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朗読のための古典怪談

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江戸・明治時代の古典怪談を、朗読用に現代語訳して書いたテキストです。どうぞお楽しみ下さい。
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#怪談

12/6のclubhouse版電気怪談にて朗読した「八王子城亡魂」の音声です。豊臣秀吉に滅ぼされた八王子城の落城にまつわる悲話を、オリジナルのテキストとBGM付で語りました。8分6秒です。どうぞお楽しみください。

12/6のclubhouse版電気怪談にて朗読した「城主の亡霊の」音声です。夜毎、奥方の寝室に通うお殿様の幽霊。一国の主ならではの、その訳とは。江戸時代、1773年の怪談をオリジナルの現代訳文+BGM付で語りました。4分38秒です。どうぞお楽しみください。

江戸時代の雑話集『耳嚢』に入っているお話です。語り用に書き下ろしたオリジナルテキストを、自作BGMに乗せてお届けします。2分38秒です。どうぞお楽しみください。

舅、息子の嫁に執心せしこと

舅、息子の嫁に執心せしこと

昔、むかし。
今の静岡が、遠江(とおとうみ)と呼ばれていたころ。
この国に、堀越何とかという人がいたが、この人は十五歳の時に男の子を一人もうけ、この子は十五歳になった時に嫁を迎え入れた。
つまり堀越は、三十歳で舅となったのである。

この嫁は、顔かたちも美しく、万事に於いて気の利く女であった。
が、舅の堀越は、この嫁と顔を合わせてもろくに口もきかず、嫁の顔を見ないようにうつむいてさえいた。

誰も

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