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読書メモ:リスキリングは経営課題

リスキリングは経営課題(小林祐児)を読みました。とても読みがいのある良書でした。

リスキリングがブームになっていることの課題


いまなぜリスキリングという言葉が流行しているのかという背景と、データを用いてどういった業種や職種に学び直しの多寡があるかということがまず語られます。
「学ぶ人しか学ばない」状況をほっておくにはあまりにも日本は学ばなさすぎると。
「自律にかこつけた放ったらかし」は、企業の責任放棄ってことなんだろうな。「うわー、大変、学ばなきゃ」って誰もが思うような仕組みを作らないといけないよねってことかなと感じました。

女性の学ばなさは仕組みから


この本では中高年女性の学ばなさが顕著ってあるんだよね。

小林氏によると古い考えを脱却し、新しいことを学ぼうとするアクションは「修羅場、越境業務、新企画プロジェクトへの参加」の有無で発現率が変わると。
特に今現在中高年である女性の場合は、「このポジションにしては頑張っている」として最高評価は受けず中途半端に評価され、上位の業務には携われず大きな壁にぶち当たることもない。アンラーニングというのはこれまでの常識を捨てて新しいものの見方をする、つまり視野が広がる、視点が変わるっていうことも入るんだと思うんだけど、その機会が非常に少なかったことによるものではないかと。(私の解釈も入ってますが)

育休リスキリング炎上も仕組みから?


ここで思い出すのは育休中のリスキリングについてのX(当時ツイッター)での子育て女性の猛反対ね。

当時「育休中は休暇じゃない!」「育休中に勉強できるはずがない!」って炎上してたんだけど、検索してみると「育休中に勉強するなんて大変!まあ、わたしは実家のサポートもあってその間に資格とったんだけど・・・」みたいな声も結構拾えて、でもそういう方たちは炎上にかかわらないように育休中がいかに大変かということを語ることは欠かさない感じだったのよね。

炎上したやりとりは「学びたい人には、それが育休中であってもサポートする」っていうものだったようなんだけど、結局子育てをする人には個人的リソース(実家や会社のサポート、子供の状況)によって学べる状況かどうかが変わってくる。

小林氏によると「自律的キャリアは個にフォーカスされすぎていて学ぶ人しか学ばない状況を作り出している」んだけど、たしかにデータに現れる女性の学ばなさは社会の仕組みと強くリンクしているなあと思うのでした。

女性の問題だけをとりあげると、この問題は結果として「女性の貧困」「ジェンダーギャップ指数の低さ」などにつながっていくのかなと思います。

企業ができること


小林氏は企業ができることとして、仕組みを変える提案をしています。この記事ではメインではないので書きません。ご自身で読んでください。
たしかにね、社会の仕組みを変えるのはすごく難しいけど、一つの会社ならまだ可能。
そして会社がこれからの変化に生き残っていくためには必要なアクションなんじゃなのかなと思います。

リスキリングが目指すこと


2020年、世界経済フォーラムにて第4次産業革命(IoT、AI、ビッグデータを用いた技術革新)によって、さまざまな新しい仕事が生まれると同時に7,500万人の雇用が技術革新により奪われる可能性があると発表されました。
こうした変化に対応するために、Reskilling Revolution Platformというプロジェクトを開始し、2030年までに全世界で10億人をリスキリングするという宣言が行われました。主にデジタルスキルを中心としたリスキルとアップスキルがテーマとなっています。

リスキリング革命とその先にある未来へ繋げるために

ということなので、そもそもリスキリングは私たちに新しい仕事を与えて、私たちの収入を安定化させていこうとするもののはず。
ただ、未来が漠然としか見えないのに対して、現在の仕組みを壊すことも容易にはできないからこそ、「自律的キャリア」といって「荒波のなか自分で船が漕げるサポート」をしているってことなんだろうなあ。


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