別世界

朝、３階の自室で目を覚ますと
部屋中が煙だらけで
真っ白で驚いた！

火事だろうか！？

何が起こったかわからないが
とにかく
ただ事ではない！

慌てて飛び起きて
1階のダイニングまで階段を降りていくと

自室よりもさらに真っ白の密度が濃い煙と
焦げた臭いの中
父が「火事だ、火事だ」と呟きながら
箒で床を掃いていた

キッチンのシンクには
底が焦げた炊飯器が放り込まれている

どうやら炊飯器をガスの火にかけてしまったのだと
理解したので

父に大丈夫かと声をかけると
「〇〇のお寺か？」と
（〇〇は昔、私が一人暮らしした場所）
しかしその場所にお寺があった覚えもないし
全く意味不明の返事が返ってきた

それ以前にも
父との会話で何となくおかしな答えが
返ってくることはあったが

全く根拠もないような
答えが返ってきたのは
多分これが初めてのことだった

それまでは時々別世界に行っていた父が
このときから
完全に別世界に行ってしまったと思った