)に。それがマナー。
文化教室の先生に教えてもらいましたが、とにかく生活全般・無知な半生でした。
あいさつは「おはようございます」
芸事あるある。
その世界の独特なことがあります。これは教えてもらわないとわかりません。
さぁ、発表会です。
◆発表会当日の持ち物◆
お弁当・おやつ・お茶・ヘアピン・ヘアネット・洗顔料など。
「整髪剤は、男性用のチックやポマードを持ってきてください」
今のようにハードジェルがなかった時代。恥ずかしかったが男性化粧品を買いに行きました。
ヘアメイクは、バレエ団のお姉さんが来て全員のヘアスタイルを作ってくれるらしい。よかった。不器用なので助かった。
気ぜわしい発表会当日
発表会当日は朝に劇場入り。決まった控え室があり荷物をおく。
衣裳をハンガーに。シワ防止。
各自ストレッチや動いたり踊ったり。
わたしたち文化教室の生徒は、なにもしなくてもよかった。
バレエには、いやどこの世界でも当日はいろいろな用事がある。
それが中学生のわたしでも理解できました。
本部のお姉さんたちは、下部組織のヘアメイク、幼児クラスのお世話もある。
じぶんのことは、後まわし。
そのために、しっかり練習しとかないとダメ。
本番は夕方だが、リハーサルなどの「仕込み」で朝から晩まで劇場に。
拘束時間が長いのです。もちろん合間に各自、食事もすませる。
ちっちゃい生徒は、間が持たない。本やお絵かき道具も持参。準備ダンドリだいじ。
みんなで空き時間におしゃべりしたり、お菓子食べたり。
やれ集合写真だの、フィナーレの練習など急な招集もあり。
気ぜわしい。
当日は、踊りをやることがないくらいが、ちょうど。
冷静に、落ちついて。
わたしは誰?
「失礼します」お姉さんたち三人が入ってきた。ヘアメイクの時間が始まった。
わたしたち中高生四人は、座っているだけ。
お姉さんたちは、慣れた手つき。
新品の整髪料の出番。髪をまとめ、なでつけ固める。
ぱぱっとお団子にして、ネットをかぶせピンで止める。全員のお団子はバレエ団のスタイルで。統一感、こんな効果もある。
顔につける舞台メイク用品はすべてバレエ団もち。これも助かりました。わたしでは揃えられない。
下地クリームやら肌色やら……はやい。
お姉さんたちの手際のよさ!
ブルーのアイシャドウ (当時の名称)、いまはアイカラーですね。
ベタッと幅広く。
鼻筋を立てて、ほほ紅・口紅。完成したらすごい顔だ!
そしてお姉さんたちは、退出。
「ありがとうございました」
むかしの舞台メイクは、すごかった!
平たい顔の立体感。原型をとどめぬ厚塗り。
(いまは、ナチュラルメイクになってます。宝塚のメイクもそう)
舞台に立つなら、
メイクは濃くしないとダメダメ。まぶしい昭明が当たると、ぜんぶ消し飛ぶ。顔が「ゆで玉子」みたいにツルンと真っ白に見えるのだ。
おもしろいメイク。
わたしは だれ?
こんな別人みたいな顔で、
バレエを踊る……
別人になれるんだ……!
ただただ、うれしい発表会でした。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり、
ありがとうございます。
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