【職人のリレー】 第七走者 株式会社タケツネ 武田規与枝(後編)
2019,4,9 銀髪オンナユカリ
今回の走者は株式会社タケツネの武田規与枝さん。
柔らかい雰囲気と笑顔が素敵な規与枝さんです。
あたしの書きたいことが溢れ出ているために
二本立てとなっております。
前編
【職人のリレー】 第七走者
株式会社タケツネ 武田規与枝(前編)
それでは後編も全力疾走で参りますっ!
この日、社長は展示会への出展で不在だったのですが、
社長、すごいんですよっ!!!
一人で日本全国回り、さらに、新商品もガンガン作るっ!
ジッと待ってはいない、自ら行くっ行くっ行くっ!!
そんなパワフルな社長は、
縮緬ビロードや紗ビロードといった
既存の輪奈ビロードの枠を越えた新商品開発を
ずっと続けていらっしゃるそうです。
↓タケツネのHPブログを書いていらっしゃるのも社長です!!
この日は火消魂の佐藤さんとヒゲロン毛と3人で
タケツネにお邪魔させていただいた時。
「職人がいないと始まらない」
ユカリ:
社長は新商品もガンガンつくる、つくり手、
規与枝さんは現場でできた生地を商品として仕上げる専門、
という認識であっていますか?
規与枝:
そうですね、
検品だったり、出荷の管理や、工場への指示出しが主ですね。
ユカリ:
現場と取引先との中間の一番大変なところですね…
あっちからも、こっちからも…
規与枝:
工場っていうのはものづくりの現場なので
外のことはなかなかわからないんですよね。
私は小売屋さんに行かせていただいていたり、
お客様の声を直接聞いて、ビロードの凄さを教えてもらっているので、
できるだけそれを職人たちに伝えるようにしていますね。
「こういう風に評価してもらっているんだよ」って。
そうしないと、なかなかモチベーションも上がらないですし
作ること、作業することが日常なので、
そこに刺激を与えられるように。
職人がいないと始まらないので…
呉服業界は、つくり手と買い手の間に
問屋さんなど沢山の仲介業者が入ることが多く
直接最終製品を見ることが多くはありません。
これはどこの地域の機屋でも同じことだと思います。
「工芸品であることも大事だけれども、それはそれ。
もっと輪奈ビロードを多くの人に知ってもらいたいから
伝統に固執する必要はないと思っている。
このこともお客様に教えてもらいました。」
規与枝さんは自ら売り場に立ったり
消費者とコミュニケーションを取れる立場だからこそ
内と外との架け橋としての役割を担っているのだと感じます。
「お客様から『布の宝石ですね』と言っていただいたんです。」と、
規与枝さんは素敵笑顔満開でお話をしている姿を見て
あたしまで、嬉しくなるという、ハッピー連鎖が起こっておりました。
直接声を聞けるということが規与枝さんの、そして、タケツネの
ガソリンになっているのかもしれません。
「凄いいい染めをしてもらっている」
ユカリ:
染色ってすごい美しいんですけど染色ってどうやって..
手仕事ですよね?機屋にお邪魔させていただくことはあっても
染屋さんに行ったことがないから、すごく気になっているんですよね。
規与枝:
私もです!
ユカリ:
(おや!?)
規与枝:
見てみたいんですよね。
和装の世界では悉皆(しっかい)屋さんという、
生地屋と染屋を繋ぐ専門の方がいらっしゃって。
染屋さんは京都が多いので、距離的にも、工程的にも
うちが滋賀から直接行くのは難しくて。
それを全て一手に引き受けてくださる方なんです。
ユカリ:
(新しい単語が出て来たっ!!悉皆屋!!!)
規与枝:
だから、悉皆屋さんから先は知らないんですよ。
ユカリ:
お?どこの染屋さんで染めてるか…!?
規与枝:
全然知らないんです。
黒は黒の染屋さん、色(黒以外)は色の染屋さんで、
更にビロードは扱いが難しいので、
悉皆屋さんが「ココっ!」って決めたところにしか
出されていないんです。
ユカリ:
おお凄い!!信用商売だ!!!
