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キャリアコンサルタント資格は骨、その経験は筋トレ。

キャリアコンサルタントって国家資格なんです。
「厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者が、キャリアコンサルタント試験を受けられる」というのが基本なのです。
必須の講習費用は2024年現在30万程度とそこそこ高いですし、試験の合格率は(講習受講者のなかで)60%程度で、一般的に高いとは言われていませんが、そう簡単でもありません。


キャリアコンサルタントとして何をするか


ところが最近、SNSで「キャリアコンサルタントの資格を取得したが、何をしたらいいかわからない」などの投稿を見つけることがあり、あら、わたしと一緒じゃない!と勝手に親近感を抱いております。

4年前にわたしが資格を取得した時、取得はしたものの生かせる気がしないって弱音を吐いていました。
私の場合、カウンセリング力が弱すぎて自らに退場を申し渡しそうになるからですが。

勉強会などで相談の経験があるような方々とお話ししようものなら、その技術の高さに驚き、「これが本当のキャリアコンサルタントなんだな」「わたしなんかがコンサルティングをやってはいかん」と決意を新たにしていましたもんね・・・。

でも、当時はそんなに弱音を吐いている人、いなかったように思うんですよね。カウンセリング技術を磨くんだって技能士試験に邁進していらっしゃった方が多くて。
受かったけど、向いてないわ、わたし・・・って思うの、辛かったな。

たまたま人事に所属しているので、勝手にキャリア研修を企画して勝手に実施して(あ、ちゃんと上司の承諾は得ていますよ)、どうにか年単位で続けて来れまして、「自分はカウンセリングするよりは、セミナー開催するのが得意なキャリコン」という位置づけで落とし込んでるのが現状ですね。

でもここまで来るのに4年かかってるから。
FP2級までとって、それと絡めてこそセミナーできてるから。
資格とってすぐにどうにかできるわけないねん。
なんて、先輩面したりして。

キャリアコンサルタント資格の意味


思うに、国は今後伸びる業界とか、人手が必要な業界へのマンパワーの移動をスムーズにしたいんですよね。
で、国がそう言っているからではなく、自分で選ばせた形にしたい。なぜってそれが一番モチベーションあがるし、つまりは生産性が高いから。

キャリアコンサルタントの管轄省庁は厚生労働省だけど、キャリアコンサルティングに期待を寄せてるのは経済産業省だし。
「リスキリングと労働移動の円滑化を一体的に進める観点から」って経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」にちゃんと書いてあるし。

だからこそ、本当に求められているのはカウンセリングなんですよね。

在職者が自らのキャリアについて民間の専門家に相談できる「キャリア相談対応」、それを踏まえてリスキリング講座を受講できる「リスキリング提供」、それらを踏まえた「転職支援」

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

私がやっているセミナーは、カウンセリングの前段階。
カウンセリングに行きたくなるような「思い」を持たせられるよう、知識をシェアしたりワークで自分を掘り起こしてもらったり。
日本には気軽にカウンセリングを受けるようなカルチャーがないので、ちょっと重めに「思い」を掘り起こさないと、カウンセリングにつなげられないんですよね。

国もそれをわかってるから、セルフキャリアドックを推奨しているのでは。

キャリアコンサルタントの仕事


でも、そうやってつらつらと考えると、キャリアコンサルタントの仕事っていっぱいありますよね。

だって、

  • ライフキャリアについて思いを掘り起こす「セルフキャリアドック」

  • 掘り起こされた思いについての「キャリア相談対応」

  • それを踏まえて「リスキリング提供」

  • それらを踏まえた「転職支援」

これらを中心に考えてみるだけで、いわゆる「キャリア相談員」だけにとどまらず、界隈での仕事は多そうに思います。

ま、いずれの仕事もキャリアコンサルタント資格を必ずしも必要としていないっていうのはあるけどね。

ただ、キャリアコンサルタント資格があるからこそできるセミナーとか、転職支援とか、あると思うんだよな。
「何をしたらいいかわからない」と立ち止まる前に、何かしはじめることが大事で、何かを始めるとぶつかる壁とかそれを乗り越えるための勉強とか経験が、キャリアコンサルタントを強くたくましく成長させていくんじゃないんだろうか。

キャリアコンサルタントの未来


正直なところ、私自身はキャリアコンサルタント資格の費用対効果には疑問があります。相談されたら、再考を促します。

勉強する内容自体はめっちゃ面白いんですよ。
自分のキャリアについて考える時も役に立つし、社員や友達の相談に乗るときも知識の後ろ盾がついているのでいろいろな側面から話すことができる。

ただ、どんな資格でも、とれたらそれで稼げるってものでもないですよね。
早々に稼げるのは「これからその資格を勉強しようとする人に対してサービスを提供する」分野だけじゃないかな。
わたしはそれはあんまり好きじゃない。

キャリアコンサルタントも、それだけで稼げる資格ではないです。
人事、管理職、転職支援業、人材派遣業、そしてそもそもキャリア相談員である方々は、割とすぐに資格を生かして仕事をすることができるでしょう。大企業の定年再雇用の方とかだと、資格を取って会社のキャリア相談室に転属ってこともあるみたいですよね。

ただ、それ以外の方が、それこそ自分のキャリアチェンジを図るためにキャリアコンサルタント資格を取ろうとすると、投入するお金と時間が多いわりに仕事がないっていう事態に陥りかねません。
キャリアコンサルタントのキャリアが不透明っていう・・・。

あ、でもこれファイナンシャルプランナー資格と一緒だな。
FP資格も勉強する内容は面白いし、自分のためには非常に役立ちます。
でも仕事には直結しないことも有名ですよね。
とはいえFP2級までならYoutubeで勉強できるので、資格取得にほぼお金がかからないのです。そこが違うなと思ってはいます。

では、キャリアコンサルタントの未来は暗いのか。
私はそう思ってないんですよね。

どんな仕事だって稼ぐまでには時間がかかる。
資格しか持ってないなら経験を積めばいいし、失敗したらいいし、失敗から勉強していったらいい。

日本でも転職が根付いてきたから転職支援業界は伸びてる。
(人事だからわかるけど紹介手数料は爆上がってる)
日本人は全然勉強しないことで有名なんだから、リスキリング業界には伸びしろがある。
とにかくどこかの業界に潜り込んで、仕事の中でキャリアコンサルタントとしてのスキルと経験を伸ばしていけばいい。

この業界は嫌だなって思ったら、キャリコンだって転職すればいいんです。
政策と食い扶持と、自分の思いをバランスよくとって、必要なら自分もキャリアコンサルタントを受けて、そして思うように生きていけばいいんです。

キャリアコンサルタント資格者数は2024年9月末現在 76,466人だそうです。
私が受かった年(2020年)は59,000人だったし、ガンガン増えてるな。

キャリアコンサルタントが辛いまま、キャリア相談するのはしんどいやろと思うのです。
なにか始めて、失敗して勉強して再挑戦を続けていけば、筋肉がつきます。
キャリコンの資格という骨の上に、経験という筋肉をガンガンつけていきましょう。

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