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ラストソング

「うた絵巻」選曲にあたって
まず考えるのはメイン曲である。

vol.1「道成寺」=古道成寺
vol.3「ゆきおんな」=ゆき
vol.5「クリスマス・キャロル」=鉄輪

このあたりは、メインから決まった感じ。

そして、ラストに何を持ってくるか。
ここが決まると、一気に全体像が見えてくる感じがする。
そして、毎回、自分の中ではとてもしっくりきている。

vol.1「道成寺」=みだれ桜(上妻宏光,宮沢和史)
vol.2「月と六ペンス」=月(桑田佳祐)
vol.3「ゆきおんな」=六花(中島みゆき)
vol.4「いまひとたびの」=淡海節(滋賀県民謡)

そして、第5回である。
新しい朝に向かって、気持ちを新たに立ち上がる、
そんな前向きさを持った曲がいいなと思っていた。
なんなら、新年を迎えるおめでたい曲とかもアリかもしれない、と。

そして、ひらめいた。
中島みゆき「時代」。
名曲だ。間違いない。ぴったりだ。
・・・と思ったのだが。
難しい。
難しすぎる。
そもそも、この歌は難しい。
いろんな人が歌っているけど、中島みゆきが歌うのがいちばんいい。
それだけではない。
三味線のアレンジが思いつかない。

ここがとても大事なところ。
「うた絵巻」は、唄と三味線だけで
どこまで世界を広げられるかの挑戦でもある。
たった三本の弦で、どれだけの表現ができるか、である。
古典の強みは、ここにある。
三味線が最大限に生きる手が付けられてある。
でも、古典だけではやっていけない私は現代曲もやるのである。
そのときに、三味線のアレンジがダサくなってはいけない。
三味線らしさはちゃんと残しながら換骨奪胎すること。
これができる曲を選ぶのが肝心である。
音を拾えるだけではいけない。

結論。
「時代」は無理。

5回の「うた絵巻」を重ねる中で
これまでよりもアレンジの引き出しが増えて
今までなら出来なかったタイプの曲にも、いくつかチャレンジしてきた。
でも、過信してはダメ。
そもそも三味線で弾くための曲ではないという前提を忘れない。

さて、いつか「時代」を演奏できる日が来るのか来ないのか。
まだまだ挑戦は続く。


2024.12.17.Tue.
千静のうた絵巻 vol.5 クリスマス・キャロル
道頓堀ミュージアム並木座
14時半開演 入場料2000円
ご予約はこちら

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