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GIGAスクール構想×新型コロナウィルス

2019年12月、ついに日本でも全国の小中学校で1人1台のPCを整備する「GIGAスクール構想」の実現にむけ、補正予算が閣議決定されました。

それから、3か月も経たないうちに、新型コロナウィルスの影響で学校が休校となり、多くの学校で授業がストップしてしまいました。
海外先進国の多くは、数週間後(早い地域では3日後)にはオンライン授業が行われるなど、対応がとられましたが、日本国内では、環境が整ってないがゆえに、プリントやメールによる課題提出からなかなか抜け出せず、学校教育のIT化の遅れが浮き彫りになりました。そのため、当初2023年を目指していたGIGAスクール構想を2020年内に実現できるよう、急ピッチで進めている地域も多数あります。

もともと、学校の先生方はITに疎いと言われ、我々委員会の中でも、苦手意識を持った先生が多い、という印象でしたが、今回の新型コロナウィルスで”やらざるを得ない”状況になり、通常では考えられないスピードでIT化にむけて進んでいることは、私たちとしてもある意味良かったと感じています。

一方でまだまだ課題あります。

1.4.5万円の制約でどの端末を購入するか?

主な選択肢はWindows/Chrome/iPadの3つ。文科省の調査によると、シェアはそれぞれ25%/27%/20%とのことです。
Windowsは授業用コンテンツがたくさんある一方で、CPUがCeleronのために動作が遅く、Chromeは価格的魅力があるもののコンテンツが少なく教員も不慣れ、iPadは性能面で問題ないもののKeybordをつけると予算オーバー…
ITを得意としない先生や教育委員会が、どの端末を選択するか、これだけでもかなりの労力がかかり、かつ地域差も出てしまうことがわかります。

2.ネットワーク環境の整備

これまでの学校のネットワーク環境はかなり劣悪でした。たとえば、市と共同の回線をつかっており、インターネットの接続もままならなかったり、アクセスポイントを引いてもPC教室にある端末で最大接続できる台数が10台に満たない、といった事例は多々あります。
LANの整備は予算内に組み込まれているものの、SIMやLTEを活用した場合のランニングコストまでは考慮されていないとのことです。

3.保守や端末の入替をどうするか

端末とネットワーク環境が整ったあとでも、機材・通信トラブルなどは常時発生します。それを学校の先生単独で対応できるか、というと難しいでしょう。ICT支援員の普及が絶対的に必要です。もちろん、ICT支援員や機材周りをサポートする要員も予算化されてはいますが、4校に1~2名といった非常に少ない人数です。
一般企業だと、情報システム部門がそういった対応をしますが、どのような小さな会社でも、1社あたり1名以上、システム担当はいるものです。4校に1~2名程度の配置で足りるのか、そしてその人は正規雇用ではないにもかかわらず、そのような負担な業務を進んで行う人がどの程度いるのか、疑問です。
ICT支援員の必要性や彼らに対するロイヤリティの確保が必要なように思います。

4.その他課題

・地域格差が激しい。企業・大学等と共同で取り組めるような先進的な地域やもともとIT知識のある方がいる地域とそうでない地域によって圧倒的な差が生まれてしまう。
・特別指導学級の生徒に対する対応が不透明
・学校外に端末持ち出しを許可するため、条例の変更が必要な地域もある。
・どのような授業を実施していくか、という検討まではもう少し先。withコロナ社会ではこれまで同様の授業は難しく、新たな授業の在り方、教員の在り方が必要。
・家庭環境におけるネットワーク問題。通信費の負担をどうするか。
・本来4月からスタートするはずだったプログラミング教育などは一旦保留状態。

現在はGIGAスクールの実現に向けて、ベンダーが様々な提案をしていますが、上記のように課題も多々あり、これらを解決するため、団体としてどのような支援ができる、、、と委員会内で検討しています。


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