#20【異変】

朝から悩み通しで、
モーニングのアルバイトを終了し
そのまま事務バイトに行き、
そこでもウンウン唸りながら
 
 
このあとどんな顔して
会ったらいいんだろうと
散々頭を働かせながら
帰宅した。
 
 
いつもの場所に自転車をおく前から
ハナが吠える吠える。
 
 
まだ家に入ってもいないのに。
 
 
何かあったかと、
肝を冷やし家に飛び込んだ。
 
 
祖母が、ソファで
汗だくで固まっていた。
 
 
「おばあちゃん、どうしたん!」
「あかん、水!脱水なるわ!」

やっと絞り出した言葉が
 
「ごめん、おばあちゃんな、
モルヒネ飲みたくなくて
薬飲まへんかったんよ。
そしたら痛くて痛くて、、、」
 
初めておばあちゃんに怒った。
 
「アホか!先生のゆうこと聞いてや!」
 
 
在宅治療もしてくれる町医者なので
すぐに病院の先生に電話し、
モルヒネの注射を手に
いつもの看護師さんにきてもらうことに。
 
 
その間10分、家が近くて
本当に良かった。
 
 
注射をしてしばらく、
痛みが引いて、すぐに
祖母は眠ってしまった。
 
 
痛みに耐えること自体が
かなり体力の消耗したんだろう。
 
 
「奥さんが帰っていらしたら、
一度病院来てくださいと
先生が言ってましたので、
伝えてくれる?」
 
 
はい、急にも関わらず
来てくださってありがとうございます。
 
普段は出さないような小さな声で
ボソボソと呟いた。
 
一気に力が抜けた。
 
 
母にも連絡を入れ、
心配だからとパートを早抜けし
帰宅してくれた。
 
 
その日は偶然、夜のバイトが
入っていなかったので
そのまま祖母を連れて病院に行った。
 
 
あまりにも、いろんなことが
起こりすぎて、
私の頭の中はパンクしていた。
 
 
思考が停止していた。
 
 
いや、むしろ
停止してくれて助かった。
 
 
このあと、私に
重大任務が任されることになったから。

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