三味線弾きの断片的日常 2024/10/11-20

10月11日。
朝、ツイッターで今日は「リンゴの唄の日」だと知る。じゃあMCネタにもなるし、今日のライブでやるか。と思って、今月はやらないつもりだったけどセットリストに入れる。今日の「三味線三昧」ははじめましてのお客様も多かったので、りんごメドレーはぴったりだった。入れて正解。曲弾きで、糸合わせから一の糸に入るとき、義太夫の要領でお腹にぐっと力を入れると、一がとてもよく鳴って気持ちよかった。この感覚は初めてだけど、私の欲しい一の音、これだな。でも、曲弾きはずっとトップギアで弾き続けてるので、はじめての人にはしんどかったみたいだ。珍しいリアクションだけど、構成の緩急は検討の余地あり。

差し入れいただいたお饅頭。

10月12日。
昨夜のライブでは「暗夜の心中立て」をやったんだけど、お客さんから「今度、ギブス歌ってほしいわー。三味線なしで」と言われたのが、なんとなくずっと刺さっている。三味線なしで、か。弾き歌いだと、人はやっぱり歌の印象が強くなるのだろうとは思う。でも、私自身は自分のことを第一には三味線弾きだと思ってるんだよな。今までにも、ライブ終わってから「歌うまいですね」とか「喋りうまいですね」とか言われることはあって、むしろ三味線をほめられたことより多いぐらいだけど、ここまではっきり言われたのは初めてかも。私は歌も好きだけど、三味線でライブをするには歌もあった方が聞きやすいだろうな、というところから始まってるし、こだわりがあるのは三味線のアレンジで、もちろん、そういうこだわりに気づいてくれるのは大半が同業者なわけですが。ちょっとくよくよしている今日。

コーヒーとドーナツで始める一日。

10月13日。
「パナクティで聴く娘義太夫」本番。満員御礼で、とてもあたたかい雰囲気の素晴らしい会となりました。今回は、住蝶師匠の芸歴45周年の会で、こういう記念の会っていいなぁと思った。私たちも20周年で「津軽のジャワメギ」をやったときを思い出して、あのときも、公演の内容とかよりも、ここに来るまで本当にたくさんの人たちが支えてくれたことを実感して、あらためて感謝でいっぱいになったな。本当に幸せな会だったし、やってよかった。

いただいたマンゴープリンで一人打ち上げ。

10月14日。
隔日公演で右肩に痛みが出ていたけど、整骨院にいってスッキリ。こまめにメンテナンスしてもらうの、大事。
ひとことで”本番”といっても、中身は様々。依頼公演か自主公演か。お客さんの要望優先なのか、自分のやりたいこと優先なのか。いつものレパートリーか新曲か。会場の大きさ、お客さんとの距離感、他の出演者の有無。いろんな要素で、プレッシャーのかかり方も、ストレスのかかり方も、楽しみの度合いも違ってくる。たとえば、三味線三昧とパナクティとでは、曲の選び方もMCのやり方も、練習の仕方も全然違う。思わぬことで抉られたり、ほめられたり、鍛えられるメンタルの部分もいろいろ。だから、すべてのステージは一期一会。どんなに小さなものも、ひとつひとつ大切にしたい。

ビアードパパ×GODIVAのシュークリーム。
チョコ好きにはたまりません!!

10月15日。
中国吟誦学会の演奏会を聴く。裏声を使った高く響く歌い方は日本の芸能の発声とはまったく違う。中国から伝わった楽器も多いから、歌も伝わったはずだけど、日本では定着しなかったということだろうか。一方で、日本では低音の楽器はあまり好まれず、雅楽の楽器でも使われなくなったという話も聞いたことがあって、声と楽器とでは指向がまた違うのかとか、面白いなと思う。

10月16日。
地歌「鉄輪」のレッスン。今度、鉄輪を5分程度にカットして演奏するので、その形でみてもらう。正直、半分以下になるので、やりにくさはある。でも、全曲通してやれば自然に出てくる曲の表情の変化を、短縮版で効果的に変化を感じさせるための緩急のつけかた、というのを教わり、格段に聴いていて面白いものに変わった。基本型というのはもちろん大事なのだけど、私の場合は、そのきちんとおさまった形からなかなか出ていけないところがある。もっと大胆にやってもいいのだ、ということを体得したい。

10月17日。
ゆんぴが泊まりにきたので、自宅で夜お茶。練習もしていないのに、12時近くまで話し込む。そんなこんなで、今週も毎日夜更かしだった。1時間早く寝ようと毎日思ってるし、そのための行動をとったりもしてみているのに、結局同じような時間になってしまう。でも、昼間に意識が飛ぶほどしんどいのは、さすがにまずいと思っている。来週こそ。

10月18日。
自分の練習を録音して聞き返すと、変化をつけているつもりでも全然伝わっていないことがよくわかる。自分で思う百倍くらい大げさにやって、やっと人にも分かってもらえるくらいなんだろう多分。私の場合は。

10月19日。
整骨院へ。今日はとても状態がよいらしい。とくにストレッチを頑張ったということはないけど、もしかしてあれか、パナクティが終わってから義太夫の稽古を全然してないからかな…。三味線の稽古はしてるけど、義太夫と地歌では、必要な力が全然違うからね。でも、明日は体験教室だから、帰ってから義太夫やらなきゃ。そうして、身体は良くなったり悪くなったり、くりかえし。

10月20日。
義太夫体験教室の日。来年3月の発表会に、7名のお申込み。三味線コースは結局、裏門全曲に挑戦してみることに。個人的には、無理して全曲やらなくても、お稽古の回数も限られてるし、短い部分でもちゃんと弾けるようになった方がいいんじゃないかと思ったりもするけど、そこはまぁ人それぞれ考え方が違うし何とも言えない。
昨日せっかくメンテナンスしてもらったのに、教室を終えたら脚がつらい。膝裏を中心にお風呂でしっかりほぐして、セルフメンテナンスを怠らない。

10月も後半だけど、まだ単でちょうどいい。祖母のお下がりの紬。着やすくて重宝してたのに、今日の教室の途中でお尻のあたりがピリッと…(古い着物あるある)


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