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名前のない銭湯
おふろやさん。暖簾がないと、わからない銭湯がある。
かつてはどこかに屋号が書いてあったのだろう。たぶん長年の営業で取れてしまった。
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銭湯はメンテナンスがたいへんらしい。煙突・釜・水まわり。専門の業者さんが廃業し、交換がきかないものもある。
たいせつに使っているそうだ。
工事に莫大な費用がかかる。
屋号が取れたぐらいでは。
カンバンや名前が取れても常連さんには、わかる。
おふろやさん。
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連休中は帰省のためか、すこし銭湯もにぎわう。
「むかしから変わらないね」
「おおきくなったね」
「元気にしとった?」
家族連れでやってくる。
それぞれに名前があるに違いない。
「おおきいおふろ」
「ブクブクのおふろ」
「3丁目のおふろ」
名前のない銭湯。
すこしにぎやか。
きょうもお湯がわいている。
(377文字)
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「銭湯の日」
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。