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KINDORU出版:外伝1 ~KindlePreviewerとの格闘~
さて本編で語ったように、K.D.P.(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)では、実際には非常に簡単に電子書籍を発行することが出来る。
しかし、実際に私が自作小説である「the Throne of the Blood」を出すまでには、また本編で語ったようなポカによって、かなりの右往左往をすることになってしまった。
このシリーズの外伝では、そうした出版に際して私自身が右往左往した、その過程とその中での気づきについて紹介しておいこうと思う。
いちおう注意書きとして書いておくが、私自身は本当に電子書籍の形式やHTMLのような装飾テキストの形式に別段詳しいわけではない。
しかも、そうした不確かな自分の知識を今まで誰かと共有したり指摘し合った経験もなく、このnoteやカクヨム上での自身の小説やコラムのような形式の決まったテキスト以上には、何か成果物を世に出してフィードバックを受けてきた経験も少ない。したがって、これから語る話の中で、一見非常にそれらしいと思える情報があったとしても、それらが実は全くのあてずっぽうであったり、そもそも前提の知識が間違っているという場合も往々にしてあるはずである。
少なくとも自分自身の環境ではそれらしく見えたものの、実際にそれがどのような場合でも問題のない手段なのか、また自分の考えているように機能しているのかという問題は、実際に電子書籍を出した今でも未解決のままである。
これからこの記事シリーズで語る内容は、文体の問題で断定的に述べている場合でも、基本的にはすべて私の主観的に見た解釈上での報告であり、事実とは≒のものと考えてもらいたい。
さてまたしても前置きが長くなってしまったが、外伝1となる今回では、まずは例のエラーに関して語りたいと思う。
本編で述べたように、まず自分が作りたいと考えていた電子書籍は、すべてが文字ベースの自作小説であった。そして使用ソフトの問題か、KindlePreviewerのバージョンの問題か、そうした小説形式として書式を凝った.docx形式ではエラーが出てしまっていた。
あれこれと調べてみたところ、そもそもLiberWriterには電子書籍規格の一つであるEPUBへの出力機能があることを発見する。電子書籍の内容をそのまま読み込んで編集する機能はないが、電子書籍の形式にととのえ出力する機能は存在していたわけである。
![](https://assets.st-note.com/img/1709638941783-oz7VOR4Mep.png?width=1200)
なんかよくLiberと書き間違えそうになる。
これで一気に解決かと思ったものの、そうして出力したEPUBファイルの出来を調べようにも、またしてもそのファイルではKindlePreviewerでの読み込みエラーが発生してしまった。
どうやらこれを後々から考えてみるに、LiberWriterでEPUBにエクスポ-トする際、メタデータの言語設定の書き方が間違っていたようである。
KindlePreviewer上でファイルを読み込む際に.docxなどを試す場合では毎回言語を尋ねられていたのだが、そのためにその時は電子書籍には言語の設定が必須のものだと考えていた。だからいろいろと試す場合でも、EPUBへの通常のエクスポートの場合に入力するメタデータの内容にも、毎回馬鹿正直に言語の欄を入力していた。
![](https://assets.st-note.com/img/1709639342425-PBRUXcot1x.png)
なぜか検証のためのこうしてもう一度試してみると、どうあっても間違えようもないように初めから「ja-JP」と自動で入力してくれている。あの時からまたLibreOfficeもアップデートされたのか、なぜ自分はあの時あんなにもミスを繰り返していたのか・・・。
しかしこの時の言語形式の入力は「jp」の二文字が正規であって、「Japan」「Japanese」「日本」「日本語」等はエラーとなるようである。もちろんそんなことをまだ知らない当時の自分は、毎回メタデータを丁寧に入力しあれこれと試した挙句、結局正解の「jp」表記へはたどり着かなかった。
