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thorn


薔薇が似合う女性だと言われることを
私は好まなかった


どれほどに柔らかな velvetな花弁でも
薔薇には棘がある



棘のある言葉を何気に放つ癖のある
自分への揶揄のような気がしていたから


どんな華よりも
薔薇を愛するというのに ......






薔薇はその甘やかな匂いで 蝶や蜂を誘っては受粉し
艶やかな姿は 人のココロまでをも魅了してしまった



手折られる受難を避けるため
やがて棘を纏う進化を遂げる



その棘は
伸ばされる指先を突き刺し

踏みつける靴に穴を開け

払いのけた腕にしなっては 引っ掻きもする



弱さ故に 身に付けた強かさ ・・・・・




だとすれば
我先と散り急ぎ賛美される 可憐な桜より

しなやかで 強かな薔薇のように
生きなければならないのだと 思いもした





身を衛る為の 牙も 爪も 声さえ持てなかった兎は
薔薇の茎の入り組んだ場所に その身を隠すのだという





薔薇とは そんな存在なのだから



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