心が曇ったら、花を買って。
セブンイレブンでコーヒーをドリップしている最中に、堰を切ったように涙が溢れた。人目につかないようにとそれを誤魔化し、ハンドルを握ったがそれでもだめだった。
言葉にできなかった想いがタールのようにこびりついて、心は侵食された。自分を守ってあげられなかったことへの不甲斐なさ。いつもやってる思考のハンドリングでさえ、何度やっても環状線に入る。
こんな感覚になることだってある。
わたしだって、人間なんだ。
用事があって向かったのは、お花屋さん。
友人に贈るブーケを買い、自分にはミモザとユーカリを包んでもらった。
「今年はミモザの出回りが早いんですよ」と言われて、そういえばそうですね、今年の雪の少なさはおかしいくらいだもの、去年はあんなにひどかったのに。ミモザは3月くらいですものね。そんな会話を店員さんと交わし、二つの花束を持ってドアを開けた。このとき、おそらく何かが抜けた。
家に帰って水切りをし、花瓶に冷たいお水をいっぱい入れて、ミモザとユーカリを生けてあげた。ユーカリを自分で買ったのは初めてで、その茎のあまりの強靭さに驚く。ちょっと鋏を入れたくらいじゃ、全く動じない。
小さくてふわふわとしたミモザの黄色いお花は、茎も細くてか弱く、ふわりふわりと浮わついた感じがあるのに、ユーカリのこの打たれ強さは何だ。清涼感ある香りは逞しさすら湛え、この香りの良さがわかる者にだけ伝わればいいと言わんばかりの、潔さまで感じられ。
そのどっちも、わたしにあるものなのかもしれない。たぶん。
重く沈んだ泥は濾過されていき、水は清きを取り戻してきた。
これだからお花というのは全くもって、侮れない。
当初お目当だったお花屋さんが完全予約制ということで断られ(商売っ気が全くない花屋でありながらセンスの良さが別格&卓越しているからこそ腹も立たない)その次に行ったところは定休日で、三度目の正直で向かった先ではあったけど、すべては必然。
ねえ女の子たち。
心が曇ったときは、すてきなお花屋さんに行ってみて。
そして、自分にお花を買ってあげて。
バラ一輪でもいいから、心から気に入ったものを。