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ひまわりはきっと答えを知っている

─︎今から迎えに行くよ─︎

そう言って身支度を整えてみたって
いつもより念入りにメイクをしてみたって
前髪を綺麗に流してみたって
彼の言う今からは
いつも二時間後で

待ちくたびれたって
イライラしたって
仕方がないでしょう?

責めないで、ニコニコ笑って
ただ笑って、わたしはあなたの癒しだから
癒しを与える存在だから
そんなわたしを好きなことを知っているから
だから笑って。笑って。

今日のわたしのコーデ
全身白のワントーンコーデ
褒めてくれる?
綺麗。かわいいって。

鏡の前で背伸びしたって
どの角度から映してみたって
意味がない。
こんな服、すぐ脱がされて
それから




          🌻


「みて、ひまわりでっかい!」

助手席で大袈裟にはしゃいでいるわたしを
眩しそうにみつめて。

「何食べる?今日は蕎麦が食べたいな」
彼の声をぼんやり聞いた。


(それから、どうするの?)

(ね、この服どう?)


(映画とか、デートっぽいことしたい)

(今日は手を繋いで、おしゃれしたわたしと
もっと…)

彼が注文したざる蕎麦と
わたしの前にはカレーうどんが運ばれてきた。

「あーあ。白い服着てるのにカレーうどん?」
彼が笑った。

知ってる。
白い服なんかどうでもいい。
跳ねたカレーがスカートに染みを作った。

「気をつけて食べなよ?」

うん。白い服なんか気にしない。こんなの気にしないで、無邪気にカレーうどんを啜るわたしだから好きなんでしょう?

何かにイライラしているのは暑いから
ずっと待っていたからじゃない。
この後のおきまりのコースが嫌だからじゃない。連絡をよこすのはいつも彼からで、会いたい時に会えないのが嫌なわけじゃない。
ご飯だけ食べて、それから?

わたしは乱暴にカレーうどんを啜った。

(どうせこんな服、すぐ脱ぐんだし)


蕎麦屋を出ると駐車場の脇にひまわりが咲いていた。

さっきの大きいひまわりを思い出して
笑った。


「ひまわり?好きなの?」

「ううん。好きじゃない、気持ち悪っ」


そっか。ってあなたは笑うだけ。
どうして嫌いなのかも興味がないでしょう?


「気持ち悪っ」

もう一度、彼に聞こえるように言ってみた。

(ねぇ。ひまわりの花言葉って知ってる?)

(怖い花言葉)


(偽りの愛だって)

(気持ちが悪いのはこんなわたし)

偽りの愛。偽物。頭の中の声をわたしは笑顔で掻き消した。

(泣かない。絶対泣かないから)


今日でさようなら。

さようなら。

ひまわりを蹴飛ばして
わたしは車に乗るのを

やめた。






こんにちは*ˊᵕˋ)੭🌻シズゴンです。
今回 noteで仲良くしてもらっている、らくぼろさんの俳句からショートショートを勝手に書いてみました_φ(・_・カキカキカキカキ✨


    らくぼろさんの素敵な俳句♡↓
   ひまわりはきっと答えを知っている
          です。

🌻ひまわりというと、明るくて真っ直ぐなイメージ、情熱、力強さを感じる、見る人を元気にしてくれるイメージがありましたが、今回は怖い花言葉シリーズで、物語を書きました。

らくぼろさんの持つイメージと世界観からは
だいぶかけ離れているかなσ(´~`*)ヘヘ笑ってごまかす。

トップ画もらくぼろさんです♡

いつもありがとうございます。

               shizugon




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