免疫力を上げる講座(3)~マスクの思いやりと体調不良のサイン
<要約>
マスクは感染症にならない為にするのではなく、自分が感染した時に人にうつさない為に付けるものです。 自分の体調不良のサインを知って、もしそのサインが来たら、うつさないためにマスクをつけて、首の後ろを温めると感染が悪化せずに過ごすことができます。
1.マスクの不安
コロナウイルスの影響で、世の中のマスクが不足しています。薬局やスーパー、コンビニ、どこに行ってもマスクは売り切れ、ネット上は恐ろしい値段・・・。家のマスクの残量を見ると、いつまでこの状態が続くのか、不安になりますよね。
この「免疫力を上げる講座(2)」でもお話ししたように、不安は免疫力を下げてしまうので、マスクのことを調べて、本当に必要なのかを再検討してみました。
2.マスクは何のため?
風邪やインフルエンザ患者は1回の咳で約10万個、1回のくしゃみで約200万個のウイルスを放出すると言われています。これをあびて感染するのが、飛沫感染というものです。
しかし、ウイルスは咳やくしゃみをした後、ホコリや水分を帯び、ある程度の重さになるので、空気中を長くは浮遊できません。
よって、ライブハウスとか満員電車など、密閉空間に人が密集する場所に行く時以外は、空気を吸って感染する(空気感染)ということはほとんどありません。ですから、過度に外出を怖がる必要はありません。
(ただし、接触感染(感染者が触ったものを触って、その手を口などにいれて感染する)の可能性はあるので手洗い・うがいはしましょう)
では、マスクは何のためにするのでしょうか?
それは、感染症が蔓延している時に、咳やくしゃみをしている人が、人にうつさないためにマスクをするのです。
今回のコロナウイルスは「免疫力を上げる講座(0)」でもご説明した様に、感染しても症状が軽い人が多いことを考えると、自分が感染しているのに気がつかづに、人にうつしてしまう可能性があるのです。
ですから、マスクは自分のためよりも、相手のためにした方がよいのです。マスクは思いやりです。
また、マスクをすることで喉の保湿効果があることと、手を口に入れる可能性(接触感染)を下げる効果はあります。
そう考えると、感染を拡大させないためには、マスクを持っているならした方がよいと思います。(もし手に入らないのであれば、無理に高いお金を出して買う必要はありません。手洗い・咳エチケットで対応しましょう。また手作りのマスクでも全然問題ありません。手作りマスクに関しては当ブログの「号外」に記載した動画をご覧ください。)
<参考文献>
・自治医科大学付属さいたま医療センター マスクの効果と正しい使用方法
・日本環境感染学会教育ツールVer.3 感染経路別予防策
3.風邪のサインを見逃さない
免疫力は環境や身体の疲れ、体調によって変化します。免疫力が落ちている時に人間は病気になるのです。
患者さんを治療していると、「私は風邪をひくまえに、いつも〇〇になる」という人がいます。首の後ろがゾクッとするとか、喉が必ず痛くなるとか、身体がだるくなるとか、人それぞれ違います。
こういった自分のサインを知って、そのサインが出たら、積極的に休む、積極的に身体を温めることをしましょう!もちろんマスクもこういう時は積極的にしましょう。
東洋医学では、風邪は首の後ろから入ってくるという考え方があります。だから、首の後ろに寒気を感じたり、違和感を感じたら、体調が悪くなるサインと思って下さい。
4.大椎(だいつい)を温める
鍼灸の治療では、風邪の時に大椎(だいつい)というツボにお灸をします。
大椎は首の後ろの骨を上から下に触っていくと、首の付け根あたりに少し出ている骨があります。この骨の真下にあるのが大椎です。
このツボに自分でお灸をしようとすると難しいので、カイロで温めると良いでしょう。その他にも、ホット用のペットボトルにお湯を入れて温める方法や、ドライヤーで温める方法もあります。
このツボを温めることは、漢方薬の「葛根湯(かっこんとう)」を飲むのと同じような効果があります。
首や肩のコリを和らげ、風邪を悪化させずに治す効果があります。
東洋医学では、風邪は、現代でいうカゼだけを指すのではなく、感染症全般も含む広い概念です。
病院に行くこと自体が感染リスクとされている現在、少しでもご自分の体調不良のサインや、首の後ろの寒気、違和感を感じたら、ぜひ大椎を温めてみて下さい!
5.まとめ
コロナウイルス等の感染は飛沫感染なので、空気をただ吸うだけでは感染しません。よってマスクをする意味は、自分が気づかずに感染していて、他人にうつさないためが主です。
風邪を含めた東洋医学でいう体調不良のサインは、首の後ろの寒気や違和感です。このサインを感じたら、大椎というツボを積極的に温めましょう!
今までの「免疫力を上げる講座」
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<執筆>
表参道鍼灸マッサージ治療室自然なからだ
院長 手塚幸忠(てづかゆきただ)
《東洋医学とツボの専門家》
新医協東京支部鍼灸部会 会長/臨床実技講座講師
東洋医学臨床勉強会 会長
一般社団法人 経絡リンパマッサージ協会理事
関東医療学園 関東鍼灸専門学校 講師
日本伝統鍼灸学会 学術部
全日本鍼灸学会会員
健康経営アドバイザー
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