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【質問箱】 スランプについて
質問箱シリーズ第3弾。
編集者視点でどう対応するか、というご質問ですね。
基本的に先生方はプロなので、スランプに陥っているところってあまり見た記憶がありません。それに「文芸」=芸術の一分野であると同時に、良くも悪くも残念ながらビジネスです。多少の波はあっても、締め切りまでにキッチリ原稿を上げてくださるのが最低条件になります。逆にいえば、何度も何度も締め切りを延ばしてのらりくらり逃げ回るという昔ながらの(文豪にキャラづけするために多少の脚色を加えた)作家像を地で行くままでは、よほど上がってくる原稿が面白過ぎて文句も出ないほどの超天才型でなければ、おそらく編集者のほうから、そっと離れていってしまうと思われます。
だから締め切り前であれば、ゲームで遊んでいようが寝ていようが構わないんです。もしスランプに陥った先生がいて、余暇が足りていないように見えるのならば、気分転換に〇〇はいかがですか、と提案するかもしれませんね。もちろん、締め切りまでの日数を勘案して余裕があれば……ですが。
普段から先生の趣味に絡めた話題をたまに出すようにもしています。先生の贔屓球団を把握したりだとか、飲酒、喫煙、食の好みを覚えておいたりとか。作家は基本的に自宅や仕事場にこもる孤独な職業なので、あんまりにもビジネスライクに接するだけでは冷たく感じられてしまうだろうなと思います。もちろん、他社から担当の先生の新作が出れば読み、感想をお送りします。そうすることで先生のモチベーションが上がったり、新たな気づきを得て次の作品に活かしていただけるかもしれません。
「励ます」というよりは、先生とともに突破口を考えてみるというアプローチは試みるかもしれません。いただいたプロットをもとに、三人称で行き詰まっているならば一人称に書き換えてみてはどうか、とか。関連資料を買い集めてお送りしてみる、とか。資料集めは編集者の重要な仕事のひとつです。そこからなにか突破口が開くことだってあると思います。
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