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天上のバレエ・地上のダンス(38) 本番直前
中高年4人が、若手3人とチームを組んで発表会に。先生も加わって計8人です。
発表会当日のリハーサル後に事件が……
振り付けを全部忘れた
分け隔てのない面倒見のよさと、まわりを明るくするミライさん。
その「人のよさ」が裏目に出たのか……
振り付けを全部忘れて真っ白に……
舞台では、自分を射すような照明がまぶしい。人により足元が見えず怖い。
客席は空っぽ。大音響でアタマとカラダがビリビリする。
非日常の極み。無理もない。
わたしより若く、享楽のバブル期に縁がなかった真面目なミライさん。
実は、わたしも経線があります。
頭が真っ白、手も足が動かない。
リハーサルで棒立ち。
中学生の時、バレエ・二度目の発表会のことでした。
本番には立て直したが、人前に出るのに自分は何をやってきたのか?
深く反省。それからというもの、
「練習は、いくらしても、
し足りることはない」
を、旗印にダンスのレッスンに励んだ。人生の早いうちに「恥」をかいて良かったのです。
わたしは、その後ダンスにおいて「しつこく練習」するようになりました。
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人生にリハーサルなし
受験・面接・恋愛・仕事など……
若い時に経験したことは人生の糧になる。
たくさんの失敗は、中高年の励みになりうる。
ダンスにはリハーサルがあり、人生はリハーサルがない。
いつも、ぶっつけ本番だ。
リハーサルができるところは、本当に限られる。リハーサルって、ありがたいのだ。
中高年4人、空きスペースで練習。振り付けを忘れても、またイチから入れ直せばよいのだ。
何回も繰り返す。動ける範囲でね。手だけ足だけでもいい。
わたしたち、いい勉強になったよ、ミライさん。
若手3人のダンス
振り付けを忘れたりする中高年。
たぶん若手は、あきれている。
社会人の若手3人はソツなく踊る。振り付けも正しく。
だけど……何だろう?
その人らしさが出てこない。
人形がダンスしているような……
いまは動画サイトで何でも教えてくれて、簡単にダンスできる。
動画をコピーするのは得意。
何度も再生できるし、ただただ受け身。
「振り付け覚えたけど、これ以上何かすることあるの?」
若手のカラダがしゃべりだす。
「振り付けが合ってるから、もうイイでしょ?」
わたしは、若手のダンス観て幻聴を感じるようになった。
……トシだなぁ……
お客さまには、どう見えるか?
はじめての発表会、若手への先生の要求も少ないとみた。
あまりうるさく注意すると辞めるし、先生も食いぶちが減る。
折り合いが難しい。
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ミライさんの顔が、だんだん明るくなってきた。
これまで練習していた音楽。
やっと最後まで止めずに踊れた。
工藤くんが早く気づいてくれて良かった。知らんぷりする人だったらと思うとゾッとする。
かまってちゃんの麻宮サギさんも珍しく無言で練習している。
……仲間っていいもんだ。
泣いても笑っても本番は1回きり。
これは、よ~っく解っている。
中高年になると。
リハーサルは、ありがたい。
「集合してください!」
本番を告げる先生の声だ。
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「バレエ・ダンス」の日
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。