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無力な存在

母の表情が乏しくなり
言葉を発することも少なくなってきた頃
ふとした拍子に表情がほぐれ笑顔が見えると
嬉しくなった

おむつ交換で少しの間だけ
おむつを外しまたままベッドに座らせていると
母が尿を漏らしベッドから床まで濡れてしまったが
おむつを外したままで冷えてしまったかと思い
これは可哀そうだったと母に申し訳なく
失禁した母を責める気持ちはなかった

母の心臓が止まり
蘇生措置後のICUで
何日も薬で眠らされ意識もなく
もう最期を待つだけのような状態になっても
まだ存在していてほしい
生きていて欲しいと思った

認知長の母は無力だけれど
とても安心できる大事な存在だった

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