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ベルギー留学:きっとまだ、枠の中に入っていたい

私の社会科学部は学生数が700人規模なので、基本的に少人数クラスやディスカッションクラスはない。けれど2学期に入り、Semminar Current Issue という授業で初めてディスカッションがあった。

時間は2時間、テーマは政治学分野「political representation」について。700人の学生は8グループに分けられ、さらに1グループ5~6人になるように配置される。

初めてのディスカッションで緊張していたから、セミナー前に配布された15ページ×2つのリーディング課題を入念に行った。課題ビデオも何回も見た。Political Representation について今まで聞いたことが無かったうえに、日本の政治にも疎かった私は日本の国会や議員の割合、女性議員の課題やその他議員の多様性についての議論やニュースも漁ってみた。今まであまり気にしたことが無かったけど、日本の「国会の多様性」に関する問題は(最近話題に多く上がってきてはいるものの)ヨーロッパに比べるとまだまだ発達していないことが分かった。(特にLGBTQや外国人、障がい者などマイノリティーの声をどのように政治に反映するかについてとか)

けれど、ディスカッションセミナー本番、私は一言も、発言することができなかった。

周りの学生にどうして?って思われたと思う。どうして何もしゃべらないのって。
正直私も分からない。
議論についてゆくのに精一杯な上に、議論がしょっちゅう飛ぶのものだから何が起こっているのか分からなくなった。しかも議論がヒートアップすると、皆さらに早口になる。政治の話をしていたのに、気が付いたら教育について話していて、次の瞬間は無職者の政治参画の話になっている。そして、どこで皆の意見に割って入って発言するべきかタイミングが掴みにくい。機会を伺っているうちにどんどん話についていけなくなる。

はっとさせられる意見もたくさんあったし、ディスカッションを初めて経験できたことはとても大きな学びだった。でも問題は「何も発言できなかった」ということ。

1学期を終えて心に余裕が出て来て、だいぶ学びを楽しむことができるようになってきた。相変わらず課題は多いし授業についていくのも大変だけど、論文を読み込めるようになったし、社会学、政治学、ヨーロッパの歴史やメディアについて考えるのがただただ楽しい。ただやっぱりまだ学問を自由に探究できるほど能力が伸びきっているわけではなくて、英語で理解する思考回路は相変わらず遅いし、同時多発的に繰り広げられる会話は難易度が高いし、瞬時に反応できないし、うまく考えを表現することもできない。海外を旅行するくらいなら今の能力で十分足りると思うけど、私は海外の大学で学んでいるのだ。求められる能力はさらに高い。そして何より、私は今の能力に納得していない。

日本語だったらうまく話せるのに、もっと会話ができるのに、日本人特有の間合いなら、もっとうまく人と関われるのに、とよく思う。

きっとまだ、私は自分の枠にこだわっている。

でもそれではだめなのだ。
今、ベルギーやヨーロッパの枠の中で学問をしている。日本にいたときの自分と同じではうまくいかないのは当たり前。

自分の枠をぶち破りたい。
そして新しい自分の枠を形作ってみたい。

枠の外に出るときはいつだって怖い。何回もやっているうちにある程度慣れてくるけど、臆病な私はいつも足に力を入れて踏ん張って、やっと一歩外に出られる感じ。

でもそれでいい。
それでもいいから、
そうやって新しい自分を冒険していたい。






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