悉皆屋さんの采配で輪奈ビロードが
生きるか死ぬかが決まってしまうんですね…
規与枝:
染屋さんで染め上がった反物は、整理屋さんに行きます。
のし といって布を整える作業をするんですが、
ローラーのような機械に入れるんです。
それで潰しすぎると、輪奈の毛が寝てしまって
生地が白くなってしまうので、
そういう輪奈ビロードの扱い方も悉皆屋さんに言って
染屋さんや整理屋さんを選んでもらっています。
そして、凄いいい染めをしてもらっているんです。
生地をつくる職人と染める職人の間に
もう一人職人がいました。
初耳です、悉皆屋。
プロジェクトマネージャー兼営業、
みたいな感じとでも表現すれば良いのでしょうか…
悉皆屋がいるからこそ、
各々職人がつくることに集中できているようです。
布って当たり前に着ているけれども
その道中って知らないですよね….
知らないですよね…
そう、知らないんですよ!!
なので、わたし勝手に読み解いてみます!
白生地を卸す場合と、最終製品を販売する場合、
二つの道のりがあるようです。
第一ルート <最終製品が白生地>
タケツネから白生地問屋に白生地がいきます。
あとは問屋がその先染色や縫製の手配を全てします。
そのため、どこでどういう商品になり
どんな方が購入してくれたかはわからないそうです。
第二ルート <最終製品を販売>
①タケツネから悉皆屋に白生地が渡ります。
②悉皆屋の采配で白生地が染屋へいき、染の工程へ
③染められた反物は整理屋へ行き、出荷できる形に反物が整えられます
④そして、悉皆屋の元へ帰って来て、
⑤悉皆屋からタケツネに帰って来ます。
⑥製品にするために縫製屋に反物がいき縫製され、
⑦製品として完成した商品がタケツネに帰ってきて、
⑧消費者の元へ届きます。
第一ルートも、第二ルートも
販売方法、販売ルートが違うので、届く相手が全く違います。
それぞれのプロがいるからこそ、
届けられる相手が増えるということですね。
自分の手元に届いたものを
どういうルートで来たのだろう…と考えることは
どういう職人がどれだけ手間をかけてつくられたのかを
知るきっかけにもなると思っています。
電子レンジに入れて「チンっ」と
魔法のように出来上がっているものは世の中にはありません。
あたしの知る限り…
(チンっと出来上がるのは最後の仕上げですね。)
そうです、値が張るには意味があるのです。
あなたにとってShokuninとは。
規与枝:
ありきたりやと思うんですけど、
自分の仕事に、誇りを持って、謙虚に、向上心のある人ですね。
自分の仕事に誇りを持ってというのは、
日々の生活の中でものを作っているだけじゃ芽生えてこないこともあるので、
なので、私が出先やお客様から聞いたことを現場に伝えて…
生活の中に張り合いがないと向上心も生まれ難いですしね。
ユカリ:
何か規与枝さんの秘技ってあるんですか?
規与枝:
褒められることですねっ
一同:
(笑)
輪奈ビロードでコートの仕立てをお願いしている方が
「一枚一枚生地が違うので、日々勉強ですね」って
おっしゃっていたそうです。
人の手がかけられたものには言葉に表現できない
雰囲気や味があると思っています。
工業製品とはまた違う、均一でないからこその特別感。
これが自分だけの特別になり
生活を豊かにする一つの要素なのかもしれません。
職人って、みんなSAMURAIみたいだ…
自分の技に満足することはないのですね。
嗚呼、かっこいい。
規与枝さん、タケツネのみなさま、
お忙しい中お時間いただきまして、
ありがとうございましたっっっっ!!
株式会社 タケツネ
滋賀県 長浜市朝日町 36-20
TEL:0749-62-0310
FAX:0749-65-0304
https://www.taketune.com/
さて、次のリレーは…
知られざる、産地を守り続けるための結社の、
超絶癒し系かつ大胆すぎる美女に会いに行きますっ!
お楽しみにっ!!!!
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