蠍の猛毒 ABARTH595
さて、カルロアルベルトアーバルトが蠍座産まれ、つまりは11月に誕生し、1949年にアバルトを設立して1997年あたりに消滅、その後にまた再編成され劇的な復活をしたのが2007年だった。翌年にはFiat500をベースにした近代のアバルトが発表され、代表車種となりつつ今日を迎えている。
簡単に歴史を説明するとそうなるのだが、長々とここで経緯を僕が記載しても仕方がないだろうから手に入れた車の話しをしよう。
アバルト595コンペティツィオーネの日本独自の限定車スティーレという車だ。スティーレはイタリア語でスタイルを意味する。もっとも高性能なラインであるコンペティツィオーネのシートをセミバケットの本格的なスポーツシートから革張りの座り心地の良いシートに変更し、このロッソアバルトという赤のボディカラーなど三色展開で出された物だが、要はシートが違うだけと思っても良いだろう。
サイドサポートが激しく張り出すセミバケットでは乗降に不便であり、スポーツに偏りすぎていると感じる日本人も多い。だからこそのこの仕様という話しなのだが、Koni製の硬く締め上げられた足回りのコンペティツィオーネにとっては座り心地の良いクッションの効いたこのシートの採用は十分な合理性を持った選択になり得る。仕事柄、その関係上中古車を買う事になるのだが、オークション評価点の高い車をMoto/carで探してもらい、手に入れたのだが妥協したのは右ハンドルだという事くらいだ。
右ハンドルを推す事が出来ない理由は、元々左ハンドルで設計された車を強引に右に設置した事の弊害があり、アクセル、ブレーキ、クラッチのABCペダルの僅かなオフセット、左足のフットレストの物理的な狭さがある。本当はブレーキの倍力装置も左に装着されており、長い長い距離を左に通して遠隔操作する事から昔のイタリア車はブレーキのタッチが悪かったのだが、そこは不満はないレベルであったのが救いでもある。
コンペティツィオーネ標準装備のマフラーは、レコードモンツァであり、日本人からすればなんだそれ?なのではあるが、アバルト往年の名車の名前が付けられたマフラーであり、実際にその排気音は往年のあの頃の音を再現している。
このマフラーは4本出しとなるが、外側2本がサイレンサーに繋がっていないのが画像でわかるだろうか?要は外側2本は直管となっている。この状態で新車から車検を通すための工夫として、この世代では直管2本の排圧が高まらないと弁が閉じた状態となり、圧が上がると開く仕組みとなっている。現行では電力で回転数により開くシステムに変わっているそうだ。
それでもアイドルでかなり男前な音、車検基準ギリギリを攻めた音になっているので、住宅街では気を使う事が必要だろう。スペックは以下。
排気量 1368cc turbo
車重 1120kg
180ps
23.5kg
0-100を6.7秒で到達。
全長 3,660 mm
全幅 1,625 mm
全高 1,490 mm
トランスミッション5MT
フロントブレーキのみ4ポッドブレンボ
中古価格は高値安定傾向があるので、程度が良いと割高感が強い。新車とそんなに変化のない価格となってしまうので新車購入の方が割安感はあるとも思える。
ラゲッジは右はじの黒い車検証入れを見てくれたら理解出来る通り限られたスペースだが、分割可倒式のリアシートがあるので、後席を犠牲にすればそれなりに積み込みが可能だ。後席は助手席に座る人が前にシートを出してくれればレッグスペースはそれなりにあるが、膝裏までのきちんとしたシートサポートは望めない。ヘッドスペースに余裕はほとんどなく、170cm以下ならば頭が触れないが、実質的に165cm程までの身長までしか使えない。運転席後は推すすめ出来ないので、実質的に2+1。もしくは前席大人2人と小学生2名までだろう。
いずれ居住性についても細かくリポートしたい。
希望ナンバーは勿論、車名の595
真っ先に行ったのはフロントグリルの目立たない黒文字ABARTHの白字化。これはEVEデザイン社から販売しているものを貼り付けている。同時に僅かにナンバーを上にオフセットもした。
ロゴを白字にしていない状態もスッキリとして好きなのだがみなさんはどうだろうか?写真はMoto/carのもう一台。ベースグレード。そのうちこちらとの比較記事もあげたいと思う。