『子供が話を聞いてくれない』について Part1

子供のレッスンの現場で
「先生の話を聞いてくれない」
という場面があります。
今回は、そんな時に実践している対応の例をご紹介します。

なぜ話を聞かないのか

「話を聞いてくれない」という現状を打破するために、まずは
「なぜ話を聞かないのか」
ということを把握することから始めます。
自分の話ですが、以前はそういった場面に出くわすと

「レッスンが楽しくないのではないか」
とか、あるいは
「良い関係性が築けていないのでは」

などと考え、悩んでしまったことがありました。
しかし、「話を聞けない」要因は、実はそういったことだけではありません。
「なぜ話を聞かないのか」ということについて客観的に把握するために、私は大まかに以下のようなパターンに整理しています。


【1】話の聞き方がわかっていない
【2】無意識に注意が逸れてしまっている
【3】話されている内容に取り組みたくない
【4】構ってほしい


「なぜ話を聞いてくれないのだろう」と考える上で、このような目安を持っておくことで、漠然と悩んでしまうようなことを減らすことができます。
また、それぞれの要因に対してとるべき対応を整理しておくことで、間違った対応を取り続けてしまうといったことも減らしていくことができます。

では、上記の【1】〜【4】それぞれに対して、どのような対応をとることが効果的なのでしょうか。
今回は
【1】話の聞き方がわかっていない
【2】無意識に注意が逸れてしまっている
の2つの場合の対応例をご紹介します。
(残りの2つは改めて!)

※上記の【1】〜【4】について、実際には複数が重なり合っていたり、要因と要因が連鎖しているような場合も多いです。そのような場合には、適宜いろいろな対応を組み合わせるなど工夫が必要になってきます。


【1】話の聞き方がわかっていない

このような場合、「話を聞くべきタイミングはいつなのか」「どのように話を聞けば良いのか」ということを理解してもらう必要があります。
そのために、例えば以下のような対応が考えられます。


①話をするときの合図を明確にする
②話の聞き方を事前に伝える



①話をするときの合図を明確にする

これは話を聞いてほしい時に毎回行います。合図を明確にすることで、「今は話を聞くべき時なんだ」という場面の理解をしやすくします。


②話の聞き方を事前に伝える

これはレッスンのはじめに行います。「椅子に座って聞いてね」とか「先生の方を見て聞いてね」とか、その子供にとってイメージしやすい「話の聞き方」を予め提示します。

この①と②を繰り返していくことで

「話を聞くべき場面はいつなのか」
「どんなふうに話を聞けばいいのか」

が明確に理解でき、習慣化していきます。
ゆくゆくは①も②もなくても聞けるようになっていくことが多いです。


【2】無意識に注意が逸れてしまっている

このケースは非常に多いと感じます。つまり
話し手に注意が向いていれば聞けるけれど、つい注意が逸れてしまう
というケースです。このような場合に私がとる対応は大きく以下の二つです


①環境設定
②「話を聞いて!」と言わない



①環境設定

これは、「話が聞きやすい環境を整備する」ということです。
例えば、つい鉛筆に手が伸びてしまう子であれば「鉛筆を遠くに置いておく」という環境整備。おもちゃなどに視線を取られてしまう子であれば、「おもちゃを視界に入らない所に置く」という環境整備を行います。
ここで重要なことは、「あらかじめ」環境を整備しておくことです。それによって、「手にとってしまう→指摘する」ということを行わなくて済みます。

この環境設定に関して、「子供を不自由にしてしまう」と感じる方もいるかもしれません。私もそう思っていました。
しかし、子供の気が散る環境を放置することによって結局「注意が逸れる→指摘する」ということを繰り返すことになってしまうのであれば、その方が子供にとって負担であると考え、今は積極的に環境設定を行っています。


②「話を聞いて!」と言わない

こちらは「話が聞けていなかった」ことに自分で気づく機会を設けるために行なっています。
話が聞けない子供に「話を聞いて!」と注意を続けることは「気付くための補助をしている」ことだとも言えます。それを繰り返していても「注意されないと聞けない」という状況から抜け出せません。
その補助を段階的に減らすために、例えば「聞けていないときは話を中断する」とか「声色や表情で暗に伝える」などを行います。
そうすると、どこかのタイミングで子供が自らハッと気づいて話を聞いてくれるということが多いです。

そして、ここも重要なのですが、「自分で気付く」ことができたときには、ちゃんとその「気づけた」ということを評価して、認識させてあげます。
これによって
「話が聞けていなかったこと」
「話が聞けていなかったことに気づけたこと」
という2つのことが意識でき、次はちゃんと聞こうと思ってくれることが多いです。

まとめ

「子供が話を聞いてくれない」ときの対応例として、今回は
【1】話の聞き方がわかっていない
【2】無意識に注意が逸れてしまっている
という二つの場面についてご紹介しました。

これらの考え方や対応例はあくまで私が実践しているものです。もちろん他にも様々な方法、や考え方があり得ると思います。
一つの実践例として参考になれば嬉しいです。

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