かわりに、少なくとも様々な書式形式を廃し、そうしたメタデータの入力を省くLiberWriter上での「EPUBとして直接エクスポ-ト」という方法をとれば、KindlePreviewerでの読み込み時のエラーはないのだという方法にたどり着く。
おそらくこの中で実際にこのエラーの原因となっている設定はメタデータ入力における言語の欄だけだったはずである。しかし当時すでに疑心暗鬼に堕ちいていた私は、とにかくLiberWriter上での原稿の書式をあまり弄らずEPUBに出力すれば、上手くいくというふうに解釈してしまったのである。
そしてその方法によってKindlePreviewerと和解できたのなら、今度はその上手くいったEPUBの形式に則った形で、あとからEPUBデータ自体を編集し書式や体裁を整える、という方法を考えつく。そして実際にSigilというこれも無料で使えるEPUB編集ソフトにたどり着き、これによっていろいろ本の体裁を整えようと考えたのである。
——ただ、これも今のバージョンのKindlePreviewerでいろいろ検証のため試したところ、上記のようなメタデータを「japan」「japanese」に書き直したEPUBファイルも、ちゃんと「jp」に解釈して通してくれた。
あの自分が奮闘していた後に改善されたのか、そもそも当時の検証が間違いだったのか、これもまたわからない問題である。
本編と同じような結論を繰り返すが、ちゃんとソフトのバージョンアップなどをしっかりとしていれば、Kindle出版は簡単なのである。
それに結局のところKindlePreviewerにちゃんと読み込まれるかどうかにこだわっていなくても、KindleDPのほうへそれなりの形式の.docx等の原稿データや必要な表紙イメージを送信すれば、ちゃんと形式を整えて出版してもらえるらしい。
自分は、出版前にどんな風になるのか見てみたい、というだけのことでかなり遠回りをしてしまったわけである。そしてその遠回りの最中に、KindlePreviewerはバージョンアップされ私の問題はそもそも解決されてしまった。
なんとも皮肉なものである。
ただこうしてSigilというソフトによって、EPUB編集を直接行えるようになったことで、多少ながら得られた利点は存在する。
それは現在KindleDirectPublishing(以下、KDP)で推奨されている提出データ形式のうちで、実際の電子書籍画面を意識した構成を行え、かつ現在の日本語の環境に最も適しているものが、このEPUB形式らしいからである。
これまで語ったようにマイクロソフト・ワードの形式である.doc/.docx形式は、自分の環境ではなぜかエラーが出てしまっており、またこれ自体ももともと電子書籍を意識したファイル形式ではない。
そして本来、KindleがKDPを目指すユーザーに対し、最も推奨しなければならないはずのKindleオリジナルである.kdf形式は、なぜか編集ソフト(Kindle Create)が日本語には未対応(2024年3月)。
EPUBと同じくもともとから電子書籍用のファイル形式である、MOBIという形式では、文章を主体とした小説のような電子書籍に適しているリフロー型(詳しくは後の記事で説明)のこの形式ファイルがKindle端末に非対応の状態らしい。
だから現状では消去法的にこのEPUBと呼ばれる形式が、日本での電子書籍出版・Kindle出版における安牌であった。そして、そうした電子書籍を目指しEPUBを編集するノウハウは、このnoteやその他日本語のブログでも数多く紹介されている。
だからぶっちゃけて言ってしまうと、わざわざこの記事によって電子書籍制作を学ぶ必要性は薄いだろう。しかも内容は、上記のように単にソフトのアップデートを行えば解決できる程度の問題なので、なおさらである。
ただ本当に、この記事を書いている現在。ようやく数日前にKindleへ提出した書籍データのレビューが完了し、販売が開始されたところである。したがって、これらの内容も非常に応用性には欠ける一方、かなり私自身の個別具体的な体験に基づいており、そうした意味ではある種の興味深さがあるかもしれない。
そして今回この外伝1の記事で言いたいこと、皆様の参考となるであろうことは、とにかくうまくいかない時はソフトウェアのアップデートをしておいた方がいいという事である。
その2へ。