コーヒーの淹れ方ひとつで
朝はコーヒーを飲まないとなんだか落ち着かない。
健康のために白湯をすすったりしようと思っても、やっぱりコーヒーでないと調子がでない。
豆や淹れ方にこだわりはなく、普通のスーパーで買える普通の値段のレギュラーコーヒーを、普通のコーヒーメーカーで淹れるだけなのだけど。
それでも朝の一杯は格別で、ほっとすると同時に頭のONスイッチも入る、なくてはならない装置となっている。(余談だけど、朝のコーヒーがまずいときは体調不良のサイン。まったく飲みたくないときは要注意。コーヒーは体調の目安にもなっていて便利。)
さて、ここ数ヶ月ほどコーヒーメーカーが不調で、コーヒーが漏れるようになってしまった。味などに影響はないものの、漏れたコーヒーを毎日拭うのが煩わしく、またコーヒーメーカー自体は洗えないので衛生面も気にかかる。
壊れたわけでもないしなぁと悩んでいたのだけど、思い切って買い換えることにした。
そこで、いろいろなコーヒーメーカーを検討したが、どれもこうしっくりこない。特別なものを求めているわけではないのだけれど、これという決め手がなくて、前に進めなくなってしまった。
こういうとき、余計なことを考えずに適当なものを選べばすぐ解決するのだろう。
それはそれで、いいことだと思う。
でも、2019年は、この手の嘘をできるだけつかないよう気を付けてきた。
自分の気持ちに対する、ほんの少しの嘘やごまかし。『まぁいいや』と言いながら、自分に不必要な我慢を強いること。
ほんの些細なことなのだけれど、この小さな亀裂はいつの間にか大きな溝になって、自分の頭と心の信頼関係がガラガラと音をたてて崩れる日がくる。
『自分が我慢すればいいや』思考は、日常生活のいろいろな場面で当たり前のように紛れているから、気が付かずに習慣化してしまうと心はどんどん閉じていく。気が付いたらできるだけ早く取り除くことが、自分を信頼することに繋がっていくのだと思う。
具体的には、自分のワガママを聞いてあげるのがいいかもしれない。ほんの小さなことでいいから、自分の心のためにね。
ということで、私は自分のワガママを聞きに聞いて、コーヒーメーカー問題は解決。
…したのか?
朝はハンドドリップでコーヒーを淹れることにしたのだ。つまり、コーヒーメーカーを選ぶことはできなかったというわけ。
少し手間はかかるけど、シンプルで洗いやすく、場所も取らないところがとても気に入っている。朝の忙しいときにハンドドリップでコーヒーを淹れるなんてできないという思い込みを、とりあえず捨ててみた。時間も数分くらいしかかからないし、やってみようと思う。
コーヒーの淹れ方ひとつで、ずいぶん悩んでしまったけれど。
今は自分に”しっくりくる”ものを選べたという体験で、心が満たされているのを感じる。それは、些細だけれど、私にとってはとても大切なことなのだ。
2020年も、こうして信頼関係を築いていきたい。私と、私の。