#30【あと2日。】
祖母が入院するまで。
あと2日。
これが、壮絶だった。
もう、正直言って。
ほとんどモルヒネは効いてないんじゃないかと
疑わざるをえないぐらい、
ひどい状態だった。
寝ている時以外、脂汗が浮かんでいて
家族の誰かがトイレに入っている時以外は
トイレにこもっていた。
「何も出えへんーーーーー!!」
ひどいのが
水も飲めなくなっていたのだ。
どうにもこうにもならないので
小さい氷が作れる製氷皿を買ってきて
スポドリを凍らせて、それを
口に含んでおく、という形で
しのいでいた。
「もう、どうにもならんかったら
救急車呼びなさいね、
それぐらいの痛みのはずやから。」
と、お医者さんには言われていた。
が、意地なのかなんなのか
祖母は絶対に我慢していた。
それを見ていて、母親は心配と
イライラが入り混じったなんとも言えない顔をして
ハナもリビングとトイレを行ったり来たり。
祖母は、私の印象では
どんなことにもめげない、強い人だった。
確かに、今もめげてないけど、
やせ我慢だということは
嫌という程目に見えている。
さらに。
自分の大好きな人が
とてつもない苦しみに見舞われているのに
何にもできない辛さ。
それなのに、気丈に振舞おうとする
その落差が。
20のココロには痛すぎた。
この2日間。祖母の身辺整理と
入院準備をしながら
真下の祖母の部屋から
夜中に何度、うめき声が聞こえたことか。
頼むから、早く。
入院してくれと。
この痛みから
解放できないものかと。
そう思うたび、
私の心も潰れていった。