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【note小説感想】 冒頭二文の爆弾
コナさんの掌編小説『本能』。
とても短く簡潔な文章の背景に、深い洞察を備えた作品でした。
さりげなく置かれた冒頭の二文がメタファーとなって作品全体を貫いていて、読み進めるごとに得体の知れない恐ろしさを増幅させていく。紋白蝶が晒された抑圧に寄り添える感性の持ち主でないと、このミサトという人物と並置して描くことはできないと思います。
圧倒的に満たされないものをミサトは抱えていた。それは自分の生存理由を探すというような崇高なものではなく、ただなにか暇を潰せるものが欲しいというようなとるに足らないありふれた願いではあったが。
でも私はいらぬお節介を焼いて我が身を危うくさせるほど優しい心根を持ち合わせた人間ではなかった。
いかにも善人といった顔つきでいる私は、直接的にいじめに関与している人間たちよりもよほどたちが悪いのかもしれない。でも正直なところ、弱く無垢なものが傷つけられている姿にはほの暗い快感を感じずに入られなかった。
(原文ママ)
「しっくりこなかったので書き直した」とのことで、丁寧に言葉が選ばれ、研ぎ澄まされているのにも納得です。
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